行事の中止続きで子どものやる気が低下!わが子のやる気を高めるには?

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行事や部活など、楽しみにしていたことが次々と中止や自粛になり、何事にもやる気がわかない子どもが増えているようです。そんな今、子どもたちのやる気を上向きにするコツとは?発達心理学、学校心理学が専門の渡辺弥生先生(法政大学文学部心理学科教授)にうかがいました。カギは、「心の方向転換」だそうですよ!

この記事のポイント

不平ばかりはやる気ダウンのもと!?

長引くコロナ禍。思い切りエネルギーを発散できる場が限られてしまい、親も子も、張り合いのない日々が続いているかもしれません。だからといって、保護者のかたが不平や心配ばかり口にしていると、家の中が“負”の空気でいっぱいになってしまうので要注意!しかも、子どもはまだまだ視野が狭いので、「日本のコロナ対策は遅れているな…」などと、たとえ冗談半分にでもこぼしたことも、文字通りとらえたり、過剰に解釈してしまったりすることがあります。そうすると、ますます気持ちが不安定になり、さらにやる気ダウンにつながってしまう可能性もあるのです。

発想を変えて、今だからできることを

では、どうしたら、子どもたちを前向きな気持ちにしてあげられるのでしょうか。何事も、とらえかたしだいです。できないことに目を向けても現実は変わらないので、子どもの前で不穏なニュースを観たりするのはほどほどにして、愚痴もシャットアウト!情報を逆手に心を方向転換して、お子さまと一緒に「今だからできること」を考えてみるのもいいでしょう。
例えば、短縮授業などで少し時間ができた時には、その時間を使って図書館で好きなことに関する本を読んでみたり、家族で散歩に出かけたり、感染予防対策がしっかりとされている映画館や科学館を訪れてみたりする。また、部活や習い事の時間が減っているとしたら、サッカーであればリフティングの練習をする、体幹を鍛えるなど、苦手な技の強化やスキルアップをはかったりするのもいいでしょう。つまり、いつもはバタバタして何となく後回しになっていたことをやったりすることで、ダメージだと思っていた時間が、意外とプラスに転じたりするものなのです。

わくわくが心のエネルギーになる

ただし、「何かやりなさい」「やれることを考えてみたら?」と言うだけでは、子どもにはアイデアが浮かばないどころか、“やらされ感”を覚えてさらにやる気をなくしてしまう可能性があります。ここは保護者のかたが「あんなことができるかもしれないね」「こんなイベントがあるみたいだよ」などと、資料を一緒に集めたり、社会ではいろいろな催しがあることに気づかせたりして、具体的に提案していくといいでしょう。そして、やれそうなことが見つかったら、いざ挑戦。せっかくなので、目標や計画を立てて行動するなど、段取りを立てる練習の機会にもするというのもいいでしょう。

そうやって楽しみを持ったり、エネルギーを発散する場を持ったりするだけで、生活にハリが出たり、気分がスッキリしたりして、気持ちが上向きになるはず。そしてそれは、勉強など他のことにも前向きに取り組めるようになるヒケツでもあると思います。ぜひ親子で“やりたいことリスト”を作ったりしながら、今を楽しんでみてくださいね。

まとめ & 実践 TIPS

当たり前だったことが当たり前にできない今、どうしても“ない”“できない”ほうに目が行きがちですが、叶わないことを嘆いても何も始まりません。こんな時、方向転換して時間を有効に使おうとするか、やる気をなくして沈んでしまうかで、毎日もこれから先もきっと大きな差が出るはず。短縮授業などがあると勉強の遅れが気になるかもしれませんが、長い目で見たら、社会経験や家族とのつながりの安心感がそれほど大きなダメージではないばかりか、大きな駆動力になり得ますので、ぜひピンチをチャンスに変える工夫をしてみてくださいね。“やりたいことリスト”ができたら、やれそうなことから一つずつ挑戦していくのも楽しそうですよ!

プロフィール


渡辺弥生

法政大学文学部心理学科教授。教育学博士。発達心理学、発達臨床心理学、学校心理学が専門で、子どもの社会性や感情の発達などについて研究し、対人関係のトラブルなどを予防する実践を学校で実施。著書に『子どもの「10歳の壁」とは何か?—乗り越えるための発達心理学』(光文社)、『感情の正体—発達心理学で気持ちをマネジメントする』(筑摩書房)、『まんがでわかる発達心理学』(講談社)、『子どもに大切なことが伝わる親の言い方』(フォレスト出版)など多数。

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