幼児期ならではの「感性」の伸ばし方

日々の暮らしの中で、子どもの自由な発想を目にしていると、その子ならではの感性をもっと育んであげたいと考えている保護者のかたは多いのではないでしょうか。
そこで、子どもの感性を育てるには、大人はどのようなサポートをすればよいのか、白梅短期大学保育科教授の花原幹夫先生に教えていただきました。

自由な発想を楽しめる幼児期が感性の伸ばしどき

感性とは、一言でいうと、「その子なりの感覚によって世界を捉える力」だと考えています。この場合の感覚というのは、「楽しい」「気持ちいい」「美しい」「不思議だな」「なんでだろうな」「変だな」「嫌だな」という全てのことで、どんな子どもでも生まれもっているものです。

例えば、6カ月の赤ちゃんがイスに座っているとき、テーブルの天板に足をぶつけてトントンと音を出す行動をすることも、誰から教えられたものでもない感性があるからすることです。

こうした感性は、これからの時代に、自分なりの考えを表現することにもつながるもので、ぜひ伸ばしていきたいものですね。「この子は今、こんなことを感じ楽しんでいるんだな」と、じっくりと感性を伸ばしていけるといいですね。

また、小学校入学前の幼児期は、成績などの評価を受けることなく、その子なりの感性が光る表現ができる時期です。気をつけてほしいのは、答えは必ずしも必要ないということ。その表現を保護者のかたがじっくりと受け止め、自己肯定感を育んでいくと、子どもの感性は伸びてゆくはずです。

感性は結果ではなくプロセスを認めることが大切

子どもは、生活や遊びの中で五感を通していつも楽しさや心を動かされる出来事を感じ取っています。それらの行動の裏では、「子どもが主体的に感じる、考える、行動してみる(表現してみる)」というサイクルが働いています。大切なのは、このサイクルの<結果>ではなく、<プロセスそのもの>を認めるということです。

例えば、道を歩いているときに、落ちている木の枝や石を触ったり拾ったりしているときは、「そんなもの触っていないで早く行くよ」などと言わず、子どもが感じていることを理解しながら、できるだけ待ってあげられるといいですね。また、風の音や雨の音、身近にある草や花の形や色など、自然の中にある音、形、色などに気づいたり、さまざまな素材に触れる手助けしてあげるのもよいでしょう。

子どもと対等な立場で楽しむことが多様な感性を育む

子どもがかいた絵やつくったものなどに対して、どう応えていいのかわからないという保護者のかたもいらっしゃるかもしれません。
つい、「上手にできたね」「何をかいたの?」「もっとこうすればいいんじゃない」などと、評価するようなコメントをしてしまいがちですが、「お母さんは、この色が好きだな」「この線、元気があっていいね」など、子どもと対等な立場になり、「私はこれが好き」というIメッセージで感じたことを素直に伝えるのがいいでしょう。

何より大切なのは一人ひとりおもしろいと感じることは違うということを理解することです。このようなことを意識して子どもと接していると、子ども自身も自己肯定感がより高まり、「人との違い」を認め合える豊かさが育まれていきます。

正解がない問題が山積のこれからの時代は、何が課題かを判断したり、解決策を生み出したりする“考える力”が注目されています。自分なりの「感性」を育むことは、主体的に考える土台として、今後ますます必要となってくるでしょう。

プロフィール

花原幹夫

白梅短期大学保育科教授
1956年大阪府生まれ。武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒業。子どもの表現(主に造形)と遊びについて教育・研究を行っている。



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