「貯金しなさい」はもう古い?お年玉マネーレッスンのすすめ

子どもにとって、お正月の楽しみのひとつであるお年玉。一方「お年玉の管理はどうするのが正解?」「つい貯金をすすめてしまうけれど、それだけでいいのかな?」など、悩んでいる保護者のかたもいるのではないでしょうか。子どもにとって、まとまったお金が得られるお年玉は、マネーレッスンの絶好のチャンスです。今回はファイナンシャル・プランナー(FP)の資格を持つ私が、お年玉をあげた時に伝えてほしい、お金と上手に付き合っていくための、年代別マネーレッスンをご紹介します。

この記事のポイント

    【アンケート】みんなのお年玉の使い道は? 

    まず、お子さまのお年玉の使い道について見てみましょう。

    みんなのお年玉の使い道は?

    2022年12月26日~2023年1月11日、全国の小学生・中学生・高校生のお子さまをお持ちの保護者のかたを対象に、お子さまのお年玉の使い道について、Webアンケートを実施した結果がこちらです。(有効回答数789名)

    使い道で一番割合が大きいのは「貯金」でした。貯金は全体の70%を超えており、多くのご家庭で貯金がすすめられているのがうかがえます。そのあと、「ゲーム機・ゲームソフト」や「おもちゃ」「本」と続いており、子ども自身が欲しいものをお年玉で購入しているご家庭も多いようです。

    お年玉は、子どもにとって年に一度の特別収入です。もらえる金額は人それぞれですが、まとまった金額が管理できるまたとない機会といえるでしょう。日々のお小遣いとは違い、「使う」だけでなく、「貯める」「増やす」「寄付」といった、お金の使い方の選択肢が増えるため、「お金をどのように使おうか」と考えるよいきっかけになります。

    【年代別】お年玉から学ぶ「お金と上手に付き合う力」

    【年代別】お年玉から学ぶ「お金と上手に付き合う力」

    お金の理解度は年代によって大きく差があります。その時々に応じた方法で、お金と上手に付き合う力を育てていきましょう。

    【幼児~小学校低学年】お金に興味を持たせる声かけを

    幼児~小学校低学年の子どもにとって、初めからお金の価値を理解するのは難しいかもしれません。まずは、「お金を使うとどうなるか」を伝え、お金に興味を持ってもらいましょう。

    たとえば、
    「このお年玉で何がしたい?」
    「お年玉を半分使ったら、このおもちゃが買えるね!」
    「お年玉を来年まで残しておいたら、来年はもっといいおもちゃが買えるかもね」
    のように、お金を使ったり貯めたりするとどうなるかを、自分で考えるきっかけになる声かけがおすすめです。

    欲しいものを買う時は、お子さま自身がお店で実際に商品を選び、お金を支払い、商品を受け取ることが大切です。自分が経験して初めて「お金と商品は交換なんだ」「お金がなくなったら何も買えないんだ」ということをリアルに感じ取ることができます。

    【小学校中学年~高学年】お金に関する計画を立ててみよう

    小学校中学年~高学年では、お年玉でお金の使い道について計画を立ててみましょう。まずは、「すぐに使うお金」「貯めるお金」「もしものお金」の3つに分けてみるのがおすすめです。

    初めは「お金を分けて計画する」という感覚がわからないことが多いので、保護者のかたは日常の体験と結び付けた声かけでフォローすると理解しやすくなります。
    たとえば、
    「全部使わないで、ちょっとずつ貯めたら欲しいゲームが買えるかもしれないよ」
    「財布をなくしちゃった時、もしものお金があると安心だね」
    のように、現実的な具体例を伝えるとよいでしょう。

    貯める金額が決まったら、一緒に銀行口座をつくりに行き、お年玉を自分で貯金する体験をしてみましょう。実際に体験することで、貯金や銀行の仕組みについて、より深く理解できます。

    【中学生~高校生】お金と社会について考えるきっかけに

    2022年度から、高校では金融教育が必修化され、家計管理やライフプランニング、預貯金や保険、株式、投資信託などの金融商品について学ぶようになりました。

    中学生以降になると、お金の理解も深まるため、「増やす(投資)」や「寄付」といった、社会につながるお金についても知識を付けておくのがおすすめです。まとまった金額が得られるお年玉の時期は、お金の話をするよいきっかけになるでしょう。

    知っておきたい投資の話

    将来的な利益を期待して、株式や投資信託といった金融商品にお金を投じる「投資」。中高生にまず知っておいてほしいことは、「投資では、必ずお金が増えるとは限らない」ということです。定期預金や個人向け国債といった元本割れしない投資もありますが、株式投資や投資信託はほとんどの場合で元本が保証されていません。

    成年年齢である18歳になると、保護者のかたの同意なく、さまざまな契約が結べるようになります。「必ずもうかる投資」のような怪しい契約に飛びつくことのないよう、18歳になる前にしっかり知識を付けていきましょう。

    「もし今のお年玉を全部使わずに銀行へ預けたら、来年どれくらい増えると思う?」
    「会社にお金を出して応援する『投資』っていう方法もあるんだよ。自分が応援したい会社や商品ってある?」のように、投資について自分で調べてみようかなと思える声かけがおすすめです。

    投資を知ることで、社会や経済の動きに関心を持ち、社会貢献について学ぶよい機会になるといいですね。

    考えてみたい寄付の話

    公共団体や困っている人々に対して、無償でお金や物品などの支援を行う「寄付」。「保護猫・保護犬の支援」「子ども食堂支援」「世界中の恵まれない子どもたちへの支援」など、支援を求めている団体はたくさんあります。お子さまが興味を持っている分野を中心に寄付先を調べてみるだけでも、新たな発見につながるはずです。

    「お年玉の一部を困っている人のために使ったら、どんな人が助かると思う?」
    「自分が寄付するとしたら、動物・子ども・災害支援のどれを応援したい?」
    など、寄付について考えるきっかけとなる声かけをしてみてください。

    もし応援したい活動や団体が見つかったら、実際に寄付をしてみるのもよいでしょう。お金の社会的な役割を学ぶかけがえのない経験になるはずです。

    まとめ & 実践 TIPS

    「貯金しなさい」はもう古い?お年玉マネーレッスンのすすめ

    お年玉は、大人になった時に困らないための、必要なお金の知識と判断力を身に付ける絶好のチャンスです。お金に興味を持つことから始め、お金の計画を立て、投資や寄付といった選択肢があることを成長とともに学んでいきましょう。お年玉でお金に実際に触れ、使い、お金の価値について考えるよいきっかけになるといいですね。

    プロフィール


    海田幹子

    教育・育児、マネー等について執筆。現在、小学生2人の子育てに奮闘中。

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