子どもの「やる気」を引き出すアプローチとは?(2)

子どものやる気を引き出す手っ取り早い方法は、成果に対して「報酬」を与えることです。しかし、このやり方には限界があり、むしろ大きな弊害が生じることにもなりかねません。


内発的動機が本当のやる気につながる

 心理学的にやる気は、外発的動機と内発的動機に分けられます。例えば「次のテストで90点以上を取ったら、お小遣いをアップする」というように、目の前に“ニンジン”をぶら下げてがんばらせるのは、外発的動機を刺激する典型的なやり方です。こうした方法は即効性はありますが、繰り返し続けると、より大きな報酬を求めるようになったり、報酬を中止すると一切やる気がなくなったり、弊害も生じてきます。

 

一方、内発的動機は、「新しいことを学ぶのは楽しい」「目標を達成したい」など、自発的な気持ちから喚起されるものです。普通、子どもに対して「やる気をもってほしい」という場合は、こちらをイメージされるでしょう。周囲が全く気にならないほど完全に集中している状態は「フロー」「ゾーン」と呼ばれ、密度の濃い学習が期待できますが、こうした状態は内発的動機が出発点になります。

 

 

目標への納得度を点数化してやる気をもたせる

 勉強における内発的動機を生み出す要因はさまざまですが、基本となるのは本人が十分に納得した「目標」をもつことです。毎日の勉強が、心から実現したい目標につながっていると実感できれば、「もっとがんばろう」という気持ちは自然にわいてくるでしょう。

 

目標を十分に納得しているかどうかを確認するためには、気持ちを数値化させることが有効です。子どもに自分の内面を数値的にイメージさせることで、気持ちを整理して目標を見つめ直し、やる気を生み出す手助けをしましょう。具体的には次の流れで進めます。

 

【1】ある目標について、それを達成したいという気持ちに一点の曇りもない状態を100点とした場合、現在の点数を答えてもらいます。数値は直感で構いません。

【2】仮に90点だった場合、マイナス10点分の要因を考え、話してもらいます。

【3】マイナス10点分の要因について、後述の方法で対話を通して解決を図ります。

 

 

やる気を失わせる要因を特定して取り除く

 やる気を阻害していた要因をはっきりと特定することは、やる気を引き出すうえでとても役に立ちます。マイナス要因を特定した場合でも、すぐに明確化できないときもありますが、それは意識できていなかったことの表れです。そのまま意識していなければ、内面でくすぶり続け、「何となくやる気が出ない」という状態から抜け出せなくなることもあります。

 

要因を特定することで、対処の方向性が明らかになります。例えば、「△△高校に合格する」という目標に対し、マイナス要因が「合格できるか自信がもてない」だったとしましょう。こういうときは、「自信をもてないと、不安になって勉強に身が入らなくなるよね。どうすれば自信をもてるか、一緒に考えてみない?」と声かけするなど、子どもの不安を否定せずに受け止めるといいでしょう。またマイナス要因が「△△高校への進学が将来のプラスになるかわからない」という不安だったら、「どうしてそう思うの?」と問いかけ、子どもが抱えている不安をすべて聞き出すと、将来の夢や就きたい仕事について今一度見直し、目標の実現が子どもの可能性をどう広げるかを再確認する機会となります。このときに注意したいのが、解決を焦らないことです。時間が経過すると状況も変わりますので、やる気の出る範囲で構わないので、少しずつでも毎日の勉強を習慣化することをめざしましょう。

 

一方、目標に対する納得度の点数が50点以下であるなど、かなり低い場合は、目標そのものを見直す必要があるかもしれません。こうした場合はマイナス要因を特定しながら、別の目標に変更することも視野に入れ、子どもと話し合いましょう。

 

 

プロフィール

笹氣健治(ささき・けんじ)

心理カウンセラー、メンタルトレーナー、スポーツクラブ経営者。国際基督教大学卒業後、NTT勤務を経て、堀之内高久氏(元・横浜国立大学保健管理センター准教授・臨床心理士)に師事し、カウンセリング流派にこだわらない統合的な心理アプローチを学ぶ。がんばる人が行き詰まる心理的問題の解消をテーマにカウンセリングや情報発信を行う。著書に、『「やる気」のある自分に出会える本』(スリーエーネットワーク)、『「クヨクヨしない」技術~イヤなことは1週間で終わらせる~』(PHP研究所)、『なぜあなたはその仕事を先送りしてしまうのか? ~行動のための自己変革トレーニング~』(大和書房)など。

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