変わる不登校の常識|相談先・居場所・フリースクールの選び方ガイド

子どもが不登校になると、学業・生活・将来…いろんな観点から「この子にとって何がベストなんだろう」と悩む保護者も多いでしょう。実は今、学びの多様化学校やフリースクールといった学校以外の居場所が広がりを見せ、不登校への社会の見方は大きく変わりつつあります。今回は、今の不登校事情や相談先、居場所の選び方も含めてご紹介します。

この記事のポイント

    不登校の「今」...変わりつつある社会の見方 

    実は、不登校児童生徒の数は高止まり傾向

    「不登校の子どもが増えている」
    ニュースなどで不登校児童の増加について耳にした保護者も多いでしょう。事実、コロナ禍以降、不登校・不登校傾向の子どもは増加傾向にありました。しかし、2023年の調査では高い水準のまま推移しているという結果となり、中学生の生徒のうち約14%が、不登校または不登校傾向という状態です。

    教育機会確保法の広がりが見られる

    2017年に施行された「教育機会確保法」。これは、不登校児童生徒の学習権を守り、学校以外の場での教育機会を確保することを定めた法律です。教育機会確保法が月日を経て、広がってきています。

    たとえば、


    ・「不登校は問題行動ではない」という意識の浸透
    ・学びの多様化学校(旧:不登校特例校)の設置増加
    ・ ICT(オンライン学習)やフリースクールでの活動が「出席扱い」とされるケースが増加


    などがあります。

    中学校へ行かなくても、学びの多様化学校や出席扱いになるフリースクールに通うことで、「不登校または不登校傾向の生徒」としてカウントされません。そのため、上で紹介した不登校児童数は、「公立および私立の中学校へ通っていない児童」の数字とは少し離れている可能性もあります。

    「積極的不登校」の認知が少しずつ浸透

    現在は、「多様性の時代」と言われ、さまざまなバックボーンを持つ人が集まることが当たり前の社会になってきています。

    また、子どもたちが普段の生活で接することがら、たとえば動画視聴のコンテンツなども多様化しています。そのため、「学校」という場所だけが「みんな一緒」を求められることに違和感がある子どもも増えているのも事実です。

    いじめや心身の不調などが原因ではなく、子どもが自分の意思で「学校に行かない」と選択する「積極的不登校」という言葉も生まれました。社会全体で「学校以外の選択肢」が一般的になりつつあるのです。

    そうした社会的背景もあり、今フリースクールの必要性が高まっています。

    不登校の子どもを持つご家庭が相談できる3つの窓口

    子どもが不登校になり、フリースクールを検討する際の相談先について3つご紹介します。

    1.中学校の先生(子どもが小学生でも相談できる)

    中学生が不登校になったとき、まず思い浮かぶのが中学校の先生でしょう。あまり知られていないことですが、子どもが小学生でも中学校の先生に相談できます。


    中学進学後の受け皿や地域の支援機関情報は、中学校の先生...特に生徒指導主事や養護教諭の先生が、教育委員会やフリースクールとの連携を取っているケースが多く、進路・復学を見据えた支援情報を持っている可能性が高いです。まずは担任の先生に相談し、詳しい先生につないでもらうこともできるでしょう。

     2.教育委員会の相談窓口

    各自治体に設置されている「教育委員会の相談窓口」。「教育相談室」「教育センター」「子ども家庭相談」など、自治体ごとにそれぞれの名前が付けられています。

    電話相談か来所相談が中心ですが、LINEやメール相談を24時間受け付けている自治体もあります。スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)が配置されており、本人・保護者・中学校の教員と連携しながら、心理的支援や生活環境調整を行うことが可能です。

    教育委員会の相談窓口は、教育支援センター(適応指導教室)と中学校とをつなぐ役割も担っています。民間のフリースクールを直接紹介するケースは少ないですが、公的な選択肢の入り口として活用するには心強い窓口です。

    3.NPO・フリースクール団体の相談窓口

    第3の相談先として、NPO団体やフリースクールの団体に相談することも可能です。NPO法人「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」では、不登校の子どもと保護者をサポートしてくれる地域に根付いた「不登校の親の会」とつないでもらえます。

    地域のフリースクールに直接出向き、無料相談・体験入学を通じて、子どもが合うかどうかを実際に体験して確認するのもひとつの手段です。

    不登校になったあとの3つの居場所

    中学校を不登校になったとしても、さまざまな居場所が用意されています。ここでは大きく分けた3種類をご紹介します。

    【公的】教育支援センター(旧:適応指導教室)

    各自治体の教育委員会が設置している公的施設です。不登校児童生徒が安心して過ごせる「第2の居場所」として、在籍校に籍を置いたまま利用でき、学習支援や生活習慣づくりを行いながら、基本的には学校復帰を目指すことを目的としています。

    公的な施設のため、費用は原則無料で、中学校との連携が取りやすく、出席扱いになりやすいという点がメリットです。一方で、スタッフの専門性や人数にばらつきがあったり、定員オーバーで利用を待たされたりといったデメリットの可能性も覚えておくとよいでしょう。

    【公的・民間】学びの多様化学校(旧:不登校特例校)

    2005年に制度化された当初は「不登校特例校」と呼ばれていましたが、2023年8月に「学びの多様化学校」へと名称が変更されました。 現在、全国で 300校を目指して規模を拡大中です。

    教育課程の基準によらずに、特別の教育課程を編成できる学校で、在籍中学校からの「転学」という形が取れ、「在籍中の中学校の通学は難しいけれど、学校という枠組みで学び続けたい」という子どもが通いやすくなっています。

    学費は公立は原則無償、私立は通常の私立学校と同様に授業料等がかかります。自治体や就学支援制度で軽減措置が適用される場合があるので、お住まいの制度を確認してみてください。国の制度に基づいた「学校」なので、出席扱いとなり、少人数・学校外プログラム活用など、柔軟な教育課程が魅力的です。

    しかし、全国でまだ数十校程度しかなく、定員オーバーになることも多いのが現状です。自治体や運営主体の方向性によって「学びの多様性」の部分は異なるため、検討の際は見学や面談などで不安を解消しておくとよいでしょう。

    【民間】フリースクール

    民間団体・NPO・個人などが運営する「学校外の学びと居場所」となるフリースクール。 多彩なプログラムと柔軟な居場所作りが魅力で、学校復帰にこだわらず、安心できる居場所を求める子どもや、発達特性に応じた柔軟な対応を望むご家庭の利用が多いです。

    在籍中学校に籍を置いたまま利用でき、 費用は利用日数にもよるため、月数千円〜数万円と幅が広いです。 自治体によっては助成金制度がある場合もあるため一度調べておくと安心でしょう。

    フリースクールは、法的に「学校」ではないため、在籍校との連携が不可欠です。理念・指導力・安全性は施設ごとに異なるため、見学や相談できちんと確認することがおすすめです。

    フリースクール選びの6つのポイント

    最後に、子どもとご家庭に合った環境を見つけるための、6つのポイントを解説します。

    【1】コミュニティスタイル

    コミュニティに関わるスタイルは大きく3つあります。

    ・実際に通学するスタイル
    ・自宅から参加するオンライン型
    ・その両方を使い分けられるハイブリッド型

    子どもの体調や心理的な状況に合わせて、どのスタイルが安心できるかを確認しましょう。

    【2】学習機会の確保と内容

    タブレットやパソコンを使うのか、遡り学習(学び直し)ができるか、個別の学習支援がどの程度あるかなどを確認しましょう。また、在籍校での「出席扱い」が可能かどうかも重要な確認事項のひとつです。

    【3】通いやすさ

     一般的には30分から1時間未満で通うケースが多いですが、あえて近すぎない場所を好む子どももいます。子ども自身が無理なく継続できる距離かどうかを考えて決めるとよいでしょう。

    【4】費用と公的な支援制度 

    月額費用の相場は週3〜5日の利用で5万〜6万円程度ですが、自治体によっては月額2万円程度の助成金が出るケースもあります。お住まいの地域の支援制度を事前に調べておきましょう。

    【5】教育理念の一致

    「学校復帰を目指すのか」「子どもの自主性を尊重するのか」「体験活動を重視するのか」など、施設によって方針は大きく異なります。家庭の価値観や子どもの将来像と合致しているかを確認しましょう。

    【6】本人の自己決定 

    これが最も重要です。実際に子どもと一緒に見学や体験に行き、そこで笑顔になれるか、自分の意志で「ここに行きたい」と思えるかを見極め、子どもの意見を尊重しましょう。答えを急がなくて大丈夫です。子どもと一緒に、一歩ずつ進めていきましょう。

    まとめ & 実践 TIPS

    学びの多様化学校の増設やフリースクールなどでも活動が出席扱いになるなど、社会として学びの多様化が進められています。フリースクールの選び方において大切なことは、「その子の個性と環境が合っているか」を見極めることです。子どもの自己決定を大切にしながら、納得のできる選択を一緒に探していきましょう。

    プロフィール


    上木原 孝伸

    教育企業で講師として17年間教壇に立ち、教科指導や教室運営に携わった後、通信制高校の開校準備から参画、同校の副校長を4年間務める。その後、発達に特性があるお子さまとそのご家庭にマッチする環境のコンサルティングサービスの責任者を務めた後、ベネッセコーポレーションに入社。不登校ライフナビの監修等を務める。

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