【Q&A】中学生の約4人に1人、高校生の約3人に1人が中等度以上のうつ症状 子どもの心の不調やSOSに大人はどう対処すべき?

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新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、学校の休業措置が取られてから、約1年が経過しました。感染症の流行期に、中等度以上のうつ症状がある子どもが少なくなかったことが、国立成育医療研究センターの調査でわかりました。子どものSOSに、周りの大人は、どう対処すればよいのでしょうか。

この記事のポイント

Q.うつ症状がある子どもはどのくらいいる?

同センターは、コロナ禍における子どもと保護者の生活と健康の現状を明らかにし、問題の早期発見や予防対策に役立てることを目的として、継続的にアンケート調査を続けています。4回目となる今回は、2020年11月から12月にかけて、インターネットで実施しました。対象は、小学1年生から高校3年生に相当する子どもと、0歳から高校3年生相当の子どもの保護者です。

調査では、小4以上の子どもに、思春期の子どもを対象とした、うつ症状の重症度尺度を用いて、過去7日間の心の状態を尋ねました。その結果、小学生の15%、中学生の24%、高校生の30%に、中等度以上のうつ症状があることがわかりました。
さらに、髪の毛を抜いたり、自分を叩いたりするなど「実際に、自分のからだを傷つけたことがあるか」を尋ねたところ、全体の16%が「数日」「半分以上」「ほとんど毎日」あると回答しました。

Q.子どもたちが悩んでいることは?

一番悩んでいることとしては、「勉強のこと」(26%)、「友だち関係のこと」(12%)、「自分の心・気持ちのこと」(11%)が挙がりました。特に「勉強のこと」は、中学生で39%、高校生で35%と多くなっています。

自由記述の回答を見ると、勉強面では「学校が、緊急事態宣言で、少し休みになって勉強がおくれて勉強についていけない」「宿題が多すぎて、すきなことをする時間がない」など、友達関係では「学校再開日が遅く、少人数授業なので友達ができない」などの悩みが寄せられています。他にも「集中できない」「頑張り切れない」「自分は駄目と思い、激しく自分に怒ってしまった」などもありました。

Q.不調を解消するための行動は取れている?

悩みを誰かに話したり、気晴らしをしたりして、ストレスを減らしている子どもは、多くはありません。
相談や気晴らしをしたことが「全くない」、「少し」を合わせて約半数の子どもが、ストレスへの対処行動を取れていませんでした。
報告書は、中等度以上のうつ症状がある子どもが多いことを問題視し、さらなる調査と、早急な対策が必要だと指摘しています。

まとめ & 実践 TIPS

報告書は、腹痛など身体の不調が、うつのサインになることを指摘しています。さらに、ストレスが強すぎて本人が弱っていると、「心身のエネルギーを消耗してしまい、自力で回復するのが困難」になるとして、周期の気付きや、専門家への相談が重要だと強調しています。
同センターでは、親子でできるストレス対処法や、リラクゼーション方法なども、スライドや動画で紹介しています。参考にしてみてはいかがでしょうか。

※国立成育医療研究センターコロナ×こども本部
https://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/index.html#3tab

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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