「不登校」の子どもに対する支援方法は? 学ぶための選択肢や適切な接し方とは
- 育児・子育て
文部科学省がおこなった「不登校」に関する調査によると、平成30年度の不登校児童・生徒の割合は、小学校が144人に1人、中学校では27人に1人となっており、その数は増加傾向にあるようです。
不登校になる理由はさまざまですが、もし不登校になった場合、十分な学習ができないことも気になります。 子どもの気持ちは大切にしたい、けれど先が見えなくて将来がとても不安……そんな保護者のかたは多いはずです。今回は不登校の子どもたちに対する支援・選択肢や、適切な接し方などをご紹介します。
今、不登校へのサポートはどんどん広がっています。お子さまやご家庭に合った選択肢を、広い視点で考えるためのきっかけになれば幸いです。
学校教育や「不登校」に関する国の見解は?
現在の学校教育、とくに義務教育においての意義や役割は「個人の持つ能力を伸ばしつつ、社会で自立的に生きられる基礎を養う」「国・社会を作る一員としての基本的な資質を培う」とされています。
そしてこれからの不登校の児童・生徒に対しては「学校へ登校する」という結果のみを目標とするのではなく、自身の進路を考えつつ社会的な自立を目指す必要がある、とも。そのため不登校の場合は、その期間中もいかに充実した学びや経験を得られるか、という部分が大切になってくるのかもしれません。
ICT(通信技術を利用したコミュニケーション)を活用した学習も注目されている今、不登校に限らず多くの子どもたちに「自宅でのオンライン学習」が必要となる可能性が高まっています。「登校不要の学習環境」ができれば、不登校の大きな悩みはひとつ解消へと向かうかもしれません。
不登校の児童・生徒が学べる「支援」とは?
しかし学校へ通わなければ得られない学びなどもたくさんあります。例としては友達づくりや集団のなかでの行動のしかた、コミュニケーションの取り方などなど。公的なサポートとしてはそれを補うために、社会的自立・居場所の提供なども含めた学びの場として、通常の学校とは少し違う「教育支援センター」「不登校特例校」などを設置しています。
また、民間のフリースクールやICTを活用した学習支援をいち早く取り入れるという手も。少しずつサポート内容が違うので、お子さまの状態に合わせたものを活用しましょう。
・教育支援センター
令和元年5月時点では、約63%の自治体で設置されている「教育支援センター」。こちらでおこなう活動の内容は「社会的自立・学校復帰・自信や自尊感情を持たせる」などがメインとなっています。
また、個別の学習指導やスポーツ活動、保護者やお子さまの相談・カウンセリングをおこなっています。学校とも連携をとっていることが多く、不登校に関する相談はまずこちらで対応することになります。
・不登校特例校
不登校のお子さまの現状へ配慮し、特別な教育課程を編成する必要があるとされた場合にのみ通うことができるのが、令和元年12月時点で全国に12校設置されている「不登校特例校」です。
学校により、小中一貫であったり実習や体験型の学習に力を入れていたりと内容はさまざま。文部科学省がおこなった、平成26年度に卒業した生徒の進路調査では、全日制・通信制・定時制を含めた「進学」が82.6%、就職が0.6%、就職も進学もしていない、が16.4%という結果になっています。
ほとんどにスクールカウンセラーが配置されており、学校としては個別指導や社会性を育む指導を重視しています。
・フリースクール
フリースクールとは、国が指定するサポートや支援ではなく、個人や団体などが運営する民間の機関です。そのためスクールによって特色があり、メインとなる目標も「居場所作り・学校復帰・共同生活により自立を目指す」などさまざまです。
地域の学校と連携しているところも多く、フリースクールから学校復帰へつながることも。ただし公的な支援がないために月の学費が数万円程度かかる場合が多く、通いたくても通えない家庭が多い現状もあります。
不登校の子どもへの適切な関わり方とは?
保護者としては将来のことも気になってしまうので、やはり「学校へ通ってほしい」と思うものでしょう。でも不登校の子どもに対して必要なのは「学校へ行くこと」よりも「自分を大切にし、前を向いて行動できるようになること」です。
そのためにできることは「お子さまの選択を否定しない」「話をしっかり聞く」「お子さまの立場になって考える」などです。学校へ行きたくない・行けないというお子さまの様子がみられたら、まずはしっかりと話を聞き、学校とも連携して対応できることを考えましょう。
学校はそもそも≪社会へ出るための準備≫をする場所です。学校へ行けない・行きたくないという子どもたちに対してまわりの大人ができることは、大人だからこそ持ち得るたくさんの知識や方法を総動員し、子どもたちが将来困らず生きていける選択肢を考え、提示してあげることではないでしょうか。「学校へ行かなきゃ」と頑張り続けた結果、学校へ行けなくなってしまった子どもたち。無理をせずできる努力で、手が届きそうだと思える目標を作ってあげられるとベストです。
まとめ & 実践 TIPS
お子さまに不登校の様子があれば、まずは学校の先生に相談してみましょう。それでも改善しないようであれば、教育支援センターの利用やICT学習への切り替えを視野に入れ、学校と連携しながらお子さまを見守っていくのがおすすめです。
お子さまの「今」を大切にできるいちばんよい方法を、家族や学校などを含めた地域全体で考えて選んでいけるとよいですね。
出典:文部科学省「平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」71ページ 不登校児童生徒数の推移
URL https://www.mext.go.jp/content/1410392.pdf
出典:文部科学省「「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日」
URL https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm
出典:文部科学省「「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果」
URL https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/20/1416689_002.pdf
出典:文部科学省「不登校特例校の設置に向けて【手引き】」
URL https://www.mext.go.jp/content/20200130-mxt_jidou02_000004552-1.pdf
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