小児科医が語る 今と昔でここが違う!注意したい離乳食の勘違い

以前は当たり前のこととして推奨されていた離乳食の常識も、日々進歩し、更新される医療の世界では、これから先の食事の習慣に大きな影響を及ぼし、健康を損なう可能性が出てくるものもあります。
そこで、勘違いが多い離乳食の『常識』について、小児科医の伊藤明子先生に伺いました。

昔は当たり前だった離乳食の「果汁」、今はNG!

医療の世界は日進月歩で、つねに新しい研究結果が明らかにされていますが、それは健康と栄養という分野でも同様です。

たとえば、昔は離乳食といえば定番だった果汁も、赤ちゃんには離乳食の初期には与えるべきではないと指導するように変化しています
かつて果汁を与えるべきとされていた生後4~5か月の時期は、味覚形成にとって大事な時期です。その時期に、甘い果糖をあげてしまうと、「糖が好き」という思考が脳に強く刻まれてしまいます。味覚と脳は直結しているため、赤ちゃんの時期の味覚形成は、一生の健康度を左右するくらい大切です。果糖を多く頻度高く摂ると、元々糖が好きな脳が白米や甘い物などをより好むようになり、より欲するようになります。また、味覚の面で糖好きが強化されると、糖化現象がより一層進みやすくなります。

糖化現象が進むと、骨粗鬆症や認知症、高次機能障害のリスクが上がるのが明らかになっています。赤ちゃんの時から糖に注意を払った食事をしておくと、一生を通じての糖化現象を少し抑えることができ、病気のリスクも下げられます。(注:赤ちゃんに糖質制限を勧めているのではありません)

健康的な食事で、お子さまの潜在能力も発揮される

健康的な食事は、将来の健康不安を取り除くだけでなく、今のお子さまの状態もベストな状態に導いてくれます。
たとえば、ふだんから鉄分やビタミンDが足りていないと、集中力を保つことができず、「授業で先生が何を言っているかわからない。でも、いつもこうだから」と潜在能力を発揮することができなかったり、保護者のかたも「うちの子はこうだから」と思い込んでしまっている場合もあります。しかし、足りない栄養素を補うことで、本来の能力を発揮できるようになるのです。

このように、ふだんの食事は体の健康状態に関わるだけでなく、脳の活性化や運動能力にも関わってきます。保護者のかたはお子さまの様子をよく見守りながら、まずは食事から心身の健康をサポートしてあげられるといいですね。

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プロフィール


伊藤明子(いとう みつこ)

小児科医、公衆衛生専門医、同時通訳者。
東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院で臨床研修。同病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻終了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children,Healthy Lives代表理事。
著書・共著に『天然ヘルシー「調和食」レシピ』『イタリアン・テルメ』など。

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