子どもの「やる気」を引き出すアプローチとは?(4)
子どもの気持ちをサポートするためには、性格や傾向などのタイプを見極めることが肝心。言動をよく観察して、やる気が出ない原因を探りましょう。
気持ちが乱れやすく、やる気が持続しない子どもには
≪子どもの言動≫
◎イヤなことが頭が離れなくて、イライラしたり落ち込んだりしやすい。
◎いったん気分がのらなくなると、なかなかやる気が戻らない。
思い通りにいかないことがあると、気分がのらず、勉強が手に付かないタイプです。子どもの世界にも、「友だちから言われたことが気になる」「テストの点数が予想以上に悪かった」「家族からやつあたりをされた」など、さまざまな悩みの種があるものです。たいていは時間の経過とともに気持ちの乱れは治まり、やる気も戻るものですが、不安定な気持ちが続きやすい性格の子どももいます。
≪対処法≫
◆気が済むまで愚痴を言わせる
感情を抑圧すると、なかなかすっきりした気持ちになれません。そこで子どもの気が済むまで、愚痴を聞いてあげましょう。イライラしたり、落ち込んだりしている様子が見られたら、「イライラしているように見えるよ。何かあったの?」と声をかけ、子どもの言葉を引き出します。それに対して「そうなの、大変だったね」「それは辛かったね」などと、受け入れる言葉をかけてあげましょう。その際は、ただ耳を傾けるようにします。「そういうときはこうしなさい」とアドバイスしたり、「なんで○○しないの?」などと責めたりしないでください。行動を正す必要がある場合は、しばらくして落ち着いてから「私だったらこうするかもしれないな」などと、親の意見を押し付けないように、やんわりと解決策を話すといいでしょう。
◆期待やこだわりを見直す
気持ちが乱れやすいタイプは、物事に対する期待やこだわりが強い傾向があります。期待やこだわりはそれ自体が悪いものではありませんが、強過ぎると問題が生じます。例えば、「このテストで○点を取りたい」という思いが強過ぎると、結果が伴わなかったときの落胆も大きくなります。人の言動に対しても「こうあるべき」という期待感が強いと、それが実現しない場合に不機嫌になったりしやすくなります。
長期的な対処法になりますが、このタイプは期待やこだわりを見直して根本的な考え方を変えていきましょう。ただ、ふだんは、自分の期待やこだわりは、ほとんど意識しません。電車に乗り遅れてイライラしたときに、「あの電車に乗りたかった」というこだわりをもっていたことに初めて気付くのです。そこで気持ちが乱れたときに、自分の期待やこだわりを意識するようにします。
次に、期待やこだわりを「?に越したことはない」と言い換えてみます。
◎「テストで良い点数を取る」→「テストで良い点数を取るに越したことはない」
◎「忘れ物をしない」→「忘れ物をしないに越したことはない」
このように言い換えるだけで肩の力が抜けるような気がしませんか。テストで良い点数を取るに越したことはないけど、例え取れなくても次をがんばればいいのです。このように物事を捉えると、今まで心を悩まされていた問題はあまり気にならなくなるでしょう。イライラしたり落ち込んだりしたときに思い出して、期待やこだわりを見直してみてください。長年の思考のクセを修正するのは容易ではありませんが、積み重ねによって徐々に変わっていくでしょう。
やる気が起きなくなったときの心得5箇条
最後に、子どもにやる気が起きなくなったときの心得を以下の5つにまとめました。親がストレスを抱えると子どもに悪影響を与えることが多いので、こちらも参考にして常に心を安定させるようにしましょう。
【その1】原因を探る
やる気が起きないのには、何かしらの原因があるものです。ここまでの内容を踏まえ、子どもが自己分析して原因を探るのを助けましょう。
【その2】ストレスの解消を考える
子どもの世界にもストレスの種はたくさんあります。やる気が起きない状況を何とかしようと無理するよりも、ストレスの解消を考えることがより近道になります。
【その3】現状を受け入れる
子どものやる気がないことに不安や焦燥感をもつと、それがストレスとなり、子どもにきつく当たってしまいます。「人間だからやる気がないときもある」と現状を受け入れましょう。
【その4】体を動かす
子どものことばかり考え込まず、思いっきり体を動かして頭の中を空にしてリフレッシュしてみましょう。気分転換になって、気持ちにゆとりが生まれます。
【その5】がまん強く待つ
やる気には波があり、ふとしたきっかけでわいてくることがあります。なかなか子どもにやる気が起きないときは、上記1~4を実行し、焦らずにがまん強く待ちましょう。