人生100年時代の食育とは

日本人の平均寿命は、過去最高を更新しています。元気に暮らせる「健康寿命」を延ばすため、生活習慣病の予防が社会課題となっています。人生100年時代を迎えるに当たり、学校給食や食育も積極的に取り組むことが求められています。

長寿で伸びる「不健康な期間」

日本人の平均寿命は、男性が81.09歳、女性が87.26歳と過去最高を更新しました。しかし、日常生活に制限のない期間を指す「健康寿命」は、男性で72.14歳、女性で74.79歳。寿命が延びても「不健康な期間」は男性が約9年、女性が約12年あります。
平均寿命が延びても、不健康な期間が長くなれば、本人の幸福度は下がってしまいます。

介護費用や医療費などの社会保障費を抑制するためにも、死因の6割を占める「生活習慣病」を予防し、健康寿命を延ばすことが日本の社会課題となっています。
生活習慣病を予防するには、運動や食事などに気を付けることが大切ですが、一度身に付いた「生活習慣」を変えるのは文字通り容易ではありません。だからこそ、若いころからの食生活の改善が重視されるのです。

学校給食が食事のお手本に

学校給食も、社会の要請を受けて少しずつ変わってきていることをご存じでしょうか。文部科学省は2018年、「学校給食実施基準」を改正し、学校給食の栄養素ごとの摂取量を見直しました。
改正後の基準では、1回当たりの給食のエネルギー摂取量が増えています。8歳~9歳で650kcal(10 kcal増)、10歳~11歳で780 kcal(30 kcal増)、12歳~14歳で830 kcal(10 kcal増)となりました。たんぱく質は、基準値ではなく摂取エネルギー全体の 13%~20%と範囲を示すように変更されています。

一方、中学生で不足気味なマグネシウムについては、新たに基準値を設けました。カルシウムやビタミンA、食物繊維も増加。ナトリウム(食塩相当量)は8歳~9歳で2g未満(改正前は2.5g未満)、12歳~14歳で2.5g未満(改正前は3g未満)と「減塩」傾向が強まっています。
基準の改正を話し合った専門家の会議では、「学校給食のある日」のほうが「学校給食のない日」よりも適切に栄養を摂れていることがわかり、学校給食が子どもたちの健康の増進や体位の向上を図るだけでなく、「家庭における日常の食生活の改善を図る」のに参考となる……と指摘しています。
文部科学省は、学校給食を食育のための「生きた教材」と定義づけています。先頃発表された「日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年」では、「みそ」「しょうゆ」の減塩・低塩品が掲載されるなど、学校給食の基準となるデータも充実してきています。

食生活やダイエットにまつわる情報があふれ、家族や個人のライフスタイルや価値観も多様化しています。子どもたちが「人生100年時代」を豊かに生きていくためにも、「健康寿命を延ばす」食べ方のヒントを学校給食から考えてみるのもよいのではないでしょうか。

(筆者:長尾康子)

※学校給食実施基準の一部改正について
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1407704.htm

※日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年の公表について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/houkoku/1411622.htm

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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