幼児期の困った行動、臨床心理士が語る原因と対処法は?
叱られるとわかっていながら危険なことをする、何度注意しても言うことをきかない。こうした幼児期の困った行動にどう対処すべきか、悩む保護者も多いのではないだろうか。ベネッセ教育情報サイトでは、このような幼児期の行動への関わり方について、世田谷子どもクリニック副院長で臨床心理士の帆足暁子氏に話を伺った。
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子どもは、幼児期に入るまでに保護者との愛着関係を十分に築けていない場合、問題行動を起こしてしまうことがあります。愛着とは、保護者など養育者との心の絆のこと。近年、特に気になるのが「相手の気持ちを理解しようとしない子ども」です。その多くが、自分の気持ちを十分に聞いてもらった経験が少ないことが原因ではないかと感じます。
保護者との愛着関係を基盤に、保護者への完全な依存から、徐々に自立へと移行していくのが幼児期の特徴です。愛情を感じることで育つ情緒の安定と保護者への信頼感は、「生きる力」の基礎となります。この愛着関係が確かなものとなると、保護者を「安全基地」にして、少しずつ対人関係を広げていけるのです。
また、幼児期は、0〜2歳までにどのように育てられてきたかが、子どもの言動によく表れる時期でもあります。十分な愛着関係があれば、子どもは自己肯定感を身に付け、能力を発揮することができるようになります。
逆に、赤ちゃん時代から「自分のことを誰も見ていない」という経験をしていると、第1次反抗期に保護者を困らせる行動を起こすようになります。近年、こうした不安定な愛着関係にある子どもが全体の1/3もいるといわれています。
友達をたたく、ひんぱんにかんしゃくを起こすなどの行動をしてしまう場合、子どもの心が傷ついている可能性があります。サインを見逃さず、子どもの気持ちに寄り添いましょう。「本当はこうしたかったんだね」「これが嫌なのね」と子どもの思いを言葉にし、気持ちに共感してあげることが重要です。
出典:裏側にある子どもの気持ちを考える -ベネッセ教育情報サイト