イチロー選手のメンタルの強さ、秘密は「ルーティン」にあり!
試合になると緊張してしまい実力が出せない……。子どもの活躍を期待する保護者としては、そんな我が子に歯がゆい思いを抱くこともあるだろう。スポーツ心理学が専門の大阪体育大学准教授・菅生貴之氏に、本番に実力を発揮するために有効なスポーツメンタルトレーニングについて聞いた。
***
スポーツメンタルトレーニングとは、「心理的スキル」や「テクニック」を手に入れ、大きな試合やピンチの場面などで、普段どおりの実力を発揮するよう、自分の心をコントロールできるようになることです。
たとえば、「ルーティン」の行動を活用していることで有名な、野球のイチロー選手。彼は、打席前に必ずバッターボックスでユニフォームの肩や袖をつまみ、バットを立てるなどの動作を行っています。緊張を強いられる場面で、このような特定の行動をすることで平常心を保つことができるのです。
精神力を科学的に強化するメンタルトレーニングの研究は、1950年代に旧ソ連で始まったといわれています。東欧諸国がスポーツに応用したことで競技力を伸ばし、60年代からは米国などでも取り入れられました。日本で本格的に研究がスタートしたのは、欧米からかなり遅れて1985(同60)年からです。
海外では、一流アスリートの試合には、メンタルコーチが同行するのは当たり前。心をいつも100%の状態にするために、スポーツメンタルトレーニングに取り組むアスリートは多いのです。
保護者のかたは子どもへの期待から、「~だからいつも負けるんだ」「何度も同じミスをするな」などの強い言葉をかけてしまいがちです。専門的な指導は専門家に任せ、不安や悩みがあれば一緒に考え、持っている力を本番で最大限出せるよう、心のサポートをしてあげていただきたいと思います。