アンガーマネジメントで反抗期に負けない親になる!プロに聞く、怒りをコントロールする5つの方法

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子どもが反抗的な態度をとったり、イライラをぶつけてきたりした時に、こちらもつい感情的に子どもを怒ってしまうことはありませんか?
アンガーマネジメントコンサルタントで、大人から子どもまで怒りのコントロール方法を教えている小尻美奈さんに「反抗期の子どもを持つ親の怒りのコントロール方法」についてお話を伺いました。

この記事のポイント

まずは子どもの怒りに飲み込まれないこと

おうちのかたに意識していただきたいことは、まずは子どもの怒りに飲み込まれないということです。
怒りというのはとてもパワフルです。そのため目に見える子どもの反抗的な態度や、言い方に目がいってしまい、「何なの! 親に向かってその態度は!? その言い方は!?」と子どもの怒りに対して、親も怒ってしまいがちですが、そうするとお互いにイライラするだけで、「何を伝えたかったのか」という大事なことは話し合われないまま、感情のぶつけ合いで終わってしまいます。
身近な対象には怒りを感じやすいものなので、ご家庭の中では、親は子に、子は親に怒りをぶつけがちです。
だからこそ、子どもの怒りに飲み込まれない、同じ土俵に乗らないということが大事になってきます。「子どもの怒りは子どもの怒り。私の怒りとは切り離す」ということをぜひ意識してみてください。感情の伝染を断ち切ることができます。

怒りの衝動をコントロールする5つの秘策

「アンガーマネージメント」では、怒らないことを推奨しているのではなく、怒ることと怒らなくてもいいことを見極め、怒る必要があれば上手に表現できるようになることと教えています。
子どもの怒りに飲み込まれて感情的に怒らないためにも、まずはおうちのかた自身が自分の怒りの衝動をコントロールできるようになるといいでしょう。
衝動で怒ると、上手に叱れずに子どもの反発を招いたり、言いたいことが子どもに伝わらなかったりするからです。

おうちのかたにおすすめするのは次の5つの方法です。

1 その場を離れる

目の前にイライラしてしまう子どもがいると、つい怒りをぶつけたくなるものです。
そのため、冷静になるためにもいったんその場を離れます。できたら離れたタイミングで、身体を動かす、音楽を聴くなど、リラックスできるといいですね。また子ども自身がカーッとなっている時は、親がいくら言っても響かないものですし、お互いのためにも離れることで、冷静さを取り戻すことができます。

2 深呼吸をする

怒っている時は、実は身体にも変化が起きています。血圧は上昇し、心拍数は上がり、息も上がって荒くなります。呼吸をふーっと細く長く吐き切るだけでも、いったんクールダウンできます。息を吐き切ると、おのずと新しい空気も入ってきますので、落ち着きを取り戻すことができます。

3 コーピングマントラ

コーピングは「対処する」という意味で、マントラは「呪文」です。
何か落ち着くような言葉を自分で発することで、怒りに対処することです。言葉は何でもよく、たとえば心の中で、「今だけ、今だけ」と言ってみたり、自分が言葉に出すことでちょっと笑えたり、好きな言葉でもいいですね。自分が落ち着きを取り戻す言葉を見つけて、怒りがわいてきたら唱えてみてください。

4 スケールテクニック

これは怒りに温度を付けるということです。
たとえば怒りを10段階と設定します。なぜこんなことをするかというと、温度を付けることによって、自分の怒りを客観視できるからです。10段階で付けますが、感覚でいいので、0は穏やかな状態とし、10は「一生に一度あるかないかぐらいの怒り」と設定するといいでしょう。上限があることで、怒りを下げることができます。

5 グラウンディング

これは今、目の前のことに集中することです。怒りがわいてきた時に、たとえば目の前にあるペンに書かれている細かい文字を読むとか、ご飯を作っている時であれば、目の前のキャベツの色を観察したり、千切りの細さを比べてみたり。あえて目の前のものに意識を集中することで、怒りから意識が逸れ、クールダウンすることができます。

怒ることと怒らないことを明確にする

「怒らない」ようにすることが大事なのではなく、怒ることと怒らなくてもいいことを線引きすることがとても大事です。
また怒りに隠れている欲求や願望を「リクエスト」と言います。
「次からはこういうことを守ってほしい」とか「次はこういうことはしないでほしい」といったものがそれにあたります。上手に怒るためには、そのリクエストを適切に相手に伝えることもまた大切です。
たとえば、脱いだ靴下を床に放置して片付けない子どもに「何でいつも脱ぎっぱなしなの! 何回言ったらわかるの!」と言うだけでは、怒りを感情的にぶつけているだけで、その怒りに隠れている「脱いだ靴下は洗濯かごに入れてほしい」というおうちのかたのリクエストは伝わりません。
リクエストを言わずに怒りの感情をぶつけるだけでは、子どもの反発心が返ってくるだけで、行動は変わりません。「これをしてほしい」、「これはしてほしくない」ということを子どもに具体的に伝えていくようにしましょう。

親自身の気持ちが満たされることで、許容の幅が広がることも

コロナ禍の今、感染状況が落ち着いてきたとはいえ、いろいろな制約もあり、親もイライラしやすくつい感情的に怒ってしまいやすい状況にあると思います。そういう時は、まずはいつもがんばっている自分を自分でねぎらってあげてください。そうすることで気持ちが少し落ち着き、満たされるものです。自分の気持ちが満たされていると、子どもを許容できる幅も広がります。

怒ると決めたことには上手に怒り、怒らなくてもいいと決めたことは、そう決めたのだから、たとえ機嫌が悪くても怒らないようにしましょう。
そうやって怒りをコントロールできるようになると、怒りで後悔するということが減っていき、良い親子関係を築いていくことができます。

まとめ & 実践 TIPS

アンガーマネージメントとは、怒りをなくすことではなく、怒ることと怒らないことを線引きし、後悔しない怒り方をすることなのだということが分かりました。また、怒りの衝動をコントロールすることで、親自身もクールダウンでき、冷静に子どもと向き合うことができそうです。

プロフィール

小尻美奈

小尻美奈

一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントコンサルタント
企業・官公庁・教育機関等でアンガーマネジメントの研修や講演を行うほか、学校でも子どもたちにアンガーマネジメントを教えている。また、アンガーマネジメントの指導者の育成にも携わる。著書に『ママも子どももイライラしない 親子でできるアンガーマネジメント』(翔泳社)がある。

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