子育て 目の前の子どもより「情報と対話する」保護者が増えている?
ネットや本に様々な情報があふれかえる現在。たとえば「最近、子どもの様子が変?」と感じた時にも、子どもと向き合う前に、ついネットや本の情報に頼ってしまうことはないだろうか? コーチングのプロ、石川尚子さんが語る、情報時代の保護者が身につまされるエピソードを紹介する。
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昨今の風潮として、少し気になっていることがあります。「子どもが5分もじっと座っていられないんです。ネットで調べてみたんですけど、これって、何かの障害じゃないかと思って」
とか、
「発達心理学では、この年齢ではこういうことができるって書いてあるのに、うちの子はまだなんです。何か問題があるのでしょうか」
というようなお声を耳にすることです。
どこかから得てきた知識や情報にあてはめて、子どもを見て、そのとおりでないと「おかしい」「問題だ」と思ってしまう風潮が気になります。情報に振り回され、わざわざ問題児を作り出しているようにしか見えない時があります。
コーチだったら、まず、目の前の本人に質問をしてみます。
「何を描いているの?」
「これはどういう場面?」
「描いてみてどう思った?」
それで、様子がおかしければ、また、折々に質問をしながら観察してみます。
「今、どんな気持ち?」
「何か言いたいことはある?」
「何かあったの?」
その子本人の気持ちを聴くようにします。<聴いてみないとわからない>のです。もちろん、子ども自身だって、自分の中で起きていることを言葉でうまく表現できない時もあるでしょう。その状況も含めて、聴いてみないとわかりません。本に書いてあるとおりに、すべての子どもが育つなんて、そんなことばかりではありません。どこかに書いてある知識や誰かが話していた情報と対話をするのではなく、目の前の生身の子どもを見て、対話をすることのほうがずっと大事ではないでしょうか。
出典:「最近、様子が変だな」と思った時のコミュニケーション -ベネッセ教育情報サイト