絵本ナビ編集長が厳選!ハロウィンがさらに楽しくなる 「オススメの1冊」と上手な本の選び方・読み方とは

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日本にもすっかり定着してきた「ハロウィン」。仮装をしたり、かぼちゃを飾ったり、「行事」としても楽しむご家庭が増えてきました。でも、ハロウィンと子どもが最初にであう時、どうやって説明したらいいか迷いませんか。そういう時は絵本を活用するのはいかがでしょうか。年間1900万人が利用する絵本試し読みサイト 「絵本ナビ」編集長の磯崎 園子さんに、ハロウィンにオススメの絵本を年齢別にご紹介いただきました。

この記事のポイント

絵本と現実を行ったり来たりする体験が、感覚を豊かに

 ハロウィンはここ最近、日本でもすっかり行事の1つとして定着してきました。同じ行事として、例えば七夕がありますが、織姫と彦星のお話を絵本で楽しんだ後に、自分も笹に願い事を書くのと、そうでなく願い事を書くのとでは、その体験は全く違うものになります。全てを理解できなくても、なんとなくその行事の意味を理解し、その情報と実際の体験が結びつくことで、その体験は奥深いものになるからです。もともと絵本には、そういった役割があると思います。絵本の中にある知らない世界、空想の世界に入っていって、また現実の世界に戻って体験する、空想の世界と現実の世界を行ったり来たりすることで、感覚が豊かになるのが絵本の楽しみの1つだと思います。
 ここ数年、ハロウィンの絵本はぐんと増え、1~2歳からでもその雰囲気を味わえる絵本だったり、由来のお話だったり、物語などもたくさん出てきました。ぜひ、お子さんの今の興味や発達に合わせて絵本を選び、親子でハロウィンを楽しんでいただきたいです。

ハロウィンがさらに楽しくなる!「オススメの1冊」

【未就学児からオススメ】

『おかしな? ハロウィン』
作:ザ・キャビンカンパニー/ほるぷ出版


小さいお子さんがハロウィンに親しむきっかけとしてピッタリな1冊です。メロンソーダプールやおおかみのふんチョコなど、やってきた子どもの仮装にぴったりなお菓子をおばあさんが用意してくれるお話ですが、おばあさんの正体が実は…というラストの展開も楽しく、ハロウィンにちなんだお菓子と雰囲気が存分に楽しめます。おはなし会などでも盛り上がりそうな1冊です。

【小学校低学年からオススメ】

『めくってものしり絵本 もっとたのしいハロウィンがいっぱい!』
文:リチャード・プラット 絵:リチャード・ワトソン 訳:田中亜希子/小学館


私が読んで一番ハロウィンのことがよく分かり、一番役に立った絵本です。絵はユニークで、めくるしかけがたくさんあるので、低学年のお子さんから楽しめると思います。「なぜ仮装をするの?」「なぜお菓子を配るの?」といった素朴な疑問から、「イタリアでは…アメリカでは…メキシコでは…」といったハロウィンを通して世界の風習、国ごとの違いなども分かります。しかけをめくる度に親子の会話のきっかけがあり、親子一緒に学べる絵本です。

【小学校中学年からオススメ】

『まほうのハッピーハロウィン』
作:石津ちひろ 絵:岡田千晶/ブロンズ新社


子どもが、仮装をして近所の家々をまわっていくお話です。どんな仮装にしようかと迷っているところから始まり、自分でドレスを作ったり、選んだり、とてもワクワクするお話です。子ども達がみんなで仮装し、歌いながらご近所をまわっていくのですが、不思議なこともちょっと起こって、本当に楽しい夢のようなお話です。仮装やハロウィンにあこがれているお子さんにピッタリだと思います。絵もすごく素敵ですし、同年代の日本の女の子が主人公ですので、自分だったら…と感情移入しやすい1冊だと思います。

【小学校中学年からオススメ】

『ゾンビのホラーちゃん(1)ハロウィン大作戦』
作:バルバラ・カンティーニ 訳:安野亜矢子/文化出版局


物語として、とても面白い1冊です。シリーズで4冊出版されており、そのシリーズ第1作目です。ゾンビの女の子が、ゾンビだということを村の人に知られたら生きていけないので、知られずにひっそりと生きてきたのですが、ハロウィンがやって来て、どうやら村の人も仮装してみんなでおかしなことをするらしいということを知り、それなら自分も目立たないんじゃないかとハロウィンに参加し、楽しんでいたら、調子に乗りすぎて…というお話です。シリーズで続きますので、興味を持ったらまた次の1冊が楽しめると思います。

上手な絵本の選び方・読み方とは

お気に入りの絵本をとにかく読んであげる

 小さいうちはお気に入りの絵本を引っぱってきて、それを大好きなおうちの方に読んでもらうというのが、子どもは何よりも楽しみです。子どもが絵本を持ってきたら、おうちの方はぜひ読んであげてください。

子どもをよく「観察」して絵本を試す

 お気に入りの絵本ばかりだと、偏りや出会いの場が狭められてしまうので、図書館や書店に行って、その場で子どもが気に入ったもの、親が読んでもらいたいものなどをバランスよく選んでいくというのもよいと思います。そうやっていろいろなジャンルを読み進めながら、その子が興味を持つポイントは何かと「観察」するのがとても大事です。観察するうちに、「この子はもっとリアルな図鑑に興味があるな」とか、「会話をしながら読むのが好きだな」とか、その反応は様々です。その中でその子の「今」好きなものやはまっている遊びなどから、例えば「猫」が出てくるのが好きそうであれば、「この絵本はどうかな?」と選んであげると、夢中になれる絵本が増えていくと思います。

小学生になっても読み聞かせをしたほうがいい理由

 字が読めるようになると、子どもが「読んで」と絵本を持ってきた時に、親は「もう自分で読めるでしょ」と言ってしまいがちですが、絵本の世界を存分に楽しむためには、ぜひ「読み聞かせ」をしてあげて欲しいです。特に低学年のうちは、字を読むのに一生懸命になりすぎてしまい、絵の中で自由に行き来するということができなくなってしまいます。それでは絵本の世界の半分しか楽しめていません。字を読むことも大切な体験なので、自分で読むことを止めなくていいのですが、絵本を楽しむというのは、またそれとは違う楽しみがあるということを考えると、いくつになっても読んであげることは大事だと思います。児童書でも同じことが言えます。絵が少なくても、字をたどらずに、耳で聞いて、想像を膨らませる時間は作ってあげて欲しいと思います。こういった親子の読書時間はまた、すごく甘い時間、かけがえのない親子の思い出になるのではないでしょうか。

まとめ & 実践 TIPS

文字が読めるようになっても「読んであげる」ことで、子どもが絵本の世界に没頭でき、親子の甘い時間が過ごせることが分かりました。ここ何年かですっかり行事としても定着したハロウィン。絵本で世界観を味わうことで、今年のハロウィンはもっと楽しく過ごすことができそうですね。

プロフィール

磯崎園子

磯崎 園子

絵本情報サイト「絵本ナビ http://www.ehonnavi.net」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。

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