フリースクールの現状と制度的課題―利用ハードルと求められる支援
子どもの不登校が長くなると、フリースクールが気になるご家庭も多いのではないでしょうか?2025年11月、「不登校ライフナビ」が小中学生の保護者2,240名を対象に、「不登校・フリースクールに関する意識調査(※1)」を実施。今回は、その調査結果を元に、フリースクールの現状と保護者の期待、利用時に活用できる補助金・助成金の例についてご紹介します。
この記事のポイント
不登校経験者の約8割が利用なし──フリースクールの利用状態とは?
フリースクールとは、何らかの理由で学校に通うことが難しい子どもたちが、学習のサポートを受けたり、同世代の子どもたちと交流したりできる民間運営の学びの場です。
今回の調査によると、フリースクールを利用したことがある、または利用している子どもは合計17.8%いるのに対し、一度も利用したことがない子どもは82.2%になっています。

未利用率の高さが目立つ一方で、「今後、フリースクールを利用したいと思いますか?」の問いに対し、「条件が合えば利用したい」と回答した人は73.9%となっています。このことから、フリースクールに対して高い関心があるにもかかわらず、行動に移せていないというギャップが生じているのが現状です。
利用しないのはなぜ? 保護者が感じるフリースクールのハードル
「フリースクールの利用を検討しない理由」の1位は、「費用が高いと感じるため(41.5%)」となっており、2位「学校復帰や進学にどのようにつながるか不安があるため(29.3%)」、3位「本人が行きたがらないため(26.8%)」と続いています。
文部科学省が行った平成27年度の調査で(※2)、フリースクールを含む不登校の子どもが通う民間団体や施設の費用を見てみると、会費(授業料)の平均額は約3万3,000円、入会金の平均額は約5万3,000円です。
フリースクールなどの費用は、公立の小学校・中学校に通う費用よりも大きくなるため、費用面でハードルを感じているご家庭が多いのも頷けるでしょう。
小学生・中学生で差がある! フリースクールへの期待と希望
費用面がハードルになりながらも、保護者からの期待が高いフリースクールですが、小学生と中学生では期待する内容が異なります。
フリースクールへの期待は小学生の場合、1位「友達や同世代の人と関われる場(73.6%)」、2位「学校以外の安心できる居場所づくり(72.6%)」となっており、安心できる交流の場としての期待が高いことがわかります。
一方中学生では、1位「学び直しなど学習の遅れへのサポート(72.4%)」、2位「友達や同世代の人と関われる場(66.4%)」となっており、小学生より進学に向けた学習面での期待が高くなっていることが見てとれるでしょう。
また、フリースクールに求める通学スタイルは、小学生では「通学とオンラインを組み合わせて学びたい(ハイブリッド)(33.5%)」と「教室に通って、先生や友達と直接会いながら学びたい(通学中心)(33.3%)」がほぼ同率1位という結果に対し、中学生ではハイブリッド型スタイルの割合が高くなっています。
このことから、年齢が上がるほど学習支援への期待が強まり、かつ通学スタイルも自由さを求める傾向にあることがわかりました。画一的な支援ではなく、それぞれの成長フェーズに合わせた選べる環境整備が求められているといえるでしょう。
中学生のお子さんの場合は特に、無理に毎日通わなくても続けられる形を探してみるのも一つの方法です。
自治体や国に期待するフリースクールへの支援って?
「フリースクールを利用する際に国や自治体に支援してほしいこと」の質問には、1位「利用料の補助(87.1%)」となっており、2位「フリースクールの質を保証する公的な認証制度(50.2%)」、3位「卒業後の進学・就職支援(49.4%)」と続いています。
調査結果によると、フリースクールは同世代の子どもと交流を図りながら、しっかりとした学習のサポートがある安心できる居場所としての役割を期待しながらも、費用面でのサポートの必要を感じているご家庭が多いのが現状です。
利用料の補助支援があれば、フリースクールで安心しながら学べる子どもはもっと増えると考えられるでしょう。
費用負担に待った! フリースクールで活用できる補助金・助成金
ここまで見てきた結果からは、多くの保護者が費用の負担を感じているようです。国が主体となって行っているフリースクールの支援は、現時点で行われていませんが、自治体によっては費用の負担を軽くする制度も用意されています。「フリースクールを検討したいけど、費用面が気になって一歩踏み出せない」というご家庭にとって、負担を減らす手助けになるでしょう。最後に自治体が行っている支援の例をご紹介します。
東京都|フリースクール等利用者支援事業
都内在住の不登校の小中学生の保護者を対象に、不登校支援を主な目的としている通所型のフリースクール等に通学する場合、利用料を月額最大2万円まで助成してくれる制度です。
助成の対象は月額の利用料となっており、入会金や施設維持費、教材費などは対象外です。(※3)
山梨県|フリースクール利用支援事業費補助金
山梨県在住の小中学生のいるひとり親世帯や多子世帯などを対象に、出席扱いが認められているフリースクールに通学する場合、フリースクール利用料に対して、1人あたり月額1万5,000円を上限として、補助対象経費の2分の1以内が支給される制度です。(※4)
大阪市|習い事・塾代助成事業
都道府県ではなく市区町村ごとの自治体で独自にフリースクールの支援が行われているケースもあります。大阪市では、フリースクールの助成金という名前ではありませんが、習い事・塾代の助成金が特定のフリースクールで活用可能です。
これは、大阪市内の小学5年生~中学3年生を対象に、学習塾や文化・スポーツ教室、ご家庭教師等の学校外教育にかかる費用を月額1万円を上限に助成している事業です。どの施設が助成の対象になるかは、「大阪市習い事・塾代助成事業」の公式ホームページから調べることができます。(※5)
フリースクールで利用できる補助金・助成金は、全国的に広がりつつあります。フリースクール選びは焦らなくて大丈夫です。まずはお住まいの自治体の制度を確認するところから、一歩ずつ進めてみてください。
まとめ & 実践 TIPS
フリースクールは、費用面での不安から一歩を踏み出せずにいるご家庭が多い一方で、「条件が合えば利用したい」と感じている保護者は7割を超えています。また、中学生の場合は学び直しへのサポートや、自分のペースで通えるハイブリッド型のスタイルへの期待が高い傾向にあります。東京都・山梨県・大阪市のように、利用料を補助する制度を設けている自治体もあり、費用面の負担を軽くできる可能性もあるため、まずはお住まいの自治体の制度を調べるところから、お子さんに合った居場所探しを少しずつ始めてみてください。
(※1)調査概要:
◇調査対象:
ベネッセの保護者向けアプリ「まなびの手帳」およびベネッセ教育情報サイト「不登校ライフナビ」に登録されている、小学1年生~中学3年生の保護者
◇主要な調査項目:
お子さまの学年/お子さまの登校状況/不登校の要因/フリースクールの認知・検討・利用状況/フリースクールを利用した際の出席扱いについて/フリースクールに期待すること/フリースクールを利用する際に国や自治体に支援してほしいこと
◇回答数:不登校ライフナビに登録されている小中学生の保護者2,240名
◇期間:2025年11月5日~11日
◇方法:インターネットでのアンケート調査
(※2)
文部科学省 「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」
(※3)
東京都庁 「利用者向け 東京都フリースクール等利用者支援事業」
(※4)
山梨県 「フリースクール利用支援事業費補助金 」
(※5)
大阪市習い事・塾代助成事業公式サイト
