子どもとお年寄り 気持ちを通じ合わせるコツは「目」と話し方
敬老の日が近付いてきた。祖父母と同居していない子どもは、普段からあまりお年寄りと接することがなく、久しぶりに会った際にはとまどうかもしれない。ベネッセ教育情報サイトでは、看護師で介護支援専門員の寺田敦子氏に、祖父母と楽しく過ごすために心がけたいことについて聞いた。
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高齢になると、動きがゆっくりになったり、痛みで体が思うように動かなくなったりすることがあります。元気いっぱいのお子さまがそれを理解するのはなかなか難しいものです。そんな時は、祖父母は「自分のお父さん・お母さんのお父さん・お母さん」だということをわかってもらうのがよいでしょう。長年仕事をしたり、家事を続けてきたり、体を使ってきたから、腰が痛くなったり、手首が痛くなったりするのです。また、耳が遠くなったお年寄りに対しては、ついつい大きな声で怒鳴ってしまいがちです。しかし、背後からの呼びかけなど、誰から声をかけられたかわからないような大きな声は、お年寄りには<騒音>に聞こえてしまうのです。遠くからお年寄りに呼びかけると、振り返った際にバランスを崩して転倒し、骨折してしまうことも。小さなお子さまも、ぜひお年寄りの視界に入り、目が合ってからゆっくり話しかけるといいでしょう。
お孫さんからは、「うちのおじいちゃん(おばあちゃん)、がんこなんだよね」という声をよく聞きます。いつもは優しいおじちゃんが繰り返し同じことを言う場合は、何か貴重な体験や意図が根底にある場合もあります。聞いてみれば、きっと話してくれるはずですし、子や孫の世代に耳を傾けてほしいと思っているかもしれません。また、一方では、控えめに一歩下がった発言をするかたも多くいらっしゃいます。それは、お年寄りならではの奥ゆかしさの表れでもあります。自分は第一線を退いた存在で、少し後ろの方から、親世代や孫世代を見守りたいという気持ちがあるのです。その気持ちをくんであげることも、敬老のよい心がけになるかもしれません。
出典:改めて学びたい、お年寄りとの接し方【前編】 -ベネッセ教育情報サイト