「早くしなさい!」は逆効果? 専門家に聞く子どもの行動の促し方
久しぶりに小学2年生の甥たちと過ごす機会があった、コーチングのプロ、石川尚子氏。一緒に遊ぼうとすると、「宿題はやったの?」「早くごはんを食べなさい!」など、お母さんから容赦ないダメ出しの連続……。ストレスなく子どもの行動を促すヒントを、石川氏に伺った。
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「今、宿題をやらないと、あとで困るよ!」
「早くやりなさい!!」
まあまあ、お母さん。いきなり、そんなにきつく言わなくても……。でもここは、お母さんの言い分も受けとめつつ、コーチとしての腕の見せどころと思って、チャレンジです。
「宿題って何があるの?」まずは、部屋中を駆け回っている甥に、穏やかに聞いてみます。そして、「おばちゃんも宿題があるんだ。一緒にやろう!」そう言って、私が自分のカバンの中から手帳を取り出すと、彼が興味を持ち始めました。
「おばちゃんも宿題あるの? オレの宿題は漢字ドリルと算数ドリル」と連絡帳を広げる彼。
「これって、どこからどこまでやるの? どこに書けばいいのかな?」と聞くと、「ここから」と言って、おもむろに宿題に取り組み始めたのです。
「キレイな字! もう、こんな漢字を書けるんだ。スゴイ!」
承認をはさみながら見守ること10数分。小学生の宿題など、サクサクと終わります。
最初に声を荒げると、よけいに時間と労力がかかるのではないでしょうか。保護者も忙しいと、「早く、早く!」とあせる気持ちから、つい、きつい口調になりがちですが、「急がば回れ」です。まず、穏やかに声をかけ、一緒に座ってみる。それだけで、案外早く取り組むように思います。
また、やりかけていることを途中でバッサリ中断されると、よけいに言うとおりにしたくなくなるもの。ここも急がば回れ。キリがよいところまで完了させてあげると子どもは落ち着きます。穏やかな対話を通じて、自分から「あと1回」やったら宿題をやる、ごはんにすると決めさせて、完了感を持たせてあげましょう。
出典:きつく言うより「急がば回れ」のコーチング -ベネッセ教育情報サイト