お手伝いは頑張ってさせるものではない!?子どもに台所でお手伝いをさせることの意味と実践アイデア

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いずれはひとり立ちするのだから、料理ができるようになってほしい。でも、たまにお手伝いを頼んでも身につかないし、お手伝いをさせると時間も手間もかかって気が重い…。そんなおうちのかたは必読です! 子どもの料理体験のファーストステップに大切なことと、実践のアイディアを、料理研究家の上田淳子先生にお聞きしました。

この記事のポイント

台所でのお手伝いの取り組みかた

・おうちのかたも助かる「子どもの係」で料理を身近に感じさせよう

食事は生活の基本です。だからこそ小学生のうちから台所に立つ経験をさせることは、とても大切。とはいえ「ちゃんとお手伝いをさせてあげよう」と考えると、お子さまがやりやすいように準備したり、ペースに付き合ったり、おうちのかたの負担は増えてしまいがち。毎回「よし、今日はお手伝いをさせてあげるぞ!」と気合を入れるのも大変です。
でも、もしもお子さまが料理を身近に感じるきっかけがつくれて、経験値も上がって、おうちのかたも助かる方法があれば、ずっと実践しやすいのではないでしょうか。

そこでおすすめなのが、台所での子どもの「係」を決めることです。「お手伝い」というと、大人と一緒に作ったり、作業の一部をサポートするものと考えがちですが、「係」は最初から最後まで子どもに任せるという点。子どもに任せられることなんて、あるの? という心配は不要です。係は、どんなに小さなことでもいいのです。
例えば、「麦茶係」は夏休みにピッタリ。容器に麦茶のパックと水を入れて冷蔵庫に入れればいいので、手順を説明すれば、小学生のお子さまでもできます。毎日の麦茶作りから解放されて、おうちのかたも助かりますよね。

・お手伝いで係を決めるときのポイント

ポイントは、自分が食べたり飲んだりするものを用意する係にすること。その仕事の必要性を実感できますし、自分のことは自分でするという自立の第一歩になります。ただし、コンロや包丁を使うなど、ケガの危険が伴うことは避けましょう。
食に関する係の良いところは、食べるたびに「ありがとう」や「おいしいね」と何度も言ってもらえること。自分が作ったものが評価され、自信や達成感を味わうことができるので、お子さまのやる気も持続しやすいでしょう。

台所のお手伝いで子どもにおすすめの係とは

・これならお任せできそう!子どもにおすすめのお料理係

麦茶係の他にも、簡単にできる係をいくつか紹介します。

●ヨーグルト係

毎朝ヨーグルトを冷蔵庫から出して自分で器に入れ、ジャムなど好きなトッピングをする。
ポイント:ヨーグルトを冷蔵庫に戻す、食べた後の食器を下げることも係の仕事にする

●お米係

お米をはかる、研ぐ、水加減をする、炊飯器のスイッチを入れる。
ポイント:無洗米なら、さらに簡単。慣れたら夕食に間に合う時間に準備を始める、何合炊くか決めさせるなどレベルアップする

●サラダ係

野菜を洗って、ちぎったりテーブルナイフで切ったりして盛り付ける。
ポイント:カット野菜もOK。チーズやハムなどを自由にトッピングしてもらう

●納豆係・浅漬け係

納豆を混ぜる、ポリ袋に野菜と塩を入れてもんで浅漬けを作るなど、食卓にあると嬉しい小鉢をお任せする。
ポイント:きゅうりは叩いて細かく割る、キャベツはちぎるなどすれば浅漬けに。

習慣にしやすいように、食材を子どもが取り出しやすい場所に置いたり、扱いやすい容器を使うなどの工夫を。また、思った通りにできなくても残さず食べるなどのルールは決めておきましょう。おうちのかたも少々の失敗は気にせず、次はうまくいくと励まして。

お手伝いをさせることの意味

・家事は日々続いているのだと気付かせることに意味がある

係には、生活がどのように成り立っているかを知るという大きな意味もあります。冷蔵庫を開ければいつでも麦茶があり、夕方になると自動的にごはんが炊かれるわけではありません。なくなったら誰かが作って、飲んだり食べたりした後は食器を洗い、ゴミを捨て、食材がなくなったら買って、また作る。そういう連鎖が日々行われていること、調理だけが料理ではないということに、係を通して気づいていきます。

・主体的にかかわらせることで責任感が生まれる

そのためにも、洗い物やストックの管理など、係に関することは、可能な範囲でなるべく任せてみてください。冷蔵庫の麦茶がなくなったら、頼まれなくても次の麦茶を作っていいよと伝え、麦茶やお米などがなくなりそうなときは、お子さまから知らせてもらいましょう。補充するときは、「どれがいい?」と選んでもらってもいいですね。主体的に関わることで責任感も増してきます。まずは夏休みに10日間など、期間限定でもよいので、ひとつ係を決めて食を通した学びの機会をつくりませんか?

まとめ & 実践 TIPS

「子どものためにお手伝いをさせなくちゃ」と考えないで。係を決めて任せれば、おうちのかたも助かって、お子さまの学びもいっぱいです。そして、毎日の食事は小さな手間の積み重ねで支えられていることに気づけば、一食への感謝の気持ちも育っていきます。まずは無理なくできる係で台所を身近な場所にしていきましょう。

プロフィール


上田淳子

料理学校で、西洋料理、製菓、製パンを学び、卒業後渡欧。各地の有名店で修行を積む。現在は自宅で料理とお菓子、ワイン教室を主宰している。
料理研究家として活躍する一方、双子の男の子の母としての経験を生かしながら、子どもの「食育」についての活動も行なう。

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