「間接褒め」が重要! 子どもが賢くなる夫婦の会話とは?
お子さまに何かを伝える時には、理由を一緒に伝えたり、「ママはこうしてほしいな」とIメッセージで伝えたりと工夫しながらお子さんの自立を促しているというご家庭は多いかもしれません。
フリーアナウンサーで母でもある天野ひかりさんは、著書『賢い子を育てる夫婦の会話』(あさ出版)の中で、親子の会話だけでなく、夫婦やママとおばあちゃん、同居する家族の会話もお子さまに大きな影響を与えているといいます。どういうことなのか、話を伺いました。
夫婦の会話が子どもの成長に大きな影響を与える
私が開催している子ども自身が自分の思っていることを言葉で表現するコミュニケーション力を培うためのプログラムを行う中で、コミュニケーション力がぐんぐん伸びていくお子さまのご家庭では、子どもにとって一番身近な存在であるお母さん、お父さんからの日常の言葉がけが違うこと、さらには何気ない夫婦の会話が子どもの力に大きく関係していることに気づきました。
そこで、夫婦間の会話をサポートするプログラムを行ったところ、「うちの子はなんて育てにくいのだろうと悩んでいましたが、自分の声かけを変えたら親子関係も夫婦関係もよくなりました」と涙ながらに語ってくださるお母さんもいらっしゃいました。
そのことから、今は、お子さまへの直接的な言葉かけだけでなく、実は夫婦の会話も大きな影響があるのだということをお伝えしています。
間接的に子どもを褒めることの影響は大きい
日本は、世界の中でも夫婦の会話の時間が少ないと言われています。
これは、子どもや子育てに関する会話は夫婦の会話ではない、と皆さんが思っているからかもしれません。もちろん、新婚時代や恋人時代のような会話とはいかないかもしれませんが、私は「今日、この子はこんなことしたよ」「今日はお手伝いをしてくれて、すごく嬉しかったよ」「この前はできなかった○○ができるようになったよ」など、子どもの話を含めて夫婦の会話と考えていいと思います。そして、会話を近くで聞いているお子さまにとっては、それがお子さまのコミュニケーション力や自己肯定感、考える力につながるのです。大人同士の人間関係でも、褒められたことが間接的に本人に伝わると、人間関係が良好になるのと同じようなことです。
相手の立場に立ってみるとかけてほしい言葉がわかる
では、具体的にどんなことに気をつけて会話をすればいいでしょうか。それは、親が子どもに「言い聞かせる」のではなく、「自分で考えて行動させる」ような夫婦の会話を心がけるということです。
「自分で考えて行動する子」を育てるには、まずは相手を認め、自己肯定感を育むことが大切です。そのためには、認める言葉かけをします。
例えば、宿題をやろうとしない我が子に、どう声をかけるのがいいでしょうか。一見、宿題をやらない子に、認めるポイントはないように思えます。でも、ここで見方を少し変えてほしいのです。宿題をやらないお子さまは、その時、何をしているでしょう?ゲームをしていたり、お絵かきをしていたり、本を読んでいたり、その時々に夢中になっていることがあるかもしれません。ですから、「そんなに集中してすごいね」「そのゲーム、どんなところがおもしろいの?」など、まずは認める言葉をかけてあげてください。お子さまは、そうして認められたあとなら、宿題をやらなくてはいけないということを受け入れやすくなると同時に、お母さんにも言い分があることを理解し、他者の言い分を認めるということを学ぶことになるのです。
このようなお話をすると、「うちの子はゲームをするでもなく、ただぼーっとしていて宿題をやらないのですが、なんと声をかけたらいいですか?」という質問をいただきます。そんな時は、自分に置き換えて考えてみてください。朝から家事をこなし、子どもの学校の用事を片付け、仕事をし、夕食の買い物をし、クタクタになって帰ってきてソファーに寝転んだその時に、あとから帰ってきた夫に「ゴロゴロしていないで、夕食を作って」「俺だって疲れているんだ」などと言われたら、とても嫌な気持ちになると思います。そんな言葉より、「今日も一日お疲れさま。少しゆっくりしてから夕食にしようか」と言われたいですよね。
お子さまもそれと同じです。ぼーっとしているように見えるけど、学校で、お母さん(お父さん)が見ていないところで嫌なことがあったのかもしれませんし、もしかしたら友達とちょっとしたトラブルがあって、どうしようか考えているということもあるかもしれません。そんな時に「ぼーっとしてないで勉強しなさい」と言われたら、辛いですよね。「今日も一日頑張ったね」「お母さんも大変だったから、ふたりで少し休憩しようか」と、相手の立場に立って、自分がかけられたら嬉しいと思う言葉をかけてほしいのです。
「認める言葉かけがわからない」というかたは、お子さんの、そして夫(妻)の立場に立ってみて、自分が言われたら嬉しいことを言ってみる、そうした言葉かけができると、お子さまの自己肯定感も育まれると思います。
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『賢い子を育てる夫婦の会話』(あさ出版)
天野ひかり (著), 汐見稔幸 (監修)
子どもは「夫婦の会話」を聞いて、大きく影響を受けています。
本書では、NHK教育テレビ『すくすく子育て』でキャスターを務め、自らも子をもつ母である著者が、
夫婦の会話でみがかれる子どもの「5つの力」と毎日の夫婦の会話のコツを紹介。怒らないと勉強しない、
自分の思いをうまく言えない、友だちや学校の話をしなくなった……といった子どものふるまいが心配な人、
パートナーとの子育てに悩みがちな人は必読です!
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