視力補正器具の選び方と、目にやさしい日常生活の方法
子どもが近視であることがわかったら、視力を矯正する必要があります。そのとき、メガネにするかコンタクトレンズにするか悩むかたも多いかもしれませんね。視力補正器具の選び方をご紹介します。
メガネで近視が進むことはない
子どもの視力は、ABCDの4段階で診断されます。小学校低学年では多くがA判定(視力1.0以上)と診断されます。ところがその後、B(0.9~0.7)、C(0.6~0.3)、D(0.2以下)と視力が落ちて行く子どもが増えていきます。
C判定になると、教室で黒板の文字が見えなくなるので、視力矯正器具を使用します。子どもの視力は急激に落ちることがあり、去年はA判定でも、いきなりC、D判定になることもありますので、できれば自宅も含めて、半年に1回は視力検査をしてください。B判定になったらすぐに眼科を受診し、治療等を行うといいでしょう。
「メガネでは運動しづらいかも」「女の子だから……」といってメガネをかけるのを遅らせると、勉強はもちろんスポーツの動きにも支障が出ることもあり、利点はまったくありません。
また、メガネをかけると近視が進む、と言われることがありますが、そのようなことはありません。メガネをかけても、近視が進んでいる途中なら止まらずに進みますので、メガネのせいではありません。コンタクトレンズでも同様です。
ただし、メガネ等で視力を矯正しすぎて見えすぎてしまうと(過矯正)、近視を進めてしまう可能性がありますので気をつけましょう。
近視が進み終わるのを待ってからメガネを作ろうとすると、その間のよく見えない時期に勉強が遅れてしまったり、目を細めてみる癖などがついてしまうこともあり、却って近視化が早まってしまいますので、おすすめできません。
基本はメガネ、希望があればその後コンタクト併用が望ましい
子どもの視力矯正には、メガネがおすすめ。子どもの目の度数と頭などの形、運動量等によって適切なレンズとフレームを選び、自分に合ったものをつねにかけていれば、健康な発達に問題は生じません。
コンタクトレンズは、衛生面の管理を含めて小さい子どもには扱いが難しいため、あまりおすすめしませんが、小学校高学年以上になり、コンタクトレンズを扱えると判断された場合、眼科医の指導のもとで使用を始めるといいでしょう。
まず最初はメガネから。それから必要に応じて自分に合ったコンタクトレンズを選び、メガネと併用していくようにしてください。
コンタクトレンズには、ハードやソフト、使い捨てなどさまざまな種類があり、そのどれが自分に合うのか、使いやすいのかを見極めるのはそれなりに時間がかかりますし、目を痛めることもあります。そのときにメガネに慣れていないと日常生活に困ってしまうためです。
メガネ、コンタクトを選ぶときは眼科で検眼を
メガネやコンタクトレンズは、眼科や眼鏡店舗で購入できますが、子どものうちは眼科で検眼・購入することをおすすめします。
理由は、近視以外の病気が隠されていることが少なくないからです。ただ見えるからといってメガネをかけると、後々病気が発覚して大変なことになることがあります。
またメガネ販売店でメガネを作成している様子を見ていると、過矯正になっていることが少なくありません。遠くのものがよく見える矯正器具では、遠くを見るときはいいのですが、勉強やゲームをするなど、近くを見るときには疲れてしまい、目によくありません。またよく見えすぎてしまと、頭痛などを引き起こすこともあり、目だけでなく身体にも悪影響を与えることもあるのです。
日常で気をつけたい、近視予防法
近視は始まってしまうと、進行を止めたり元に戻したりするのは難しいものです。そのため、病気とストレスに強くなるために毎日同じ時間に起きて食事をするなど、規則正しい生活を送ることを基本にしつつ、以下のことを心がけてみてください。
・45分手元を見たら、15分遠くを見る
勉強はもちろん、近年はゲームやスマートフォンの見過ぎによると考えられる近視が増えています。何時間も目を使いっぱなしでは疲れるのも当然ですので、意識して休みをとるようにしてあげましょう。
・屋外で過ごす時間をつくる
屋内で過ごす子どもよりも、屋外で過ごす子どものほうが近視が少ないという研究データがあります。遠くを見ることが多くなるためだと考えられています。
監修:河合眼科 院長 河合 功 医師