子どもの「やる気」を引き出すアプローチとは?(3)
一言で「やる気が起きない」といっても、その状態はさまざまです。「やる気が起きない」子どもに見られがちな言動ごとに、原因と対処法を提示します。
子どもから勉強する理由について問われたら
≪子どもの言動≫
◎「勉強をしても意味がない」と、勉強しようとしない。
◎「将来は英語を使う仕事に就かない」「数学は日常生活で使わない」などと、特定の教科の勉強をいやがる。
「勉強しても意味がない」「○○(教科)は役立たない」といった言葉が出てきたら、表面的な意味にとらわれず、裏に隠されている思いを読み取るように努めてください。別の理由の言い訳として、そうした言葉を用いることが多いからです。
≪対処法≫
◆言葉の真意を探る対話
例えば、子どもが「英語を使う仕事に就かないし、外国にも行かないから、英語を学ぶ必要はない」と言ったとしましょう。この言葉の裏には、英語が好きになれなかったり、苦手意識をもっていたり、発表で失敗して笑われたことがあったり、先生との折り合いが悪かったりといった英語を勉強したくない別の理由があるかもしれません。
それにも関わらず、親が「勉強をする必要がない」という言葉にこだわって、「いつか役立つかもしれない」「受験で必要だ」といった理由を並べ立ても、子どもの心には届きません。子どもを説得しようとはせずに、「もしかして英語が好きになれない?」「わからない箇所はある?」など、子どもの気持ちを推し量り、やる気が起きない真の要因を探りましょう。勉強がわかって好きになったら、そもそも学ぶ意味など考えなくなるのもよくあることです。
本当に「意味がない」「役立たない」と思っている場合、勉強する理由を一つひとつ説明して子どもを論破しても、あまり意味はありません。「じゃあ、この場合は?」などと、水掛け論になるだけです。「役立たないから勉強しない」というのは、一つのリンゴを前にして、「美味しくなかったら食べない」と言っているようなものです。当然ながら、リンゴが美味しいかどうかは、食べてみないとわかりません。たとえ高級品でも口に合わない場合だってあります。勉強についても、将来役立つかどうかは誰にもわかりません。だからこそ、親として「体験してみないと、あなたにとっての価値はわからない」という勉強の本質を丁寧に伝える必要があると思います。
テスト直前まで本気になれない子どもには
≪子どもの言動≫
◎テストの直前まで勉強をしない。
◎勉強を始めても気が散って、他の単純作業に手が伸びてしまう。
◎次は計画的に勉強しようと反省しても、同じことを繰り返す。
「やらなければいけない」とわかっていても、ギリギリまでやる気が起きず、テスト直前になって慌ててしまう子どももいます。部活で疲れていたり、他に気になることがあったりすると、なかなかやる気のスイッチが入らないことがあるものです。そんなときは、次に示す二つの方法を試してみてください。
≪対処法≫
◆勉強の内容を細分化する
なかなかやる気が起きないタイプは、とにかく勉強に取りかかることが重要です。いったん始めてしまえば、調子が出てきて自然と勉強が続けられます。次のように、その日に勉強する内容を細分化して「まずはこれだけやろう」と考えるとハードルが低くなり、「とにかく勉強しなきゃ」と考えていたときに比べ、取りかかりやすくなります。
・理科の問題集p○○~p○○(20分)
・理科の答え合わせ(5分)
・漢字練習(15分)
・英語の教科書の音読p○○~p○○(10分)
・英語の語彙チェック(10分)
一つひとつを着実に終わらせることでやる気のスイッチが入り、次の学習への意欲がわくという好循環が生まれやすくなります。
◆アラームセット
なかなか始める決断ができずにグズグズしてしまうタイプは、目覚まし時計や携帯電話のアラーム機能の活用も有効です。あらかじめ勉強をスタートする時間にセットしておいて、アラームが鳴ったら何も考えず、他のことをしていても手を止め、勉強を始めることをルールにします。学校でもチャイムが鳴ったら授業が始まりますよね。それと同じ状況をご家庭でもつくるのです。