子どもは扱われたようになっていく!?[やる気を引き出すコーチング]

最近、大人向けに開講しているコーチング講座に、小学生や中学生が参加してくれます。以前は、「子どもをあずけるところが見つからなかったので、やむを得ず連れてきました」というケースが多かったのですが、最近は、「コーチングの勉強会があるけど、一緒に行く?」と親御さんがきくと、「行きたい!」と言って来るお子さんが見られるようになりました。

「ここに来ようと思った理由は何ですか?」と聞いてみると、「これこそが究極のコーチングなのでは!」という答えが返ってくることがあります。
「ママがコーチングの勉強に行くようになってから、ニコニコすることが多くなって、家でも『勉強しなさい!』と言わなくなって、すごく変わったので、私も行ってみたいなと思いました」と言うのです。親御さんの変化をよく見ているのですね。驚かされます。

子ども扱いしない

以前は、小学生がいると、私も非常に神経を使いながら講座を進めていました。「この話は理解できるのかな?」、「この言葉はもう習ったのかな?」、「この漢字は読めるのかな?」と折々に心配していましたが、今ではもう、まったく気にならなくなりました。小学生が混じっていても、大人向けの講座とまったく変わらない話し方、進め方でやっています。

というのは、小学生といえども、しっかりついてきてくれることがわかったからです。初対面の大人とペアを組んで、コーチングの演習にも取り組みます。もちろん、コーチ役として、大人をコーチングしますが、これがまったく遜色なくやれています。「今は相手の話を聴く番だ」と心得ると、口をはさまず、聴き手に徹します。つい、「こうしたら?」、「ああしたら?」と言いたくなる大人よりずっとコーチング上手です。

「今日は参加してみてどうでしたか?」と質問すると、「今、他の学年と運動会の練習をしていて、その時に、使えるかなと思いました」などと答えてくれます。「ちゃんと自分で応用することを考えているんだ!」と感動します。

大人対象にやっていますので、2時間休憩なしで行うこともありますが、集中力を切らすことなく、最後までついてきてくれます。終わってから、「休憩がなかったけど、疲れませんでしたか?」と聞いても、「ぜんぜん! あっという間でした」と答えます。

このような場面に、何度となく出合うと、私ももう「子どもだから」とは思わなくなりました。「小学生でもコーチになれる!」と確信します。中高生に対しては、さらに何の心配もしません。子ども扱いせず、一人の大人として接します。そのほうが、ずっと意欲的に参加してくれるのです。

子どもをもっと信じていい

「それは、そういうところにわざわざ行きたいと思うようなお子さんだからじゃないですか? うちの子には無理です」と、もしかしたら、思われたかたもいらっしゃるかもしれません。もし、そう思われるなら、一度、その視点をかえてみていただきたいのです。

子どもは、こちらが思っている以上に、やってみたらできる存在です。「できない子ども」がいるのではなく、「子どもだからできない」と思っている大人がいるだけのような気がします。
「この子はきっと自分ではできないから、私が手を貸してやらないと」と思ってやっていることが、「できる」はずの力を引き出さないままにしているのかもしれません。それはとてももったいないことです。

「勉強しなさい」と言ってしまうのは、「言わないとやらない」と思っているからです。「いや、言わなかったら、うちの子は絶対にいつまでもやらないに決まっている」と思ってしまうかたは、お子さんを動かそうとする前に、ご自身のその思い込みを思いきって捨ててみていただきたいと切に思います。こちらが、「できる」と信じるからこそ、子どもは信じるに値する存在へと成長していきます。「子どもは扱われたようになっていく」と実感します。

(筆者:石川尚子)

プロフィール

石川尚子

石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。近著『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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