学力の土台や将来に役立つ!非認知能力の伸ばし方

忍耐力や協調性、意欲といった一般的に学力テストなどでは測れない「非認知能力」に昨今、注目が集まっています。それは、読み書き、計算などと違い、成果が見えにくいものですが、幼児期に伸ばしておくことで、小学校以降の学力の土台となったり、将来的な成功に結びつきやすかったりということがわかってきたためです。
 東京大学名誉教授・白梅学園大学名誉学長の汐見稔幸先生に家庭でできる「非認知能力の伸ばし方」についてお話をうかがいました。

「非認知能力」は日常の中で育つ

—幼児のお子さまをおもちのかたを対象にアンケートを行った結果、「非認知能力」という言葉を知っているかたのうち約62%のかたが、「非認知能力」を伸ばすために何か取り組みたいが、何をやればよいかわからないと回答しました。

※0歳~5歳までのお子さまをおもちのおうちのかた515人のうち、「非認知能力」という言葉を知っていた134人を対象に2018年12月にマクロミルで実施したアンケートより。

 汐見:「非認知能力」とは、決められたことを粛々とこなすのではなく、生活の中で工夫する体験や、遊びの中で育むことができるスキルです。たとえば、遊びの手順を考える、試行錯誤する、没頭する…これらの 体験は、すべて「非認知能力」を伸ばすために役立ちます。また、子ども同士で相談したり、頼ったり、頼ら れたりする体験も、社会性やコミュニケーション力、対人関係力などに結びつきます。日常の遊びや生活の 中で伸ばしていける力なので、子どもと丁寧に会話したり、一緒になって遊んだり、何かものを作ったりす る体験をたくさんすることがおすすめです。

AI時代を生き抜くのに必要なのは「思考力」

 これからはAI(人工知能)時代になっていきます。だからこそ、コンピュータが考えられない感性や思考力が重宝されます。親は子どもが絵を描いているときに、「なんで葉っぱを赤で描くの?夏の葉っぱは緑でしょ」などといった声をかけるのではなく、「どうしてこう描いたの? 教えて!」と聞いてみたり、「おもしろいねー」と共感したり。その子のこだわりを否定せずに認めてあげることが大事です。また、「ママはこう思うよ。あなたはどう思う?」というある意味対等な会話をすることです。そうやっていくことで、子どもも一生懸命考え、必然的に思考力が伸びていきます。
 思考力があれば、AI時代も生きていけます。面倒なことはAIに任せ、我々は楽しめばいいのです(笑)。
そういう時代になるのであれば、機械ではできない発想のおもしろさやこだわりを大事にしたいですね。

これからは多元化社会
家庭ではその練習ができる

—父親、母親とで、子育てにおいて役割に違いはあるのでしょうか。

 家庭に母親と父親がいるのであれば、2人が違う文化を持っている。そのことを子どもに伝えていくのが大事だと思います。たとえば、ママは意外とおおざっぱ。パパは細かい。またはその逆など。僕は子どもには「人間にはいろんなタイプがあって、それぞれのこだわりがあるんだ」ということを知ってもらうことが大事だと思っています。
 この先どんどん価値観が多元化していき、多様な人たちと出会っていく子どもたちなので、その練習が家庭でできると考えるといいと思います。「絵本を読むのはママ」などと決めつけず、パパが読むとまた違うものになったりするので、それを楽しむ。
 母親だから、父親だからという役割を担うのではなく、男しか、女しかできないものとも考えず、やり方が違う、こだわりが違う、「違い」を大事にすることを、子どもに見せるのがいいと思います。
 いろいろなことを子どもと体験して、子育てを楽しんでくださいね。私も子どもを3人育てましたが、3人とも何に興味があるかは違います。それぞれの違う個性を受け止め、見つめることが大事かなと思います。

—いかがでしたでしょうか。
汐見先生に、「非認知能力」の伸ばし方と家庭における親の役割についてお話をうかがいました。

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【お話をうかがった人】

プロフィール

汐見稔幸

汐見稔幸(しおみ としゆき)先生

東京大学名誉教授・日本保育学会会長・白梅学園大学名誉学長
1947年 大阪府生れ。専門は教育学、教育人間学、保育学、育児学。
自身も3人の子どもの育児を経験。現代の父親・母親の応援団長を目指している。
小西貴志氏らと21世紀型の身の丈に合った生き方を探るエコビレッジ「ぐうたら村」を建設中。

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