小学生は学校の授業だけでは泳げるようにならない?現在の水泳学習事情
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夏になると「水泳学習」が始まり、子どもたちがプールに入る授業が出てきます。ご自身が子どもの頃のプール事情と比較すると、「あれ?」と思う保護者のかたも多いかもしれません。昔はもっと頻繁にプールに入っていたような気がするけれども、と。当時と今とでは、水泳学習事情が大きく違います。学校の授業だけで水泳ができるようになるのか、という点も含め、考察していきましょう。

水泳学習にさくことのできる時間は大幅に減った
プールの授業がある回数は、学校によって異なるものの、年間10時間前後。6月、7月に水泳の授業があるとして、週に1、2回程度ということになります。しかし、梅雨時は雨天でプールが中止になることも多いため、実質週に1度程度、合計7回前後の授業数になることが多いようです。また、学校によっては1度の水泳の授業に2時間を使うこともあり、そうなると子どもがプールに入るのは年に4、5日以下。「プールに入る回数が少ない」と感じるのもしかたありません。
それならプールに入れる日を増やせばいいのでは…と考えるところですが、1年間に学習しなければならないことは文部科学省による「学習指導要領」(カリキュラムを編成する際の基準となるもの)によって定められています。そのため、水泳だけを優先的に行うということはできなくなっているのです。こういったことを考えても、学校の体育の授業だけで泳げるようになるのは、少し難しいように感じられます。
1、2年生の水泳学習の目的は「泳ぐこと」ではない
水泳学習の目的は「泳ぐこと」だけではありません。1、2年生におけるテーマは「水遊び」。水に慣れることや水中で息を吐くこと、安全に気をつけて遊ぶことなどを学びます。3、4年生では浮くことや補助具を使ってキックやストロークをすること、クロールや平泳ぎなどの初歩的な泳ぎを習う機会が出てきます。
6年間を通じて徐々に泳げるようになるカリキュラムにはなっていますが、すべての子どもがこの時間とカリキュラムだけで泳げるようになるかというと、そうではありません。やはり子どもによって学習ペースの違いはあり、学校の先生だけでは補助しきれない部分もあります。
学校以外の場所でも、水に慣れ、泳ぎを練習する機会を与える
そのような学校の事情もあり、ご家庭でも子どもたちに水に慣れたり泳いだりする機会を用意することは、とても大切なことです。必ずしもスイミングスクールに通わなくてはならないというわけではありませんが、短期教室や体験教室を利用するのもひとつの方法ですし、地域によっては泳ぎが苦手な子どものための水泳教室を開催しているところもあります。夏場はプールのあるレジャー施設におでかけしたり、安全に気をつけながら、海水浴や川遊びをしたりしてみましょう。さまざまな環境で水に慣れておくことは、子どもたちを水の事故から守ることにも繋がります。