手洗い・せきエチケットの基本を見直そう

新型コロナウイルスによる肺炎の心配が、日本でもなかなか終息しません。ワクチンや特効薬がまだないなか、子どもたちや学校の教育活動への影響が懸念されます。手洗いと、せきエチケットが予防の基本と言われます。インフルエンザ対策なども含め、学校や家庭でも正しい予防方法をおさらいしたいものです。

感染予防の意識は半分

中国湖北省で発生した新型コロナウイルスによる肺炎について、政府は2月16日、流行手前の「国内発生の早期」段階にあるとの認識を示しました。現時点で、このウイルスに有効な薬はないため「手洗い」と「マスクの着用を含むせきエチケット」は一人ひとりが基本動作として続けたいものです。

厚労省は、感染症対策をまとめたチラシを作成しています。それによると、手洗いは石けんを使い、指先や爪の間を念入りにこすること、指の間や手首まで忘れずに洗うことが大切です。爪は短く切り、大人は時計や指輪を外します。石けんで洗い終わったら、十分に水で流し、清潔なタオルやペーパータオルで水気を拭き取ることを勧めています。

では、私たちはどの程度、手洗いを意識しているのでしょうか。ノロウイルスによる食中毒防止のため、2015年に消費者庁が全国の16~65歳の男女2,000人を対象に行った調査によると、手洗いの目的について「汚れを落とす」と回答した人が89.1%いたのに対して、「感染予防(自分が病原体に感染しないため)」が50.9%、「汚染防止(自分が食品等を汚さないため)」は41.0%と、感染予防に対する意識は半数にとどまっていました。また、手洗いの方法について「学んだことがあるし、覚えている」人のほうが、「学んだことはない」人よりも、手の洗い方に気を付けていることもわかりました。消費者庁は▽目に見えない病原微生物を洗い流すことを意識する▽トイレの後、食事前等には必ず手を洗う▽正しい手洗いの方法を学ぶ……などを呼びかけています。

冬は水が冷たいため、指先を数秒濡らすだけだったり、ハンカチを忘れて手を振ってそのままにしたりしがちです。学校では毎年、感染症予防のために手洗いを呼びかけていますが、改めて手洗い指導を徹底することが求められています。

せきやくしゃみは手で受けない

せきエチケットとは、咳やくしゃみをする時に、鼻や口を押さえて、飛沫を周囲の人に移さないようにするマナーを言います。ところが、今回はマスクの売り切れが続出。政府は増産を支援すると言いますが、しばらくは品薄状態が続きそうです。そのような場合は、ハンカチやタオル、ティッシュなど口をふさげるものを利用、とっさの時は袖で口や鼻を覆います。手で受けるのは、手を介した感染につながるので避けるべきです。

新型コロナウイルスに限らず、インフルエンザや溶連菌感染症など、集団生活を送る場で心配な感染症は少なくありません。家族・学校そろっての手洗いやせきエチケットの徹底が予防対策になります。

どのぐらい怖いかという情報ばかりに引き寄せられるのではなく、最新の情報を知り、生活習慣の見直しから始めることが大切ではないでしょうか。

(筆者:長尾康子)

※ 厚生労働省 感染症情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.html

※ 消費者庁 手洗いで感染予防!
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/151112kouhyou_1.pdf

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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