ネガティブ思考をポジティブ思考に変えるには、物事の良い面に注目するという習慣が必要

感染症対策はまだ気を抜くことはできませんが、学校への登校も再開して、日々変わっていくことに対する不安も大きいとき。「以前のような生活をしたいのに、思うようにできない」とついネガティブな思考になりがちですが、そこをどう打破したらよいでしょうか。法政大学人文科学研究科の渡辺弥生先生にお話を伺いました。

ネガティブ思考を打ち消すことではポジティブな方向へは向きにくい

再び学校が始まるとなると、“あ、また早起きか”とネガティブ思考が頭をもたげます。でも、考えてみると、朝決まった時間に起きて、夜更かししないで眠る、という生体リズムにかなった生活にまた戻れるわけで、ダラダラ生活から脱することができます。心身にとっては良い方向に戻れるのです。ところが、人はとかく、なんでも悪いほうへと考えがちです。病は気からというように、どんなことでも、考え方によって、物事はネガティブにもポジティブにもなるものなのです。

不安なことや、ストレスに直面したときに、人は自分を守るため、あれこれ対処しようとするものですが、これをコーピングと言います。このコーピングが、ネガティブな結末にならないためにどうしたらよいでしょうか。本来、不安やストレスの原因をストレッサーと言いますが、このストレッサーを突き止めてそれに対して適切に対応する方法がありますが、できるだけ楽しい気持ちになるコーピングをしたいものです。

そもそも人の人生は、常に、不安やストレスを予測してそれと戦うために生きているのではありません。同時に、各自が持っている強み(ストレングス)や能力や、可能性に限界を見つけるために生きているわけではありません。むしろ、夢や素晴らしい願い、自分や誰かの幸せをかなえるために生まれてくるものではないでしょうか。親になると、子どものことが心配なあまり、つい、視野が狭くなりがちです。将来不登校にならないか、いじめられないかなど、先々のことを心配しすぎるあまり、おどおどした生活になりがちです。でも、よく考えてみてください。目の前の子どもは、親も予測できない素晴らしい才能やユニークな可能性を秘めているのです。ある程度の問題の予防策を考えることは良いことですが、もっと、親子で生活を楽しみ、どうすれば我が子が日々の学校で生き生き毎日過ごせるかに知恵を使っていきませんか。

楽しいことを考え、ワクワクするためには、想像力と創造性が大切です。“ウイズコロナ”の時代と言われていますが、そのことだけで、不幸だな、と大くくりに思ってしまうと、やるせないですね。人と人との繋がりの大切さを深く考えられる時代が到来した、と考えるとどうでしょう。あまり他人のことを考えてこなかったけど、もっと人としゃべりたいな、と思った人は多いのではないでしょうか。人はやはり人を求めているのですね。また、新しい生活様式を考え出そうと、もうアイデアを出して、ワクワクしている人たちもすでにいます。そこに続いて、ワクワクする人が増えていくとよいのではないかなと思っています。

プロフィール


渡辺弥生

法政大学文学部心理学科教授。教育学博士。発達心理学、発達臨床心理学、学校心理学が専門で、子どもの社会性や感情の発達などについて研究し、対人関係のトラブルなどを予防する実践を学校で実施。著書に『子どもの「10歳の壁」とは何か?—乗り越えるための発達心理学』(光文社)、『感情の正体—発達心理学で気持ちをマネジメントする』(筑摩書房)、『まんがでわかる発達心理学』(講談社)、『子どもに大切なことが伝わる親の言い方』(フォレスト出版)など多数。

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