発達特性が新しい価値となる時代、保護者もアップデートが必要! 西村 佑美さんのセミナーをふり返る【マンガでセミナーダイジェスト #5】
その道の専門家をゲスト講師に迎えて開催している「不登校ライフナビ」オンラインセミナーは、不登校でお悩みの保護者に向けて、ヒントになるようなさまざまなテーマを取り上げています。その内容をマンガでふり返るのが「マンガでセミナーダイジェスト」です。
今回ご紹介するセミナーのテーマは、発達専門の小児科医である “ ママ友ドクター ” 西村 佑美先生による『ママ友ドクターが教える!発達特性を強みに変える「考え方」と「学び方』です。
発達に特性のあるお子さまには、学習の遅れや困難、集団行動を苦手とするケースが多く挙げられ、不登校の原因にもつながっています。また、学校だけでなくご家庭でもどのように接するべきなのか悩む保護者も多いことから、医師でありご自身も発達に特性のあるお子さまを育てている、 “ママ友ドクター” 西村先生のお話は多くのかたの共感を呼びました。
なおマンガに登場する保護者像は実在の特定の個人ではなく、アンケートの結果に基づき平均的なケースを想定したモデル人物となります。
この記事のポイント


"ママ友ドクター" 誕生の背景に、深い共感が巻き起こる
「発達に特性のある長男のことを受け入れられず、心から好きになれないことで苦しかった」と打ち明けてくれた西村先生の言葉は、その日セミナーに参加していた保護者の多くが日ごろ感じている思いだったのかもしれません。
西村先生が医師を目指したきっかけは、最重度自閉症の姉を持つ "きょうだい児" であったことでもありました。小児科医として発達診療の臨床経験を積み重ねていたなか、待望の第1子に発達特性があることがわかります。そこから多角的に子どもを伸ばす研究にまい進していき、現在の「ママ友ドクタープロジェクト」へと発展していったのです。
"ママ友ドクター"という呼称は、「医師という関わりだけでなく、ママ友のように気軽に、身近な関わり方ができる専門家として存在したい」という西村先生の強い想い、信念のあらわれ。だからこそ、医師であり母であり、特性のある子どもとの関わりをリアリティをもって知る存在として、西村先生の言葉がまっすぐに保護者の胸に届くのだと感じられます。
【参加者のご感想】
・特性のあるきょうだいにどう対応するのがよいのか、悩み迷って後悔することばかり。難しいことが多いが、お話を聴いて自分にもできそうなことがあると思えた。
・西村先生のお話は共感できるしわかりやすかった。
「ふつうじゃない」ことが新しい価値となる時代
まず、「保護者も発達障害という概念について、考え方をアップデートしましょう!」と、西村先生が語りかけるとおり、そもそも呼称自体もWHOの疾病国際分類(ICD-11)では「神経発達症群」とされているとのこと。つまりは「治すべき障害ではなく活かすべき特性」として、概念から考え方を更新することが必要ということです。
これまで周りの空気を読めずに苦労していた子どもも、みんなと違うことばかりに興味を持つ子どもも、学校という集団生活のなかでは苦労や困るシーンが多かったはずです。これを西村先生は、「ふつうじゃないけどいい感じ。これを新しい時代の価値観としてアップデートしましょう」と語ります。実際、空気を読まないから自由な発想ができるし、よく動くから行動にすぐ移せるなど、考え方次第でこれらは「新しい価値」となるわけですね。
【参加者のご感想】
・発達障害の認識が少しずつ変化していることや、環境や関わりかたでも変化するものだと理解することができた。
・新しい価値観への変換が具体的でわかりやすかった。
"ほめる行動" を分解したら、意外にできそう!という発見
専門医でもある西村先生の強みは、まさにエビデンスに基づくアプローチ。発達特性の有無を問わない、子どもたちの可能性を伸ばす子育てについても盛りだくさんでお話が進みました。
たとえば「とにかくほめましょう!と言ったところで、昭和世代に育った保護者たちは、自分自身がほめられた経験が少ないので、ほめることがストレスに感じる場合もある」。ですが、よい行動をしたときに「感心する」、適切な行動を続けているとき「励ます」ことも "ほめる行動" に該当し、さらに、なにか手伝ってくれたら「感謝する」ことも"ほめる行動"なのだと解説しました。また、ほめることが苦手であっても「よい行動に気づいて応えること、つまり"関心を示す"ことはぜひ心掛けて実践してみてほしい」と付け加えました。
ポイントは、「ほめようと力むことはなく、よい行動に着目して実況中継するだけ」とのこと。たとえば、「本を読んでるね」「歯磨きしているね」「ドアを開けてくれたね」といった具合でOK。それだけで注目してもらえたうれしさから、「子どもはほめられたような気になって、もっと頑張ってみようという気持ちが育つのです」。性格面にフォーカスした表現では「お友だちにやさしくできたね」となるものが、行動に焦点を当てると「お友だちが転んだとき、 "大丈夫?"と声をかけられたね」といった具合になります。「行動を声に出す」という"ほめる行動" 、ぜひ実践してみたくなりますね!
最後に、一律の教え方にすべての子どもを合わせようとするのではなく、子どもの特性に合わせた教え方・学び方を外部機関をうまく活用して取り組むことをお薦めされました。「子どもは本来、学ぶことが大好き。勉強がきらいと言ってる子は、わからない、わからなくて恥ずかしい、つまらないからきらい、といった状態。それならば、わからないと思った瞬間に面白く教えてくれる誰かがいればいいのです」と語る言葉から、家庭ですべて完結するのではなく、サードプレイスを率先して活用するメリットを感じることができました。
【参加者のご感想】
・「いま〇〇〇のテレビを見ているんだね」などの言葉かけでも、関心を持っていることが子どもに伝わればいいのだということは目から鱗が落ちる思いがした。
・確かに自分も、子どもに関心を向けられていると感じる何気ない言葉がうれしかったりするので、これからトライしていきたいと思った。

プロフィール
宮城県出身、日本大学医学部卒。小児科専門医・小児心身医学会認定医・子どものこころ専門医としてのべ1万組の診療を行う。最重度自閉症きょうだい児の経験と発達特性のある子を含む三人の子育て経験を活かし、大学病院で発達外来を担当。2020年「ママ友ドクター®プロジェクト」開始し、子育て支援を行う。22年から「子ども発達相談アカデミーVARY」を主宰、24年協会設立。著書『発達特性に悩んだらはじめに読む本』Amazon4冠ベストセラー。25年から学会発表や講演で全国を飛び回り、2026年から産業医としての活動も開始。
西村佑美(にしむらゆみ)発達専門の小児科医/一般社団法人日本小児発達子育て支援協会代表理事

プロフィール
エッセイ漫画家・イラストレーター。2017年生まれ・2019年生まれの兄弟を子育て中。会社員・公務員などを経てフリーランスに。X(旧Twitter):@Emma_Asagi
あさぎエマ
