不登校経験をふり返り保護者にいま伝えたいことは?森本 陽加里さんのセミナーをマンガで解説【マンガでセミナーダイジェスト #2】
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「不登校ライフナビ」で毎月開催しているオンラインセミナーは、各分野の専門家をゲストにお迎えし、視聴者と双方向のやり取りも魅力のひとつとなっています。
不登校はどのお子さまにも起こりうることであり、決して問題行動ではありません。一方で学習や人間関係、将来への不安などへの悩みは深く、セミナーではご家族の不安に寄り添い、解決のヒントとなるお話を毎回多彩なテーマでお届けしています。
オンラインセミナーの内容をダイジェストにしたマンガでお届けするシリーズ、作者はエッセイ漫画家・あさぎエマさん。ご自身も子育て中の母親としての視点からふり返ります。
今回のテーマは「“発達障害で不登校”だった私が、いま保護者に伝えたいこと」。不登校経験を持つ現役大学生兼起業家の森本 陽加里(もりもとひかり)さんによるセミナーをもとに、エッセイ漫画でご紹介します。
不登校だった小・中学生時代をふり返るいま、同じ傷みを抱える人に寄り添う
今回ご紹介する森本 陽加里さんのお話は、大学生である現在から過去の不登校経験をふり返り、「いまだからこそ保護者に伝えたいこと」がテーマ。
森本さんは現役大学生!まだ記憶がフレッシュな子ども時代に感じていたことを、見事な言語化力で、丁寧に言葉にしてくれました。
発達障害の特性もあり、先生の矛盾した指示に違和感を覚えたり、聴覚過敏に悩まされたりと、学校生活の中で感じる負担が少しずつ募っていった結果、不登校につながったという森本さん。「勉強することは好きだった」のに、どうしても学校に行くことができなかったと言います。
現在は大学に通いながら、主に自身と同じ発達障害を持つ子どもたちをサポートするためのアプリを開発しているとのこと。そのお話からは、生きづらさを抱える子どもの視点と、傷みがわかるからこその支援者としての視点の両方が伝わってきますが、やりたいことを実現できているキラキラとした姿からは想像もつかないほどの苦しい季節を生き抜いてきた過去に圧倒されました。
発達障害の特性ゆえに惑い傷つく日々。「学校に行きたい」を支えてくれた周囲の人々
義務教育の期間の約半分は不登校だったという森本さん。みんなが当たり前にできていると思えた「人の表情を読み取ること」や「自分の認識と常識にズレがあること」などに大いに戸惑い、傷つき、「当時の記憶がない」と言います。小学2年生から不登校になりましたが、3年生の頃に発達障害の診断を受けたことをきっかけに、それまで学校に戻すことに必死だったお母さまをはじめ、周りの大人の接し方が変わっていきます。
それからは、お母さまのたゆまぬ働きかけもあって、学校の先生たちも考えられるさまざまな配慮をしてくれるように変化。ですが、「給食だけ食べにおいで」と言われたらそれをゴールにしているのでいっぱいいっぱいなのに、なんとか食べ終わると「次の授業も受けていく?」と言われるのが大嫌いだった!と語ります。
「学校という危険ゾーンに給食のためのパワーを結集しているわけだから、もうそこで限界だった」と語る森本さんの言葉に、目に見えない発達障害という特性は、こんなにも心を疲労させて必死で生活をしているのだな、とこちらも胸が傷みました。
やがて森本さんも学校に行けない自分を責める状態から、「どうやって学校と付き合っていこうかな」と、少しずつですが自分なりのスタイルを模索できる状態に変わっていく様子は、長い苦闘の果てにつかんだ希望の光のように思えました。
その後も「女子同士の会話の裏の意味がわからない」ことに戸惑い、日々の人間関係に悩み傷つきながらも、現在は一人暮らしをしながら大学生兼起業家として活動しているというのですから、驚かされます!
支援者と気持ちを共有するセルフケアのためのアプリを開発
森本さんが開発・提供しているのは「Focus on」というアプリ。
ユーザーが自身の「疲れ度」を入力したり、日々の出来事や気持ちを整理しながら記録することができるアプリで、疲れが溜まっていると判断されると、休むタイミングを知らせるアラートを受け取ることができます。そしてこれらを保護者や先生といった支援者に共有することで、自己理解を深めつつ、周囲の支援も得やすくなるとのこと。
このビジネスプランを作ったのは森本さんが高校生の時というからこれまた驚きです。小中学生時代に自身が感じた困難について、高校生の時に研究し解決策を考え、具体的な形にする…というそのスピード感と行動力に感銘を受けました。
現在、大学に通うなかで困難を感じることもあるそうですが、大学の支援室や周りの友人のサポートを受けたりしながら試行錯誤を続けているとのことで、不登校時代が終わったから「すべてが解決した」わけではないことを当たり前ですが実感します。
私も保護者として、我が子と年齢の近い森本さんが、自身の特性と向き合いながらも、同じように悩む若者を助けたいという使命感を持って行動していることに胸が熱くなりました。最後に森本さんはこう付け加えました。
「決してうちの母親がすごい人だったわけでも、(大学進学して起業もした)私がすごい人なわけでもない」と。当時をふり返って、とにかく目の前のことに二人とも必死で対応しつづけたことでいまがある、と言いました。
なかなか森本さんのようになるのは難しいと思いますが、もし子どもが何か解決したい課題を見つけて行動に移そうとしたら、全力でサポートしたいと思います!
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