第二次性徴期の子どもへの関わり方は、ここに気をつけよう!【前編】
成長が早い子どもは小学4年生頃から第二次性徴期に入り、体や心に変化が表れます。この時期は反抗期も重なり、子どもへの接し方が難しくなります。小学校・中学校の養護教諭としての経験が長い大谷由カ里先生に、第二次性徴期の子どもへの関わり方で心がけたいことを聞きました。
体や心の変化に不安や戸惑いを感じる子どもは多い
第二次性徴期には、体と心の両面が子どもから大人へと大きく成長します。そんな不安定な時期ゆえに子どもが内面に抱える不安や戸惑いは大きく、前向きな気持ちを持てるようなサポートがとても大切になります。
第二次性徴が起こるのは、成長が早い女子は小学校4年生くらいで、男子はそれより2年ほど遅れて変化があらわれ始めます。女子は初経が起こり、女性らしい体つきになって乳房の発達などが見られます。男子は発毛や精通、声変わりなどが起こります。
中学生の場合は成長が遅いことに悩むケースが多いのですが、小学生は逆に成長が早い子どもほど悩みやすい傾向が見られます。4年生になると、保健体育の授業で体や心の成長について学び、一定の知識はもっていますが、いざ自分の体に変化があらわれると、他の子どもとの違いが気になったり、ときには周囲から興味本位の言葉をかけられたりして悩んでしまうことがあります。
「誰にでも起こることだから大丈夫」と安心させる
私は小学校・中学校で養護教諭をしており、子どもから体の変化について相談されることが少なくありません。小学生の場合、女子は「他の人より胸が大きいかな」と気にしたり、男女ともに「自分は毛深いのではないか」と悩んだりすることが多いようです。
小学校に勤務していた頃、ある男子から「おねしょをするから、宿泊教室に行きたくない」と相談を受けたことがあります。事情を聞くと、その男子は夢精について知識がなく、夜尿と勘違いして、ずっと悩んでいたとのことでした。そこで男性の教員にバトンタッチして正しい知識を教えると、とても安心したようでした。
小学生の場合は、日頃から保護者のかたに相談したり、悩みを打ち明けたりする子どもが多いと思います(中学生になると、保護者より友達に相談するケースが多くなります)。子どもから体の変化について相談された際は、前向きな言葉をかけてあげることが何より重要です。
以前、ある女子が保護者に初経があったことを話したら、「やだ、もう始まったの」と言われて月経に対してネガティブな気持ちをもち、月経になると学校を休むようになってしまいました。子どもは不安や戸惑いを感じていますから、まず「良かったね」と、大人に近づいたことを子どもと一緒に喜びましょう。そのうえで、子どもの不安や心配に対して、「誰にでも起こることだから大丈夫」と安心させて、正しい知識を教えてあげてください。
精通(射精)や初経(月経)の対応は、同性の保護者が自身の経験談を交えて話すと、子どもはより安心するはずです。ひとり親のご家庭の場合は、祖父母やおじ・おば、また子どもが信頼している学校の先生などの力を借りてもよいと思います。
ふざけたり、茶化したりせず、毅然とした態度で話そう
保護者の側にも、こうした話題を扱うことを気恥ずかしく感じるかたもいるかもしれません。それでも、ふざけたり、茶化したりして話すことはやめましょう。子どもは恥ずかしい気持ちを押さえて相談したにもかかわらず、そうした態度を取られたら悲しい気持ちになります。さらに保護者の態度から体のことや性的なことを「恥ずかしいもの」と捉え、その後、ますます相談しづらくなってしまいます。保護者のかたには、毅然とした自然な態度で正しい知識を話すという姿勢を心がけていただきたいと思います。
後編では、性的興味や男女交際など、この時期に起こる心の変化への対応について説明します。