友だち関係の悩み…人間関係をスムーズにする言葉の選び方【前編】

学生時代は友だち関係の悩みがつき物です。どのような心構えで友だちと向き合うと、コミュニケーションが円滑になり、人間関係を豊かにすることができるのでしょうか。よりよいコミュニケーションのあり方を追求するNPO法人アサーティブジャパン代表理事の森田汐生さんにお話をうかがいました。

コミュニケーションに悩む中高生が増えている!

中高生のみなさんにとって、「コミュニケーション能力」は、とても大きな問題ですよね。コミュニケーションの取り方によって、友だち関係の中でのポジションが決まったり、「人気者」になれたりなれなかったり、学校生活を大きく左右するものだと思います。そのため、勉強やスポーツと同じくらい、もしくは、それ以上に「『コミュニケーション能力』を高めたい!」と思っている人が多いようです。

実際、セミナーなどで中高生にお会いすると、「話し上手になりたい」「おもしろいことを言ってみんなを楽しませたい」といった発言がよく聞かれ、コミュニケーション能力に高い関心をもっていることがうかがえます。しかし、その半面として、人間関係やコミュニケーションに関して悩みを抱く中高生が増えていると感じます。「どうして言いたいことを上手に言葉にできないのだろう」「あの人みたいにおもしろいことが言えるといいのにな」などと感じ、自信を失ってしまうケースも少なくないようです。

そんな不安を抱いている人にこそ、私たちが提唱している「アサーティブ」の考え方を知っていただきたいと思います。アサーティブとは、相手を尊重し、誠実さや率直さを大切にして、自分の意見や要求、感情を伝えるコミュニケーションの方法です。アサーティブでは、どのようなコミュニケーションを目指しているのか、具体的なシーンを想定して説明しましょう。

友だちとおそろいのアクセサリーを失くした……正直に言うべき?

ある女子生徒が、仲良しの3人とおそろいのアクセサリーを買い、「大人になるまで大事にしようね」と約束したのに失くしてしまったそうです。近所では買えないものだったため、どうすればよいかと悩んでいました。

最初は、みんなに打ち明けるのが怖くて、失くしたことを内緒にしようという気持ちが強かったのですが、「反対に、友だちがアクセサリーを失くしたら、どう思う? 友だちを責める?」と聞くと、「わざと失くしたわけではないから仕方ない。責めることはないので、正直に伝えてほしい」と即答してくれました。「友だちも、きっと同じように思ってくれるのでは?」とアドバイスすると、勇気を出して打ち明けることを決意しました。

後日、話を聞くと、やはり友だちは「仕方ないよ」と言ってくれて、別のものを買ってそろえることにしたそうです。その生徒は、「正直に言ってよかった」と話してくれました。もし事実を打ち明けなかったら、その後も取り繕う必要があり、友だち関係に影響が出ることがあったかもしれません。このように誠実な姿勢で相手に向き合うことは、アサーティブなコミュニケーションの基本となります。

後編でも、具体的なケースを交えて、アサーティブなコミュニケーションの方法をご紹介します。

プロフィール



一橋大学社会学部卒業。大学在学中にアサーティブに出合う。大学卒業後、社会福祉士の資格を取得し、イギリスの地域精神医療団体でソーシャルワーカーとして勤務。その間、ヨーロッパにおけるアサーティブの第一人者、アン・ディクソンのもとでトレーナー養成講座を受け、アサーティブトレーナーの資格を取得。帰国後、NPO法人アサーティブジャパンを立ち上げ、アサーティブ・トレーナーとして、全国各地で講演や研修を行っている。

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