大学教授が語る、子育て世代にこそすすめたいペットとの生活
内閣府が2010(平成22)年に行った「動物愛護に関する世論調査」によれば、ペットを飼っている人の割合は34.3%。飼っている年代の割合は50代が最も多く、少ない年代は30代・70代という。これを受け、「子育て世代がペットを飼いづらいと感じる、日本の実情は残念」と語るのは、麻布大学獣医学部教授の太田光明氏。ペットを飼うことが子育てにどのような影響をもたらすのか、太田氏に話を伺った。
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調査では、「ペットとして動物を飼うことについて、よいと思うことはどのようなことか」を尋ねています。複数回答で、「生活に潤いや安らぎが生まれる」が61.4%、「家庭がなごやかになる」が55.3%、「子どもたちが心豊かに育つ」が47.2%など、多くの人が「ペットは家族や子どもにとってよい影響を与える」と感じているようです。
人間どうしは、言葉でコミュニケーションをとることができますが、ペットとのコミュニケーションはそうはいきません。この「非言語コミュニケーション」には、相手の気持ちを察するという、想像力や思いやりといった「感性」が必要です。豊かな感性は「生きるチカラ」につながります。もの言わぬペットとのふれあいは、子どもがこうした感性を育むのに最適な体験といえます。
ペットはまた、家族間の橋渡しもしてくれます。たとえば第2次反抗期を迎えた子どもがいる家庭では、とかく親子の会話が減りがちです。しかしそこにペットがいると、お互いがペットに語りかけることからなんとなく意思疎通ができ、会話が成立するようになります。反抗も、それほど激しくならない傾向があるようです。
動物にふれると、人間の脳内に「オキシトシン」と呼ばれる「幸せホルモン」が分泌され、いい気持ちになります。ペットとふれあい、世話をすることは、子どもだけでなくすべての世代によい影響を与えます。メリットだらけのペットとの生活を、ぜひ楽しんでください。