大学進学が決まった子どもへ、親からの声のかけ方
大学進学が決まった子どもに対し、親が事前に伝えてあげられることはなんでしょうか。高校までに比べると、行動範囲はぐっと広がり、親の視界から離れての行動のほうが増えてきます。なかには1人暮らしをする大学生もいるでしょう。今までに身に付けた自己規律を発揮する第一歩が始まります。そのような子どもに対し、親としてどのように声をかけていくべきなのでしょうか。
不安に感じているようでなければ、アドバイスは不要
大学進学を控える年齢であれば、基本的には求められるまで親からのアドバイスは不要です。自分で学び、自分で考えられる年齢ですので、わからないことがあれば自分で調べ、ある程度失敗するのも今後の人生において必要なことです。押し付けにならない程度に自分の経験談を話したり、テレビなどを見ながら大学生活の話題に触れたりするのはよいことですので、まずはいろいろ話してみてください。世間のニュースを自分たちに置き換えて考えてみるのもおすすめです。
あれをしてはだめ、これをしてはだめ、は逆効果
親から口うるさくいろいろなことを言ってしまわないよう気を付ける必要があります。生活や行動の変化については、ある程度決まりごとの変更を話し合うのもおすすめです。高校時代とは「家のルール」を変更せざるを得ないことも多くなるためです。
大学に入るとサークル活動なども始まり、帰宅時間が大幅に遅くなったり、車を利用しての行動範囲が広がったりする可能性があります。付き合い上やむを得ない場合もあり、この行動を予想して「遅くまで遊ばないようにね」「あまり遠くに行かないようにしたほうがいい」と制限するのは、逆効果です。反抗心を持って口答えをしたり、「親に言わなければいい」と、自分の行動をまったく話さなくなったりする危険性もあります。ポイントは、お互いに話し合って「家のルール」を変更し、子どもが自己規律を身に付け行動できるまで何度も伝えてサポートすることが必要です。
1人の大人として考える
大切なのは、子どもを1人の大人として考え、接することです。とはいえ、「社会的に正しい行動を取るべき」というのは漠然としていますので、「きちんと自分で判断し自分で動く」ということに重点に置いて声がけをしましょう。
たとえば、「前よりは遅くまで出歩くこともあるかもしれないけれど、夜に外出する予定があるなら、帰りが遅くなるかもしれないことを連絡してね」「翌日の講義や必要単位のことを考えて遊んでね」など、直接的な禁止事項は含まないようにします。自分で後々のことを考えて行動することの準備をするイメージで、学生としての行動を話してみましょう。ある程度大学の講義や単位のしくみを説明したり、一緒に調べたりするのもいいですね。
大学生とはいえ子どもは子ども。その通りではあるのですが、大学時代に親の手をきちんと離れる行動が取れなければ、その後の社会生活において自立したひとりの人間になることは難しくなってしまいます。この年齢においてはむしろ、「がんばってね」「うまくいくといいね」、そんなひとことでも、十分かもしれません。子どもを信じて見守ることも必要でしょう。