【不登校の教育費】いくら必要?今使える支援制度と準備の方法

「この先、いくら教育資金を準備すればいいんだろう…」
子どもの教育費に悩む保護者はきっと多いでしょう。さらに、中学生の我が子が不登校となると「今後の進路で想定外の出費もあるのでは?」、「通信制に通っても支援制度の対象になるの?」という疑問もあるのではないでしょうか。今回は、不登校の教育資金について、支援制度や教育資金の準備方法について詳しく紹介します。

この記事のポイント

    不登校の「今」にかかるお金

    まずは、中学校でかかる費用以外に、不登校の現在にかかるお金の相場を見てみましょう。

    中学校以外の学びの場の費用

    中学校以外の学びやコミュニケーションの場として、フリースクールや家庭教師などを活用するご家庭もあるでしょう。費用の相場は以下をご覧ください。

    ・フリースクール:(入会金平均額)約5万3,000円 (授業料平均月額)約3万3,000円※
    ・不登校専用オンライン学習:月8,000円〜3万円程度※※
    ・適応指導教室:公的サービスのため多くは無料

    ※出典:平成27年小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査
    ※※大手通信教育3社の不登校サポートプランより算出

    フリースクールもオンライン学習も、安くはない費用がかかります。オンライン学習とフリースクールとでは、利用時間の長さが異なる点も覚えておきましょう。また、自治体によって、フリースクールやオンライン学習の費用の一部を支援する制度もあるので、お住まいの制度を確認してみてください。

    子どもに合うかどうかも選ぶ際の重要なポイントなので、まずは気になるものを試し、子どもと一緒に見つけていくのがよいでしょう。

    心のケアにかかる費用

    教育費とは少し離れますが、不登校の子どもはメンタル面のケアもとても大切です。カウンセリングなどの費用は以下の通りです。

    ・カウンセリング:1回5,000円〜1万円程度
    (医療機関を受診の場合、保険適用の可能性もあり)
    ・スクールカウンセラー:公的サービスのため無料


    臨床心理士などによるカウンセリングは自由診療で自費となるケースがほとんどです。中学校に在籍しているスクールカウンセラーであれば、無料で相談に乗ってもらえます。


    利用しなければいけないものではなく、選択肢のひとつとして覚えておいてください。

    不登校からの進路と教育資金の目安

    通信制高校の私立・公立による費用の違い

    文部科学省が発表した「2025年度学校基本調査(速報値)」によると、通信制高校に通う生徒は増えており、生徒数は30万人を超え、過去最高値を記録しました。この数値は、高校生全体の約10%にあたります。

    表にあるように、公立の通信制高校の費用は年間2万~6万程度です。全日制の高校と同様に、就学支援金が適用されるため授業料は無償化され、教材費や事務費、交通費などが費用としてかかります。

    私立でも、就学支援金制度が進められており、所得制限なしで授業料が無償化されるケースがほとんどです。ただ、「授業料」以外にかかる入学金、教材費や交通費、スクーリング費用、施設利用料などはかかるため、公立よりも費用は高くなります。

    通信制高校+サポート校という選択肢と費用の考え方

    通信制高校は、自分のペースで柔軟に学習が進められる自由さが魅力のひとつです。しかし、学習の計画は基本的に自己管理とされているため、上手く学習が進められない子どももいるのが現状です。そのため、公立の通信制高校では、卒業率が私立の通信制に比べて半分以下になっています。

    子どもの学習計画や生活・メンタル面を助け、卒業まで導くのがサポート校です。通信制高校と連携した教育機関で、塾のような立ち位置になります。費用はかかりますが、子どもが卒業できるよう、多角的にサポートしてほしいという人にとって、選択肢のひとつになるでしょう。

    大学・専門学校でかかる学費

    文部科学省の「2024年度学校基本調査(確定値)」によると、高校卒業後に、大学や専門学校といった高等教育機関に進む子どもは全体の約87%で、多くの子どもたちが進学しています。かかる費用の概算は次の通りです。

    ・国公立大学4年間の学費:約250万円
    ・私立大学4年間の学費:450万~2,400万円程度
    ・専門学校2年間:230万~250万円程度


    高等教育機関は、どの分野に進むかによって費用は大きく変わります。子どもが進みたい未来に向かえるよう、教育費の準備とともに支援制度の情報もキャッチしていきましょう。

    今からできる教育費の準備

    教育費を準備するための3ステップ

    教育費を準備するために、以下の3ステップを行ってみましょう。

     ステップ1:家計をざっくり把握する(家計の見直し、支出の棚卸し)
     ステップ2:情報を集める(希望する進路の資料請求や見学、自治体やNPOの助成制度)
     ステップ3:備える・貯める(「年間いくら必要か」をざっくり算出して毎月積み立てる)


    教育費の準備は、早ければ早いほど、月々の貯蓄額が少なくなります。ぜひ早めに取り掛かってみてください。「ステップ2の情報を集める」のひとつとして、下では最新の教育資金支援制度についてご紹介します。

    使える支援を上手く使おう! 最新の「教育資金支援制度」

    2026年2月時点の教育資金支援の一例は、以下通りです。

     • 高等学校等就学支援金:所得制限が撤廃され、公立・私立ともに授業料が無償化
     • 自治体独自の制度:お住まいの自治体にある教育費のサポート
     • 高等教育の修学支援新制度:専門学校・大学進学時の授業料減免と給付型奨学金
     •各種奨学金:給付型、貸与型、学校独自、民間団体、地方自治体などさまざまあり
     • 国の教育ローン:奨学金と併用可。入学金や留学費用にも活用できる


    中学卒業後の教育費について、不安を抱えている保護者も多いでしょう。しかし、教育費に関する支援は、近年広がりを見せています。国の支援制度の他にも自治体独自の支援、民間団体の支援など、数多くの支援制度があるので、状況に合わせて活用できる支援を知り、選択していくことが大切です。

    進路と教育費について子どもと話してみよう

    「〇〇に興味が出てきたんだけど、専門学校高いよな...行かせてくれるかな?」
    このように、子どもは、保護者が思っている以上に、教育費に対して遠慮しているケースも見られます。不登校の間に、やりたいことを見つけたら、ぜひその道に進ませてあげたいですよね。


    保護者ができることは、子どもがやりたいことに対しての情報提供とサポートです。だから「親が応援できる範囲」を明確に伝えることが大切です。中には、「子どもに我が家の金銭事情を話すのはちょっと...」と思われるかもしれません。

    しかし、教育費の話をオープンにすることで、子どもは「じゃあもっと勉強しよう」「この学校に行くために頑張ろう」など、進路について前向きに進むことができます。ぜひ、話し合う機会を作ってみてください。

    まとめ & 実践 TIPS

    通信制高校は、全日制高校と同様に、就学支援金制度が適用され、公立・私立ともに授業料が無償化されます。教育費への支援が広がっているとはいえ、進学にはお金がかかるのが現状です。子どもがどんな選択をしても応援できるように、3ステップで早めに準備を進めていきましょう。移り変わる支援制度の情報は、常に最新情報をキャッチできるよう、アンテナを張っておけるといいですね。



    【参考資料】
    文部科学省 平成27年小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査
    文部科学省 学校基本調査-令和7年度 結果の概要-
    文部科学省 令和5年度子供の学習費調査_調査結果の概要
    文部科学省 2024年度学校基本調査(確定値)
    全国私立通信制高等学校協会 2024年度 実態調査報告書

    プロフィール


    上木原 孝伸

    教育企業で講師として17年間教壇に立ち、教科指導や教室運営に携わった後、通信制高校の開校準備から参画、同校の副校長を4年間務める。その後、発達に特性があるお子さまとそのご家庭にマッチする環境のコンサルティングサービスの責任者を務めた後、ベネッセコーポレーションに入社。不登校ライフナビの監修等を務める。

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