「フリースクール」が不登校の親子にとって心強い存在である理由 どんな支援をしてくれる? 出席日数は?[不登校との付き合い方(20)]
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日本ではまだ、数は多くはないけれど、オルタナティブ教育(代替教育)としてフリースクールがあります。もしかしたら不登校に限らず、興味がある人はいるかもしれません。フリースクールとは、不登校の子どもに、保護者に、どんな支援をしてくれる場所なのでしょうか。「不登校新聞」編集長の石井志昂さんに伺いました。
フリースクールは、子どもの自由、自治を尊重する場所
フリースクールは、日本では1980年代以降、学校に行かない子たちの場所として誕生しました。現在、日本では200~300ほどの団体があるといわれています。なぜ「といわれている」なのかというと、「フリースクール」には公的な位置づけがなされておらず、学習塾とだいたい同じようなものとされ、正確な統計がほとんどとられていないからです。
1回だけ国としてのフリースクールの調査がなされたときのデータによれば、フリースクールに通う人は小中学生で約4100人、1団体当たり平均で13人ほどが通っているといいます。平均の月謝が33000円。私立学校よりもやや安いくらいの価格帯です。とはいえ経済的に負担が高いものですが、私の試算ではフリースクールの職員の平均月収は16万円。「安い」と言われている保育士さんでも平均月収は24万円ほどです。フリースクールには、公的資金のバックアップがほとんどないため、それだけ人件費を抑えても必要な経費は親に重くのしかかっています。
私がこれまでに取材してきたフリースクールは、子どもの自由、自治を尊重する場所です。出欠席も決まりはなく、おおむねいつ来ていつ帰ってもいい、というスタイル。いわゆる校則はほとんどなく、制服もありません。子どもたち自身がミーティングで決めたルールは守る必要がありますが、それは、フリースクール内に危険物を持ち込んではいけないとか、人に暴力をふるってはいけない、といった当たり前のルールです。
フリースクールでは講座と呼ばれる授業があり、それも出欠自由で、必須単位などの考え方もありません。教科学習以外に、田植えや花見、古本屋に行くといった体験学習があり、これも子どもは自由参加です。
一方、フリースクールが通信制高校と連携して卒業までをサポートするケースも増えてきました。
気になる「出席日数」。公教育との連携はどうなっている?
一般的にはほとんど知られていないことですが、フリースクールに通った日数は、公教育の学校の出席日数に換算することができます。この制度ができたのは、1993年。意外と古いですよね。1992年には文部科学省が、「不登校は誰にでも起こりうる」と通知し、誰にでも起こり得るなら、学校を代替する場所も必要であろうということだったのです。
フリースクールは、学校との交渉役になってくれる
フリースクールにできることとして、実質的に心強いのは、学校との交渉役になってくれること。学校側からすれば、子どもの安全を確認したいときに、その安全確認役としてフリースクールがあるということにもなります。
保護者からすると、卒業時のトラブルについての学校との交渉役として心強い存在になります。たとえば、不登校の子どもの気持ちを考えない校長先生が、「保護者が義務教育違反している」と通知したり、とにかく授業に出ないと卒業を認めないと言う、などのトラブルが、2月ごろに多く発生します。
ごく普通の保護者にとっては、校長先生から「出席日数が足りないから卒業させない・進級を認められない」と言われたら、たじろぎますよね。子どもに無理はさせたくないけれど、こう言われてはしかたがないと思ってしまうでしょう。出席日数と卒業・進学の可否は関係ないということはあまり知られていないこともあり、強く言い返せなかったり、言えたとしても非常にエネルギーを使うことになります。
そんなときに、フリースクールは頼れる場所。実際、2月ごろにはこうした相談の電話がフリースクールにはたくさんかかってきて、ほとんど春先の「定型の仕事」のようになっています。
相談だけなら無料で受けているところが多いし、相談先として親の会を紹介してもらうこともできます。子どもの居場所としてでなく、保護者も頼れる存在がフリースクールです。
まとめ & 実践 TIPS
1980年代からあるフリースクールは、子どもの自由・自治を尊重する場所。また、フリースクールに通うことによって、公教育の出席日数を認めることにもなります。実は、公立の小中学校では、出席日数が足りなくて進学・卒業できない、という規定はありませんが、こうした悩みを聞いてくれる場所として、フリースクールは頼れる存在でもあります。
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