今年の1年生、集団としての友だちづくりをどう見守る?

この春、あらたに「1年生」になった子どもたちは、新しい友だち作りのスロースターターとなりました。「お友だちと仲良く」という以前に、そもそもみんなと会えない状況を、大人はどう見守るのか、都立大学 人文社会学部 准教授、酒井厚先生に伺いました。

この記事のポイント

ちょっと隣の席の人とおしゃべり、も難しい今の状況

この春、入学式も簡略化されたり中止になったりしたあと、ようやく学校が再開したけれど、分散登校もあって、子ども同士がクラス全員で顔を合わせる機会もほとんどないような状況が続きました。

ようやく全員で会えるようにはなったものの、子どもたちは、登校しても学校で長い時間は過ごせないので、学校生活のペースをつかめないでいる、というのが現状だと思います。特に友だちづくりは、みんなマスクで顔を覆い、給食も前を向いてという状況で、お互いの表情もよく見ることができないし、ちょっとおしゃべりするということもしづらくて、なかなか難しいかもしれません。

新1年生の友だちづくりの課題

小学校でも中学校でも高校でも、1年生で入ったときの友だち作りへのハードルは、子どもの個性によって違うものです。
それに加えて今回は、分散登校や時間短縮があって友だちと関わる機会が限定され、学校の先生としても、班活動や行事の面などで、これまでと違う段取りで子どもたちと関わらなくてはならず、友だちづくりが難しくなることがあると思います。

また、中学生や高校生になると、趣味や価値観、勉強の程度といったことから友だち集団ができていくものなので、部活動が十分にできない今、そうした友だち作りができないこと、また友だちと関わりながら興味を持つことに熱中したり、自分について考えたりする機会が少なくなることの問題を考えることも必要でしょう。

それでも、学校は徐々に再開し、友だちと会える機会は戻ってきています。ゆっくりではあるけれど、友だち関係のスタートに遅いということはないので、これから少しずつ作られていくと思います。

全員でなかなか会えない、という状況での友達作り

学校のクラスのように、子どもたちが大人数で集まって過ごしていると、気の合う友だち同士で小さな集団を形成するようになります。こうした集団は、子ども同士で関わり合いながら社会性を学んだり、互いの個性を知ったりと、子どもの心理的な発達にとって重要なものです。

分散登校が行われると、これまで仲が良かった子と同じグループではない場合には、会いづらくなって関係性が変わってしまうということが起こるかもしれません。

班活動や部活動などの、これまでクラス内での集団をつくる要素のほかに、分散登校のグループができることで、子どもたちの関係が少し複雑な構造になっていきます。分散登校によって、分散されたグループの中で会っている友だちとの関係性が優先されることで、これまでの友だちとの関わりがうまくいかなくなることもありえます。

クラス内にできあがった集団がいくつかあると、そこにヒエラルキーができてしまうことがあります。集団と集団の間の葛藤が生まれると、それだけが原因ではないけれど、集団間のいじめにつながるリスクは否めません。

どこかのタイミングで、クラス全体で会うことになったときに、そこから全体での友だち関係をどう築いていくかを考えていくことが必要でしょう。

友達とコンタクトがとりやすいような環境を家庭でも作ってあげて

たとえば登校グループや班分けを、グループごとにいろいろな組み合わせで子どもたちが会えるようにするということも大事。毎日違うとまたそれはそれで友だちができないけれど、ある程度同じグループでの行動をしたら、別の組み合わせにしたり。そういう工夫は学校でも、すでにされているのではないかと思います。

いろいろな友だちと関わる、ということについては、今は家庭でもサポートしていかなければならないところ。友だちとコンタクトがとりやすいような環境を作ってあげるという役割を家庭でも担うことになります。友だち関係について、子どもを観察しつつ、子どもを信じて見守るという必要が出てくるでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

今年の1年生が友だち関係をつくることについて、<スタートは遅れているが、これから進んでいくと言うこと>、<分散登校によるグループ分けが、集団としての友だち関係に影響している可能性があること>を大人は意識しておきましょう。そのうえで、<子どもが友だちと関わる機会について、家庭でもサポートが必要>ということについて、保護者は知っておく必要があります。

プロフィール

酒井 厚

酒井 厚

東京都立大学 人文社会学部 准教授
早稲田大学人間科学部、同大学人間科学研究科満期退学後、山梨大学教育人間科学部を経て、現在は東京都立大学人文社会学部准教授。主著に『対人的信頼感の発達:児童期から青年期へ』(川島書店)、『ダニーディン 子どもの健康と発達に関する長期追跡研究-ニュージーランドの1000人・20年にわたる調査から-』(翻訳,明石書店)、『Interpersonal trust during childhood and adolescence』(共著,Cambridge University Press)などがある。

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