「子どもに、自信を持って! と励ますのはNG」とコーチングのプロ
「自信が持てない」といって、何事にも消極的になってしまう人は少なくないだろう。特に社会経験の少ない子どもともなれば、「自信がない」と不安になるのも当たり前だ。そんな子どもに対して、保護者としてはどう接して、やる気を出させてあげればいいのだろうか? ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども行う、国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチの石川尚子さんがアドバイスする。
自信が持てない子どもへの保護者のアプローチも、コーチ側の観点と同じです。これは、わたしが実際にコーチングを受けたやりとりの一部です。
「もっとコーチとしての自信をつけたいんです」
「なるほど、そう思っているんだ。何を根拠にそう思っているの?」
「まだ、経験も少ないし、勉強も足りない……」
「そうだね。あなたは今、コーチ業を始めたところだからね。それは事実だ。で、それを問題にして、どうにかなるのかな?」
「……たしかに、そうですね。それを言っていても仕方ないですよね」
「ほかに自信がない根拠は何?」
「はあ、そう言われると、何もかもがそれを言っていても仕方がないってことばかりのような気がしてきました。経験を積むにはどうするかを考えることのほうが大事だと思います」
コーチは、「もっと自信を持ちなさい!」というアプローチは一切しませんでした。「自信を持たないとダメ」とは思っていないのです。
わたしの師匠は、「自信がない」と言ったわたしに、こういう言い方をしました。
「そう、自信がないんですね。受け取りました。当たり前です。初めてやることなんだから。どうぞ、そのまま、自信がないままやってください」
この言葉も、当時のわたしにとっては、目からウロコでした。「自信はなくても良いんだ。ないままでもやって良いんだ」と思いました。
自信がない子に、「もっと自信を持って!」と下手に励ましたりしますが、それをすればするほど、「自信がないとできない」と信じ込ませてしまうことになります。
「そうだよね。怖いよね。ほかにはどんな気持ちがある?」と丁寧に気持ちを受け取ることがまず大切です。そのうえで、「自信がなくてもやれた!」という経験を積ませてあげたいものです。「失敗しても受けとめてくれる人がいる」この安心感も大切ですね。