子どもの潜在能力をどんどん引き出す!子どもが本気になる関わり方

今年もまた進入学の季節を迎えました。私の周りでも、先月から目標達成の報告をいくつも聞くことができました。とりわけ、つい半年前まで、「受験勉強にやる気がわかない」と言って、まったく勉強しようとしなかったAさんの高校合格の知らせは、とても嬉しいものでした。子どもが本気になった時の可能性は無限大だなと感動します。
この半年間、Aさんにはいったい何があったのでしょうか?

■目標達成する価値を見出す問いかけ

「受験だから勉強しなさいって言われても、別に高校に行きたいわけじゃないから、なんかやる気になれないんですよね」
そんなことを言っていたAさんは、昨年9月のある日、友達のお母さんと話す機会があったそうです。このお母さんはコーチングを学んでいる人で、コーチとして対話をしてくれました。

「Aさんは、どんな高校だったら行ってみたいと思う?」
「え〜?よくわかんないです」
「そっか、じゃあ、どこか高校に入ったとして、どんな高校生活を送りたい?」
「え〜?それも別に。・・・毎日、学校行くのが楽しいなって思えたらいいです。勉強も大事だと思うけど、勉強は私にとっては楽しくないです」
「そうなんだ、どんなことだったら楽しいかな?」
「うーん、何だろう?普通の机に向かってやる勉強じゃなくて、もっと現実的なことを体験したいっていうか、世界のことを知りたいっていうか、将来、留学とかしてみたいですよね!」
「へぇ!すばらしいね!そういえば、〇〇高校って国際交流に力を入れていて、交換留学制度もあるらしいよ」
「そうなんですか?」
「うん!調べてみたら?例えば、そういうことができる高校に入ったら、どんないいことがあると思う?」
「え〜?海外のことがけっこう身近に体験できますよね!留学できるかも知れないですよね!それだったらいいな!そういう学校なら行ってみたいです!」

そこから急に、Aさんのスイッチが入りました。漠然と「受験だから」と言っても、勉強する気にはなれませんが、「高校に入ったらこんないいことがあるかも!」といった進学する価値を見出せると、そのために「勉強しよう!」と思えるのです。
Aさんの気持ちを受けとめながら、興味と目標達成の価値を引き出したこの友達のお母さんはまさに名コーチでした。

■困難を乗り越えた後のイメージを共に描く

さて、その気になって、やっと受験勉強に本腰が入ったAさんでしたが、すぐに壁にぶつかりました。今まで力を入れて取り組んでいなかった分、「このままでは志望校合格にはほど遠い」と担任の先生に言われてしまいました。
「私には無理です……」と落ち込むAさんの支えになってくれたのが、やはり、この友達のお母さんでした。
「そうか、そんなことがあったんだね!で、どうしたいの?」
「え?いや、○○高校には行きたいですけど、やっぱり、あきらめたほうがいいかなって……」
「『合格にはほど遠い』って言われていた人が、もし本当に合格できたらどう思う?すごいと思わない?」
「え?それはすごいですけど、でも……」
「なんか、かっこよくない?やる前から成功できるってわかっていることをやるより、みんなが難しいと思うことを、Aさんが成し遂げたとしたら」
「・・・確かに!そうですよね!・・・私、伝説を作ります!」

そして、この春、本当に伝説を作ってしまったAさんでした。 今、目先で見えている結果だけを見て、「無理」と決めつけ、本人も「やっぱり無理」と思い込んでしまうことがどんなにもったいないことかと、Aさんの事例から思わされます。

子どもの内側には、まだ表に現れていない潜在的な力が莫大にあります。子どもが心から「やってみたい!」と思えたら、それらがどんどん引き出されていきます。その本気を引き出すために、私たち大人は、子どもの可能性を心から信じて関わり続けたいものです。

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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