思春期の子どもが前向きになる「聴き方」とは?先回りして解釈せず信じて受けとめること

思春期の子どもが前向きになる「聴き方」とは?先回りして解釈せず信じて受けとめることコーチングのプロ・石川尚子氏がコーチングをしている高校2年生の女子が、この頃は初めて会った時よりもいきいきしてきたという。そこで、ベネッセ教育情報サイトでは、石川氏に、その辺りの事情を詳しく聞いた。

 

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ここ数ヶ月、コーチングをさせていただいている高校2年生の女子Mさん。最初に会った時は、非常に後ろ向きでした。「学校をやめたい。もう行きたくない。卒業までとても長くて耐えられない」と、ポツリポツリと話す感じでした。
ところが、最近は、勢いよく話をしてくれます。
「いろいろあるけど、学校は楽しいって思えるようになってきました」など、今までにはなかった言葉が出るようになりました。
コーチングの基本は、まず「相手の話を聴く」です。ですから、私がしていたことも、その大半が「聴く」ことでした。ひたすら、Mさんが言いたいことを受けとめながら「聴く」だけです。Mさんが話をしている間は、こちらが聴きたいことは言わないようにします。「こちらが聴きたいこと」ではなく、「相手が話したいこと」を聴く。これがコーチングの聴き方です。「ask」ではなく、「listen」なのです。そうすると、相手はどんどん自分から話してくれるようになります。
さらに、聴き方のポイントとして、こちらの解釈を入れないようにして聴きます。相手がまだ何も言っていないのに、こちらが先回りして解釈した感情を伝えないようにします。
こちらの解釈を先に伝えてしまうと、自分の本当の気持ちがわからなくなってしまうからです。すると、面倒くさくなって、話さなくなったり、自分の気持ちを考えることをやめてしまったりします。
ただ受けとるだけで、本人が自分の気持ちを整理し、気付いていきます。自分の気持ちを全部吐き出したあとは、「もう少し、私からも心を開いた方がいいですよね」、「やっぱり、卒業はできるようにがんばらないとね」と自分で言い始めます。
子どもは、前に向かって自分で考える力をちゃんと持っています。私たち大人がそれを信じて、ただ受けとめたら、自分で道を切り拓いていくのです。子どもの話をただ聴いてみたらいいのです。

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