小学校低学年、中だるみから脱却するには?緩んだ状態から仕切り直す方法とは?
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新学年になって、2か月以上がたちました。だんだん生活にも慣れてきたせいか、年度当初の張り切っていた気持ちも薄れ、子どもたちの気も緩みがちになってきます。
忘れ物をしたり、宿題にも気合が入っていなかったりする子どもを目の当たりにすると、おうちのかたとしては、気になりますよね。
こういった「中だるみ」を仕切り直すには、どのようにすればよいのでしょうか。
(赤ペン先生 吉田)
①もう一度生活を見直してみる
知らず知らずのうちに、ゲームやテレビの時間が増え、眠たい目をこすって宿題をする、就寝時刻が遅くなり、朝も起きられない、朝ご飯もちゃんと食べられなかった、そのせいか、何となく覇気がなくボーッとしたり、ダラダラしたりしてしまう……などのような悪循環にはなっていないでしょうか。
もし、そのような傾向があるようでしたら、どんよりとした梅雨空を吹き払うように、停滞気味の状況を一掃し、生活全般を見直してみてはいかがでしょう。もう一度新たに、学校から帰ってからのスケジュールをお子さまと相談しながら組み直すのです。
たとえば、以下のようにします。
1.学校で配布されたプリント類を出す。
2.宿題をする。
3.明日の準備をする。
このように、必ずやらなければならないことを書き出して、順番を付け、紙などに書いて、よく目につく所に貼っておくのです。そして、「やり終えたら、一つずつシールを貼っていく」などのようにすると、自分の行動が可視化できるので、励みにもなり、達成感も持てます。やるべきことができていたら、あとは自由にしてよいことにすると、ONとOFFの気持ちの切り替えもできて、めりはりが付きます。
②できることを前提とした声かけをする
おうちのかたは、お子さまの「中だるみ」が気になり始めると、つい、できていないことのほうに目が行ってしまい、それをストレートに注意したくなるのではないでしょうか。
たとえば、お子さまが忘れ物をした時、「忘れ物ばかりしてだめじゃないの!」「本当に忘れ物が多いんだから!」などと否定的に言ってしまいそうですよね。大人なら、そんなふうに言われても、「忘れ物が多いから気を付けよう」と自分で改善策を考えられるかもしれませんが、低学年の子どもは、そうはいきません。「自分はよく忘れ物をしてしまう」という言葉だけが、インプットされてしまいます。
ところで、こんな話を聞いたことがあります。
「トイレはきれいに使いましょう!」と注意書きをするより、「トイレをいつもきれいにお使いいただきありがとうございます!」と掲示したほうが、トイレをきれいに保てるという話です。
それと同じ理論です。できることを前提とした声かけのほうが、心に響き、行動に移せるのではないでしょうか。
「あなたは、忘れ物なんかするような子ではないんだから、こうすると忘れ物をしなくなるよ」と言って、一緒に持ち物の準備をし、チェックの仕方を親子で確認するとよいと思います。チェックリストを作って、紙やホワイトボードなどに書き出しておくのもいいですね。
自分は忘れ物をしないタイプだとお子さま自身が思えると、持ち物チェックにも気合が入ります。忘れ物をしなかった日は、シールを貼る、お気に入りのスタンプを押すなどのようにすると、連続記録をつくりたくて、自ら気を付けるようになるのではないでしょうか。
③自発的に行動を起こせるような声かけをする
お子さまが宿題をなかなか始められない時、「早くやりなさい!」と思わず言いたくなるのは、どのおうちのかたも同じだと思いますが、感情的に命令口調で言っても、逆効果になることのほうが多いものです。お子さまが嫌な気持ちになってしまったら、やる気は失せるばかりです。
そこで、お子さまのやる気スイッチをONにできるような声かけをご紹介したいと思います。
・「とりあえず、机の前に座って、勉強道具を出してみよう」「一番好きな教科の問題を1問だけやってみよう」
やる気を出すには、まず、簡単な行動から促すと、お子さまもこれならできそうだと思えます。取りかかることができれば、案外調子付き、どんどん乗ってきて、はかどる場合もあります。
・「今日はいつもと違う場所で勉強してみようか」
いつもと違うことをすることによって、気分転換を図れます。学校でも、席替えがあるように、ちょっとした変化は刺激になり、それがきっかけになることもあります。
・「今日の晩ご飯のおかず(またはおやつ)はあなたの好きな○○だよ! 宿題を済ませたら食べようね」
「お楽しみ」があることによってスイッチが入る場合もあります。「赤ペン先生の問題」でも、学習意欲がダウンしがちな時期は、やる気をアップできるようなお楽しみを用意しています。もちろん、「お楽しみがないとできない」となってしまっては困りますが、気持ちが停滞している時やマンネリ化している時のカンフル剤にはなるはずです。
ここで一番大切なことは、あんなにやりたくなくて、できないと思っていたのに、「やり始めたらできた!」「やればできるんだ!」という実感をお子さま自身が味わうことです。落差を乗り越えた時、快感を得られます。それが、お子さまにとってキラキラの体験になります。この「できた!」という達成感を蓄積することが、次の「やろう!」「できる!」につながっていきます。
まとめ & 実践 TIPS
「中だるみ」は誰にでもあると思います。私にもあります。やる気は起きないけれど、どうしてもやらなければならない時は、「がんばれ私!」と声に出して何度も言います。
そうすると、不思議なことに、少しだけ怠け心に勝つことができ、とりあえず取りかかることができます。するといつの間にか作業を継続でき、「予定どおり完了!」となることが多いです。やり終えたら、「よくがんばった! 私!」と声に出して自分をほめるようにしています。そんなふうにし始めてから、以前より気持ちの切り替えができるようになったような気がします。
おうちのかたも、お子さまに、温かい励ましの言葉をかけてあげてください。どんなささいなことでも認めてあげて、その一つひとつを言葉にして伝えてください。きっと、お子さまの心の深い部分に染み渡ることでしょう。それが、「中だるみ」でやる気が出ない時でも、自分の気持ちを前向きにできる力の源になっていくように思います。
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