保護者の励ましはお説教!? 受験で不安な子どもに寄りそう力とは?
子どもが何かに挑戦する時、不安に打ち勝てるよう励ましやアドバイスをしたつもりが、逆効果になった経験をお持ちの保護者もいるだろう。「私の気持ちを何もわかっていない」と子どもに言われ、ショックを受ける保護者の悩みに、教育評論家の親野智可等氏が「共感」の力を語った。
***
【質問】
子どもがあるオーディションを受けた時、「落ち着かない。自信がない。落ちるかも」と言ったので、「がんばって練習してきたんだから大丈夫」と励ましました。すると、「お母さんは私の気持ちを何もわかってくれない」と言われて、ショックでした。もうすぐ高校受験です。うまく励まして緊張をほぐすにはどうすればよいのでしょうか?(中学3年生女子の母親)
【親野智可等氏からのアドバイス】
受験を控えた我が子が不安を訴えてきた時、どんな言葉を返せばよいのでしょうか? 保護者の悩むところです。
「大丈夫だよ。今までがんばって勉強してきたんだから。」
「できることはやったんだから、あとは当日全力を尽くせばいいんだよ。結果は天に任せよう。」
保護者は一生懸命考えて、励ましたりアドバイスをしたりしますが、こうした言葉は子どもの心の中に入っていかないことが多いものです。なぜなら、このとき子どもがほしいのは励ましやアドバイスではなく、共感だからです。自分がどれくらい大変な思いでいるか、どれくらいつらい気持ちでいるか、それをわかってもらいたいのです。「落ち着かない。自信がない。落ちるかも」と言ってきたら「落ち着かないね。試験の前ってイヤだね。早く終わってほしいよね」と共感してあげましょう。共感がないままの励ましやアドバイスは、子どもにとってお説教にしか聞こえないのです。
まずは共感です。すると、子どもは親に対して大きな信頼を寄せるようになります。子どもは自分のことをわかって許してくれる人、つまり共感してくれる人を信頼します。励ましやアドバイスをするなら、たっぷり共感してからにしましょう。