他人の握ったおにぎり「食べられる」or「食べられない」⁉ 

あなたは「他人の握ったおにぎり」を食べられますか? 「気にしすぎじゃない?」と思われそうでまわりには聞きづらいこの質問をアンケートにしました! 小学生のお子さまを持つ保護者を対象にしたアンケート結果から、いまどきの小学生のきれい好き度合いについてご紹介します。

他人の握ったおにぎり、食べられる? 食べられない?

「きれい好きでちょっとした汚れも気になる」「電車のつりにつかまれない」「他人が口をつけたものは食べたくない」。普段の生活のなかで、誰でも「これって潔癖症?」という感覚を持ったことがあるのではないでしょうか。

なかでも、きれい好きのボーダーラインとして「他人の握ったおにぎりを食べられるかどうか」というポイントがたびたび話題になっています。最近は「他人の握ったおにぎりは食べられない」という小学生も増えているようですが、実際のところはどうなのでしょうか?

小学生のお子さまを持つ保護者に「お子さまは、どのおにぎりなら食べられますか?」と聞いたところ、「お母さん(家族)が握ったもの」という答えが85.6%と多かったのに比べて、「友人・知人が握ったもの」は約半数の45.8%という結果になりました。やはり、家族以外の人が握ったおにぎりを食べることに抵抗があるお子さまが多いようです。

「ラップ越しに握ったもの」でも、「お母さん(家族)が握ったもの」が71.1%だったのに対して、「友人・知人がラップ越しに握ったもの」は46.7%となりました。素手で握ったものに抵抗があるのは衛生的な面からも納得できますが、友人・知人がラップ越しに握ったものでも食べられないという回答が約半数となりました。ここでも、他人が作ったおにぎりはラップ越しでも抵抗のあるお子さまが多いことがわかりました。友だちの家に集まる時や部活、イベントの時などにおにぎりが用意されることも多いと思います。今回のようなお子さまでも食べられるものを用意した方が、安心して食べてもらえるかもしれません。

また、「コンビニなどの市販のおにぎり」という回答も83.1%と多くなりました。この結果は、市販のおにぎりは工場で衛生的につくられているイメージが強いことが関係あるのかもしれません。ちなみに今回のアンケート結果では、「他人のつくったおにぎりを食べられない」お子さんま、男女の人数で大きな差はありませんでした。男女差の価値観などは関係ないようです。
「他人の作ったおにぎりが食べられない」というのはきれい好きであることだけが理由ではなく、他人との距離感の取り方の問題なのではないかとする説もあるそうです(※)。インターネットなどのメディアの発達により、人と人が面と向かってコミュニケーションをとる機会が減り、他人との距離感をつかむのが苦手な人が増えている。そんな大きな時代の流れが、おにぎりという身近なものに表れていると考えると、なかなか興味深いものがありますね。

ここまでは、おにぎりに注目したアンケート結果をご紹介しました。次に、コップ、ペットボトル、箸や食器など、ほかの人が口をつけた物に抵抗があるかどうかを聞いてみました。

「お子さまはコップ・ペットボトルの回し飲みや、身近な人が使った箸などに抵抗がありますか?」という質問に対して、「はい」が43%、「いいえ」が57%と、抵抗を感じないお子さまがやや多いという結果でした。

とは言え、自分以外の人が口をつけた物に抵抗があるお子さまも全体の4割を占めていて、決して少なくはないということがわかります。抵抗を感じるお子さまが多い理由としては、先ほどおにぎりに関して言ったような他人との距離感の問題もありそうですが、やはり衛生面での知識が広まっていることが考えられます。

インフルエンザの感染予防として、手洗い・うがいが大切なことはよく知られていますし、ウイルスが唾液に含まれるため食器の共有を避けることも感染を予防するための1つの方法です。保護者にこうした知識があると、お子さまにも衛生についてしっかり教えていることが多くなると思います。

虫歯のもとになるミュータンス菌は生まれたばかりの赤ちゃんの口には存在せず、大人から口移しで食べさせたり、食器を共有したりすることで感染すると言われています。日常的に衛生面から、食器の共有を避ける保護者が多くなっています。お子さまもペットボトルやコップ、箸などを人が口をつけた物に抵抗を持つようになるのは、自然なことと言えるのではないでしょうか。

子どもの「潔癖症」は、保護者の影響⁉

今回のアンケート結果からは、他人の握ったおにぎりや、自分以外の人が口をつけた物に抵抗を感じる小学生が多いという結果が見えてきました。お子さまのきれい好きの度合いに関して、保護者の影響はどのくらいあるのでしょうか?

保護者に「お子さまのきれい好きの度合いについて、保護者自身の影響はあると思いますか?」という質問をしてみました。「はい」と答えた人は73%、「いいえ」と答えた人は27%で、お子さまのきれい好きの度合いは保護者の影響があると考える人が7割以上という結果でした。

影響があると考える理由としては、「子どもは保護者の行動をよく見ているから」「保護者の姿を真似するから」という意見が多くありました。毎日一緒に生活しているため、行動や感じ方も似てくるというのは、きれい好きの度合いでも同じようです。

また、「親が頻繁に手を洗うように言うし、外出先でも除菌シートを持ち歩いている」「口をつけた物を共有すると、虫歯がうつる、風邪がうつると説明していた」という理由を挙げる人も。教育やしつけの一貫として小さいうちから衛生面を伝える場面でも、お子さんは保護者の影響を受けやすいと言えるでしょう。

なかには、「私が言い過ぎたせいで、神経質になってしまったような気がする」「親が頻繁に手を洗うように言ったり、外出先でも除菌シートを持ち歩くから」「旦那がきれいに食べることには厳しいので子どもたちはそこに関してはきれい好きになったので」「ペットボトルやコップの回し飲みなどをいつもしないでと注意しているから」という回答や、反対に「私が気にしない性格なので、子どもも気にしない」「親が適当なので子どもも適当」「私が気にしない性格なので」という回答もありました。これらの意見を見ると、保護者の基準がお子さまの基準に大きく影響する面もありそうだということがわかります。

ひと昔前は赤ちゃんの離乳食として母親が噛んだ食べ物を与える場面もよくありましたが、最近では離乳食の教室などでも、食器の共有はしないほうがいいとされます。また、感染症の予防のために、学校でも手洗い・うがいの指導があります。「きれい好き」の度合いは人それぞれですが、家庭でも衛生面の知識は正しく伝えてあげたいものですね。

※全国の小学生のお子さまを持つ保護者を対象に2018年4月にアンケートを実施。回答者数360人。

(※)参照:『他人が握ったおにぎり「食べられない」が47.8%!なぜ不潔に感じる?』(asqmii)
https://asqmii.com/jijico/2015/07/16/articles18112.html

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