早まる真夏の暑さ 熱中症にご注意!

今年は梅雨入り前から列島各地で真夏並みの暑さになる日が連続しています。気温が上がると心配なのが、熱中症です。環境省は「暑さ指数」を公表し、熱中症予防への注意喚起を促しています。運動会や校外学習などの屋外行事が増え、部活動の練習が活発になるこの季節、学校も家庭も正しい知識を持ち十分な対策を取りたいものです。

学校での発症は年4000件

気温が高くなってくると、熱中症への警戒が必要になります。 日本スポーツ振興センター(JSC)の調べによると、学校の管理下における熱中症の医療費給付件数は年間で4,000件以上となっていて、約8割が体育・スポーツ活動中に起きています。
熱中症による死亡事例は減少傾向にあるものの、過去43年間の状況からみると、▽野球やラグビー、サッカーなど屋外スポーツで起きやすい▽柔道や剣道など、厚手の衣服や防具を使うスポーツでも起きる▽登山やマラソンなど長時間にわたり行う活動に多く発生▽7月後半から8月に多く発生するが、梅雨明けの急に気温が上がるころ、また、夏以外でも長時間の運動や行事で発生する……といった特徴が見られます。

熱中症は暑さで体温が上昇し、脱水や塩分不足などから、めまいや吐き気、頭痛などの症状が起きます。JSCは熱中症予防の原則として、▽環境条件を把握し、それに応じた運動、水分補給を行う▽暑さに徐々に慣らしていく▽個人の条件を考慮する▽服装に気をつける▽具合が悪くなったら早めに運動を中止し、必要な処置をする……を挙げています。

危険度の判断は「暑さ指数」で

熱中症を防ぐ第一歩として環境条件の把握が挙げられますが、気温だけで判断するのは危険です。湿度と日射や気流の要素も加えた「暑さ指数(WBGT)」で判断することが望ましいとされています。
WBGTは1954年に米国で提案されたもので、JSCはこれを取り入れた「熱中症予防運動指針」を提示しています。WBGTは気温と同じ摂氏で表しますが、WBGT31℃以上では運動は原則中止、28℃で厳重警戒、25℃以上では警戒、としています。
日々のWBGTは、環境省の熱中症予防情報サイトで、実況と予測が発表されています。現在地だけでなく「体育館」「子供」「駐車場」など生活の場における参考値もあり、1日の危険度が一目でわかるようになっています。WBGTを活用したスマホアプリなどもあるので、活用してみてはいかがでしょうか。

JSCは今春、新たに熱中症予防のパンフレットを作成し、水分補給の工夫や、体育・スポーツ活動の進め方についても詳しく記述しています。熱中症対応フローに基づいた救急処置の動画も、YouTube上で公開中です。
運動会や校外学習などの屋外での行事が増え、運動部系の部活動も本格始動するこの時期。熱中症対策には社会全体を挙げての警戒態勢が取られますが、予防に関する知識は何度でも見直しておきたいものです。

(筆者:長尾康子)

※日本スポーツ振興センター 熱中症予防のための啓発資料-知って防ごう熱中症—」
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/Tabid/114/Default.aspx

※日本スポーツ振興センター 動画 熱中症を予防しよう
https://www.youtube.com/watch?v=55HraW-3P4k

※環境省 熱中症予防情報サイト
http://www.wbgt.env.go.jp/

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

子育て・教育Q&A