「もうママ知らない!」子どもに暴言を吐かない親になるには?

 親が子どもについ言ってしまいがちな、「もうママ知らない!」と言う言葉。子どもにとっては、暴言です。なかなか言うことを聞いてくれない子どもや子育てに疲れてしまうと吐いてしまう暴言。それは子どもにどんな影響を与えるのでしょうか。子どもの心のコーチングについて、著書も数多く出されている菅原裕子さんにうかがいました。

親が吐く暴言が子どもに与える影響とは

 「もうママ知らない!」など、親が吐く暴言は子どもにどんな影響を与えるのでしょうか? 親の暴言の中で育つ子どもは、親との関係に愛を見つけられません。また、この状態では、子どもは自己肯定感を育てることができません。自己肯定感とは、自分のことを好きだと思う気持ち、自分を肯定して「これがいい」「こんな私が好き」と思える気持ちです。それはとても大事な、人の命を支える感情です。自己肯定感が安定している人は、生きることを、生活の全てを、辛いことも含めて自分の人生として受け止め、前向きに生きていこうとします。子どもはこれを、とても幼い時に、親から愛されることで学んでいくのです。

「ママもう知らない」とか「言うこと聞かないんだったら置いていくよ」などと、怒りながらの脅しは、子どもにとっては恐怖です。自尊心も捨てて、親の言うことを聞いたり、おとなしくしたりしなければ、生きてはいけないからです。親にしてみれば、それほどのつもりはなくても、脅されることの多い子どもの心には自己肯定感は育ちません。それは同時に、親への信頼も育たないことを意味します。子どもをそんな恐怖に陥れないためにも、親自身が気持ちを冷静にもって子どもと向き合う必要がありますね。

自分を律しながら子どもを自立に導くのが子育て

 親は子どもに対するイライラをどう対処すればよいのでしょうか。また、爆発して暴言を吐いてしまう親にならない解決策はあるのでしょうか? 子育てはとても骨の折れる仕事です。子どもにも人格があり、個性や主張があります。そんな全く思い通りにならない存在と、毎日一緒に暮らし、育てていくのです。それはそれは疲れます。なので、疲れるがままに、怒れるがままに、いやになるがままにしているのは、自分にとっても、子どもにとっても、家族全員にとってもいいことではありません。

思うようにいかなくてもイライラせず、のんびり、ゆっくり、何度も繰り返すのがしつけの極意です。子どもを思い通りに動かそうと、叱りつけるのではなく、親自身がさまざまな経験から、自分を律しながら、子どもを自立に導くのが子育て。「どうしたら楽しめるか?」「どうしたらもっとスムーズに事が運べるか」を考え続けることが大切です。自分の気持ちを切り替えて、子どもと接することでつい暴言を吐いてしまうということもなくなるはずです。

プロフィール


菅原裕子

人材開発コンサルタントとして、企業の人材育成の仕事に携わる。1995年、企業の人育てと自分自身の子育てという2つの「能力開発」の現場での体験をもとに、子どもが自分らしく生きることを援助したい大人のためのプログラム-ハートフルコミュニケーション-を開発。2006年にNPO法人ハートフルコミュニケーションを設立。『子どもの心のコーチング』『10代の子どもの心のコーチング』『子どもの「やる気」のコーチング』(以上、PHP文庫)など、著書多数。

NPO法人ハートフルコミュニケーション
https://www.heartful-com.org/

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