道草や回り道をする時間が子どもの豊かな心を育む

自宅と学校、塾などを往復するだけの毎日では、ちょっと息が詰まってしまいそうなときもあるでしょう。学校の帰り道に気の向くままに寄り道するような時間から得られることは案外大きいかもしれません。今の子どもにとって「道草」のもつ意味を考えてみました。

今の子どもは「道草」を食わなくなった!?

最近、「道草」という言葉をあまり使わなくなりましたよね。ひと昔前までは学校が終わったら寄り道して帰るなんてことは当たり前でした。ところが今では、塾や習い事があったり、家の人にまっすぐに帰るように言われていたりして、道草を食う子どもはすっかり減ってしまいました。

各家庭の教育方針がありますから道草ばかりでは困るでしょうし、事件や事故に巻き込まれるのが心配でという声も聞こえてきます。確かに自動車中心の道路は子どもに優しくありませんし、物騒なニュースを聞くと外で遊ばせるのが怖くなるのも不思議ではありません。

常にスケジュールをこなすような生活では息が詰まってしまう

一方で、道草が見られなくなったことによる影響も考えてみましょう。毎日、決まったスケジュールをこなすように生活するだけでは、息が詰まってしまいます。大人だって、会社帰りに異なる道をブラブラと歩いて目についたお店に寄ってみたり、買い物のついでにオープンしたばかりのおしゃれなカフェに入ってみたり、ちょっとした思いつきの行動が結構心安らぐひとときになったりするものです。リラックスした時間だからこそ、落ち着いて日常を振り返り、気持ちの整理ができることもあります。

ちょっと大きな話になりますが、人生も同じことかもしれません。決められたレールに沿って効率的に生きるだけでは、息苦しさを感じる人も少なくないでしょう。ときには、日常を忘れて旅をするなど寄り道をすることで、人生に新しい視点がもたらされ、精神的な豊かさが得られることも多いものです。

忙しい毎日だからこそ、ときには束縛されずに過ごせるひとときを

ひるがえって、今の子どもの日常はどうでしょうか。小学校教員の多くが「最近の子どもは忙し過ぎる」と指摘しています。なかなか自由な時間が取れないからこそ、一見、ムダに思える道草を食う時間が必要になっているのかもしれません。

例えば、ちょっと遠回りして帰ると、普段とは異なる光景だからこそ、四季の変化や自然の美しさが目に留まるかもしれません。また、たまたま帰り道が一緒になった友だちとたわいのない会話を楽しむうちに仲良しの関係になれるかもしれません。

友だちと連れ立って見知らぬ町に行ってみるといった挑戦も、かつての子どもたちにはよく見られました。いったん安全上の問題を置いておくとするなら、仲良しの友だちと一緒にドキドキしながら見知らぬ土地で新しい発見をする経験には大きな学びがあるでしょうし、一生の思い出になるかもしれません。大人からすると、ごく近い距離にある隣町を訪れることが大冒険になるなんて、まさに子ども時代にしか味わえないすてきな体験ですよね。

そのように考えると、一概に道草を禁止することを考え直したくなりませんか。あくまでも子どもが気分や興味に従ってするものなので「道草を食ってきなさい」なんて言うのは少し変ですが、何からも束縛されない時間を意図的に作り、自由に過ごせるひとときを確保することは大切なことかもしれません。

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