子どもや社会のよりよい暮らしにつながる「非認知スキル」を伸ばすことの大切さ

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内閣府の調査で、子どもや若者の約半数が、困難な経験をした時に、家族や友人の助けが回復のきっかけになった、と考えていることがわかりました。しかし、誰にも相談したいと思わない子どもや若者も、一定割合います。国はこの10年間、若い世代を支援する施策を充実させてきましたが、今後いっそう力を入れる必要がありそうです。

この記事のポイント

関わりが深い「家族・親族」「学校の友人」

2020年版「子供・若者白書」冒頭の特集では、満13歳から満29歳までの子どもや若者の意識と、求める支援について調べました。「会話やメール等をよくしている」「何でも悩みを相談できる人がいる」など関わりの深い人を尋ねたところ、どの項目でも「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の割合が最も高かったのは「家族・親族」でした。これに、「学校で出会った友人」「職場・アルバイト関係の人」「インターネット上における人やコミュニティ」が続いています。

誰にも相談できない子どもも

社会生活や日常生活を円滑に送ることができなかった経験(困難経験)が「あった」「どちらかといえばあった」と答えた49.3%のうち、困難改善のきっかけは「家族や友人の助け」(31.0%)、「時間の経過で状況が変化した」(24.2%)、「就職・転職した」(11.6%)、「学校に相談した」(9.5%)などとなっています。
一方、困難改善の経験が「なかった」と回答した者は、「誰にも相談したり、支援を受けたりしたいと思わない」(28.6%)、「メールで相談する」(24.5%)との回答が多くなっています。人と会うなどして困難を改善するきっかけを得られない子どももいるのです。

「非認知スキル」を伸ばすことの大切さ

政府は、ニートやひきこもり、いじめ、児童虐待などの問題を解決するため、2009年に「子ども・若者育成支援推進法」を制定し、若年層の支援の充実を目指してきました。しかし、今回の白書を見ると、子どもや若者が家族や友人以外と関わり、相談することに前向きだとは言えません。
自治体が円滑な支援のために設置できる「子ども・若者支援地域協議会」は、2020年3月末現在で、まだ126地域にしかありません。法施行から10年が経過し、政府の有識者会議では、施策点検が行われています。

まとめ & 実践 TIPS

子どもや若者への支援の充実は、本人のためだけではありません。白書では、「社会のために役立つことをしたい」と思う子どもや若者の割合は、困難改善経験をしている場合(80.9%)のほうが、困難な経験をしたことがない場合(71.9%)よりも多くなっています。
誰もが健やかに育つことは、さまざまな格差を是正することにつながり、社会全体の力を維持することになります。経済協力開発機構(OECD)が提唱する学習の枠組み「ラーニング・コンパス」では、子どもたちの学びの目標を「ウェルビーイング」(幸福度)に置いています。知識だけでなく、意欲や挑戦、仲間との協働といった「非認知スキル」を伸ばすことが、個人や社会のより良い暮らしにつながる、と考えているのです。
すべての子どもや若者の非認知スキルを伸ばすためにも、多方面から支える仕組みと取り組みが求められています。

(筆者:長尾康子)


内閣府 「子供・若者白書」
https://www8.cao.go.jp/youth/suisin/hakusho.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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