デジタル絵本は、幼いうちから見せても大丈夫?

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子どもは絵本が大好きですよね。絵本の読み聞かせは、非認知スキルを高めるとも言われており、幼児期には欠かせない遊びです。では、「デジタル絵本」はどうでしょうか? まだ見せたことがない、なじみがない、というかたも多くいらっしゃることでしょう。そこで今回は「デジタル絵本」について、幼児教育とデジタルメディアの関わりを長年研究されている、愛知淑徳大学の佐藤朝美先生にお話を伺いました。

この記事のポイント

小さいうちから「デジタル」に触れさせてもよいの?

今の子どもたちは、生まれた時からスマートフォン(スマホ)やタブレットが身近にあり、インターネットが当たり前のデジタルネイティブ世代です。乳幼児のスマホ利用実態を調査したところ、初めてスマホに触れる年齢は年々若齢化している傾向にあるという結果もあります。

参照:ベネッセ教育総合研究所
https://berd.benesse.jp/jisedai/topics/index2.php?id=5242

小さいうちからデジタル機器に触れることは、これからの社会ではより一般的になっていくと考えられます。また、未来では今以上にテクノロジーが学びを支援したり、より豊かな表現活動を可能にしたりする社会になっていくでしょう。では、いつかお子さまが触れることになるデジタルコンテンツを、おうちのかたはどのように選べばよいのでしょうか?

初めて触れるデジタルコンテンツには「デジタル絵本」がおすすめ!

小さなお子さんが初めて触れるデジタルコンテンツには、「デジタル絵本」がおすすめです。デジタル絵本は、音や動きがあるので、物語の世界に入りやすく、さまざまな角度で楽しむことができます。読者が参加して主体的に楽しめるインタラクティブなものもあり、紙の絵本とは違う魅力がたくさんあります。

日本では毎年「デジタルえほんアワード」が開催され、良質なデジタルえほんが数多く注目されています。そのような作品を参考にしながら、子どもたちの想像力を刺激し、豊かな感受性をはぐくむコンテンツを選んであげましょう。

参照:デジタルえほんアワード
http://www.digitalehonaward.net/

紙とデジタルのクロスメディアでより遊びを広げよう

「紙の絵本」と「デジタルの絵本」どちらにも良さがあり、遊びに優劣はありません。むしろ組み合わせることで、子どもの遊びはもっと広がっていきます。
たとえば、子どもたちに人気の『はらぺこあおむし』のように紙の絵本で知っているお話を、デジタルの世界でも楽しめるようなコンテンツは、子どもの想像力をさらに広げてくれます。

参照:アプリ「わたしのはらぺこあおむし」
https://apps.apple.com/jp/app/%E3%82%8F%E3%81%9F%E3%81%97%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%82%89%E3%81%BA%E3%81%93%E3%81%82%E3%81%8A%E3%82%80%E3%81%97/id972363269

また、世界的に有名な「不思議の国のアリス」は、物語だけでも十分に楽しいですが、拡張現実 (AR)で不思議な世界を体験することもできます。

参照:アプリ「不思議の国のアリス. 拡張現実 (AR). アドベンチャー」(アプリ内課金有り)
https://apps.apple.com/jp/app/%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9-%E6%8B%A1%E5%BC%B5%E7%8F%BE%E5%AE%9F-ar-%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC/id1279423433#?platform=iphone

少し大きなお子さんには、たとえば絵本や児童書、アニメで人気の『おしりたんてい』はいかがでしょうか? 絵本で見たことのある謎解きや犯人捜しの一コマを、インタラクティブに操作しながら楽しむことができます。

参照:アプリ「おしりたんてい」
https://apps.apple.com/jp/app/%E3%81%8A%E3%81%97%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%82%93%E3%81%A6%E3%81%84/id461348340?mt=8

ただし、デジタル絵本はお子さんが一人で楽しめるものが多いので、つい長時間与えてしまいがちです。親子でプロの朗読を楽しんだり、デジタル絵本の音や動きを楽しんだりと、デジタルを介する場合でも親子で楽しむ気持ちを忘れないでくださいね。

まとめ & 実践 TIPS

紙の絵本の良いところも、デジタルの絵本の良いところも、両方を取り入れるのがこれからの絵本の楽しみ方。また、どこでも遊べるのがデジタルの魅力でもありますよね。お子さんにまだデジタルコンテンツを見せたことがないというかたや、動画視聴の時間が多くて気になっているというおうちのかたは、一度デジタル絵本を試してみてはいかがでしょうか?

プロフィール



愛知淑徳大学人間情報学部准教授。東京大学大学院学際情報学府博士課程、情報学環助教、東海学院大学子ども発達学科を経て現職。教育工学、幼児教育、家族内コミュニケーション、学習環境デザインに関わる研究に従事。日本子ども学会(理事)。オンラインコミュニティ「親子de物語」で第5回、「未来の君に贈るビデオレター作成ワークショップ」で第8回、「家族対話を促すファミリー・ポートフォリオ」で第11回キッズデザイン賞を受賞。

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