子どものチャレンジ精神を高めるのは「居場所」の多さ 居場所が多いほど「自己肯定感」も高まる?!

  • 育児・子育て

政府は、子どもや若者の状況とその育成・支援策について報告する2021年版の「子供・若者白書」を公表しました。居場所や相談できる人がいる子ほど、前向きな気持ちになれることもわかってきました。

この記事のポイント

「白書」で誰一人取り残さないよう求める

毎年公表する「子供・若者白書」は、子どもや若者の状況が、総合的にわかる白書です。
巻頭では、第3次となる「子供・若者育成支援推進大綱」を特集しました。この大綱は、子ども・若者育成支援推進法に基づいた、施策の全体像をまとめたものです。大綱の内容を検討する有識者会議では、子どもや若者が誰一人取り残されないよう、支援を強化すると同時に、データを有効活用して、取り組みを多面的に評価することを求めました。

自己肯定感は高まったけど…

「今の自分が好きだ」という自己肯定感を持つ割合は、2016年度の44.8%から19年度は46.5%と高まっています。
そのほかの項目は、以下のような変化がありました。

・「今の生活が充実している」
69.6%から68.9%に微減。

・「自分の将来について明るい希望を持っている」
2013年度の61.6%から59.3%に減少。

居場所(ほっとできる場所、居心地のよい場所)

・「自分の部屋」
子ども・若者は、89%から85.3%に減少。

・「家庭」
79.9%から75.6%に減少。

・「学校」
49.2%から48.1%に微減。

・「地域」「職場」「インターネット空間」
いずれも減少。

・「どこにも居場所がない」
3.8%から5.4%に増加。

居場所の数が多いほど「自己肯定感」や「チャレンジ精神」、「将来への希望」「社会貢献意欲」が高まる傾向も、浮き彫りとなりました。たとえば、居場所の数が1つだと、チャレンジ精神を感じる割合は34.9%だったのに対し、3つだと47.8%、6つだと72.1%と上昇していきます。

厳しさが続く子ども・若者の状況

「居場所」の重要性は、以前から指摘されてきました。しかし、子どもをめぐる状況は近年、厳しさを増し、なかなか居場所を確保できず、前向きになれない現状があることが、白書から読み取れます。

・「地域での付き合い」が「ある」
67.0%(2017年)から65.4%(20年)に減少。

・「団体などが行う自然体験活動への参加率」
63.3%(08年)から52.3%(16年)に減少しており、子どもと地域との関わりが薄れてきていることを示しています。

・「放課後子供教室数」
1万4,392カ所(2015年度)から1万8,031か所(20年度)に増加。

・放課後児童クラブ数
2万2,608カ所(2015年度)から2万6,625か所(2020年度)と過去最多に。

18歳未満の子どもの相対的貧困率は16.3%(2012年)から13.5%(18年)に改善が見られるものの、児童生徒の自殺者数、いじめの重大事態件数、不登校者数やSNS被害児童数、若年無業者数は軒並み増加しており、子ども・若者の生きる環境は厳しさが続いていると言わざるを得ません。

まとめ & 実践 TIPS

2020年からは、コロナ禍で社会が大混乱しました。白書は、子どもの支援団体にインタビューし、ストレスや不安を高めている子どもや保護者の状況、オンラインを活用した支援団体の対応などを紹介しています。
白書のデータは、子育て世代や教育関係者だけでなく、社会全体で子ども・若者支援の重要性を共有するためにも、重要だと言えるでしょう。

(筆者:長尾康子)

出典
子供・若者白書について(旧青少年白書)
https://www8.cao.go.jp/youth/suisin/hakusho.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

  • がんばっているのに成績が伸びない
  • 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
  • 自発的に勉強をやってくれない

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ 教育情報まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。

  • 育児・子育て

子育て・教育Q&A