女子はとくに注意! 服装や規則正しい生活習慣で「冷え」を撃退
「冷え」を感じる人は年々増えていますが、近年では中高校生でも手足の冷えを訴える人が増えていますし、とくに女子はその傾向があります。冷えはそれだけでは健康にさほど影響しませんが、冷えがどんどんひどくなると、さまざまな心身の不調が起こり、大きな病気になってしまうこともあるのです。そうならないために、今からぜひ冷えを解消するための方法を知って、冷えを遠ざけましょう。
冷えは、手足にくることが多い
まずは、「冷え」の種類を知っておきましょう。「冷え」は、大きく分けて4種類あります。
・全身冷え
・内臓冷え
・下半身冷え
・末端冷え(手足)
上にいけばいくほど重症で、治すのも長期間かかります。とくに中高生に多いのは、手足だけ冷える末端冷えです。これを放置しておくと、どんどん危険な冷えになってしまいます。今のうちに対処しておきましょう。
「冷え」を治すには?
冷えを自覚したら、まずはその症状や苦痛を和らげる対処療法を行います。冷えの対処療法とは、まずは厚手の靴下をはいたり、重ね着をしたりすること。ただし、手袋は冬以外は取り入れにくいので、手首まで覆える長袖の下着をつけるなどで対処するのがよいでしょう。
中高生のなかには、春でも薄着の人が多くいます。下着を着ないでカーディガンなどを羽織るよりも、下着のほうが体をしっかり温めてくれますので、冷えを感じる人は、下着をしっかり着ましょう。でも、汗をかいたらできれば着替えましょう。汗は体の熱を冷ますためにかくものですが、いつまでも乾かないことで、思った以上に体を冷やしてしまうからです。
服の枚数は、上半身の枚数より下半身に1枚多くするといいでしょう。
具体的には、春でも夏でも冷える場合は、腹巻きやおなかまで隠れるパンツを重ね履きしてください。とくに足先や下半身が冷える人は、ぜひ実行してください。
食事はバランスよく、なんでもまんべんなく食べることが基本です。
体重を気にしている人に多いのですが、油を摂りたくないからと肉を避けてしまい、タンパク質が不足することがありますが、それこそ冷えの元に。
また、運動をしていない人でタンパク質を少なく摂る傾向がありますが、運動量が少ない人こそ、タンパク質をとって温める必要があります。タンパク質は体内で分解されるときに熱を放出しますが、他の栄養素が分解されるときより放出される量が多いのです。
睡眠不足も冷えの大敵。睡眠不足になると自律神経の働きが乱れ、血管が収縮しやすく広がりにくくなります。血管が広がらないと、熱が体の末端に運ばれにくくなり、手足が冷えてしまいます。
ほかにも、毎日イライラしていると自律神経が乱れて、同じような理屈で冷えてしまいます。イライラは本人だけでは対処できないかもしれません。親や保健の先生、学校のカウンセラーなど、理解してくれそうな大人に話してみることで解消されることもあります。
運動を定期的にしたり、外出して外気にふれたりすることも冷え対策には有効です。外の気温に体を合わせられる体温調節能力をしっかり身につけたいですね。
女子はダイエットと生理の影響で冷えることが
女子中高生はさらに、ダイエット中の人、生理時に不快な症状がある人(月経随伴症状)が冷えを感じている人が多いというデータがあります。
ダイエットはかなり計画的に行わないと成功しにくく、リバウンドの可能性もあります。「○○だけ食べるダイエット」「1日1食ダイエット」などは、成長期の中高生にはまったくおすすめできない方法も多いのです。ダイエットをしたい人は、ご両親など保護者に相談しながら、栄養について学ぶことからはじめましょう。
冷えと月経随伴症状がある人は、体を温めて血のめぐりをよくすることを心がけましょう。うまくいかないときは、相談にのってくれる婦人科や漢方クリニック、鍼灸院などもあるので、冷えで辛い思いをしている人は一度たずねてみてもいいかもしれません。
監修:東京有明医療大学 保健医療学部鍼灸学科教授 川嶋 朗 医師