【2025年度大学入学共通テスト】情報Ⅰの分析と対策ー初実施の情報Ⅰ、どんな問題だった?ー

お気に入りに登録

ポップアップを閉じる

アプリなら
会員登録不要
記事を保存できます

アプリで続けるお気に入り 一覧ですぐ見返せる!
  • 大学受験

デジタル技術や情報化社会の急速な発展にともない、教科「情報」は重要な学問分野として位置付けられており、注目が高まっています。そのようななか、「大学入学共通テスト」(以下、共通テスト)では、「情報Ⅰ」の試験が初めて実施されました。
今回は、今年の共通テスト本試験の出題傾向を分析するとともに、それに基づいた効果的な対策をご紹介します。

この記事のポイント

初実施の今年は取り組みやすい問題だった

今年の共通テスト本試験は、本番の入試問題が試作問題とほぼ同じ問題構成で、取り組みやすいと感じた受験生が多かったと思われます。
これは平均点が69.26点と、7割近いことからもうかがえます。
ただし、来年以降は難度が上がる可能性も十分にあるので、今年の結果だけで「簡単だから大丈夫」と油断してしまうと、思わぬ落とし穴に陥るおそれもあります。

  • 試作問題とほぼ同じ問題構成
  • 取り組みやすいと感じた受験生が多かった

全問必答で、情報Iの学習内容から幅広く出題

「情報Ⅰ」では、「情報社会の問題解決」「コミュニケーションと情報デザイン」「コンピュータとプログラミング」「情報通信ネットワークとデータの活用」の4つの領域を学びますが、共通テストでは「情報社会の問題解決」以外の3つの領域から幅広く出題されました。そして共通テストの試験時間は60分、第1問:20点、第2問:30点、第3・4問:各25点の100点満点という構成になっていました。

共通テストでは単に知識を問う問題はほとんどなく、場面や設定を理解しながら問題を解き進めるような出題が多くみられました。また、教科書では扱われていない7セグメントLEDや、教科書によっては扱いがないチェックデジットなどの出題もありましたが、基本的な用語や知識、考え方などの説明が与えられていて、初見でも解けるように工夫されていました。

比較的難度が高めの第3問「コンピュータとプログラミング」の問題と、第4問「情報通信ネットワークとデータの活用」の問題も、「情報Ⅰ」の学習内容がきちんと理解できていれば、それほど難しくはありませんでした。ただし、解き慣れていないと、試験時間内にすべて解き終えるのは難しかったと考えられます。

  • 知識を単純に問う問題ではなく、場面設定を理解しながら解く出題が特徴
  • 解き慣れていないと、試験時間内にすべて解き終えるのは難しかった

差が付きやすい問題は?

今回の共通テストの出題で差が付きやすい問題としては、比較的難度が高めの第3問「コンピュータとプログラミング」の問題と、第4問「情報通信ネットワークとデータの活用」の問題だと考えられます。この2問については、もう少し詳しく紹介します。

第3問「コンピュータとプログラミング」

「コンピュータとプログラミング」のなかの「プログラミング」の問題でした。
工芸部の部員が複数の工芸品を分担して製作するために、規則に基づいて製作物を割り当てて、その結果のメール文面を作成するプログラムを作る過程が問われました。
問1~問3まであり、問1はプログラム作成の前段階として、図表から担当者と制作日数を考える内容、問2は配列の要素の大小を比較するもの、問3は問2を踏まえてプログラム全体の流れを考えるものでした。プログラム自体の複雑さは中程度でしたが、プログラムの配列を考える際の起点が示されており、配列の処理は考えやすかったと考察されます。

第4問「情報通信ネットワークとデータの活用」

「情報通信ネットワークとデータの活用」のなかの「データの活用」の問題でした。
観光庁の旅行・観光消費動向調査のデータを扱った問題で、問1~問5までありました。
問1は、扱うデータの尺度水準を把握し、データの全体像を把握するために、旅行目的ごとに棒グラフや帯グラフで傾向を読み取る問い、問2は、旅行目的ごとに旅行者数との相関分析を行い、2変数同士の関係を読み取る問い、問3・問4は、単に可視化されたデータを読み取るのではなく、加工されたデータの意味を読み取る思考力を問われる問題でした。
全体をとおして、分析結果を多面的に解釈することが求められ、図内の値や傾向を適切に判断する必要がありました。

  • 「プログラミング」の問題ではプログラム自体の複雑さは中程度
  • 「データの活用」の問題では分析結果を多面的に解釈することが求められた

どのような対策が有効?

■授業や定期テストを大事に!

「情報Ⅰ」は、多くの高校では高1で履修すると思われます。
共通テストの対策としては、まず、授業で学んだ内容をしっかりと理解し、定期テストなどを活用してその場で基礎知識を定着させることが重要です。また、授業での課題や実習には振り返りも含めて真剣に取り組みましょう。入試対策が始まると、英語など他教科に時間がとられがちになり、「情報Ⅰ」に多くの時間を割くことは難しいと思われます。
効率的に入試対策を行うためにも、他教科以上に授業や定期テスト、課題や実習を大事にしましょう。

■模試を活用した復習!

高2になると学校での授業に加えて、模試を活用した復習が共通テスト対策になります。
模試の結果をもとに自分の弱点を把握し、それを克服するための対策を講じることが「情報Ⅰ」は特に重要です。少ない時間でも効率よく学習するために、模試でできなかった内容や、理解が不十分な内容を中心に、模試を受けたあとの復習は確実に行うようにしましょう。
多くの高校生が高1で「情報Ⅰ」を学んでいるため、高2で模試を受験するときは忘れてしまっている内容もあるでしょう。
点数が低くても落ち込む必要はなく、模試を「情報Ⅰ」の勉強をするきっかけにしましょう。

  • ■高1では授業や定期テストを大事に!
  • ■高2では模試を活用した復習!

まとめ & 実践 TIPS

今年の共通テスト本試験は全体的に簡単だったとはいえ、来年以降は難度が上がる可能性があります。
そのため、授業や定期テストをとおして基礎固めを行い、プログラミングや数学的思考力を鍛えておくことが重要です。過去問や模試を積極的に活用し、実戦的な対策を進めることで、安定した得点力を身に付けることができます。
さらに、問題を解くだけでなく、なぜそうなるのかを理解することも重要です。
理解を深めることで、初見の問題にも柔軟に対応できる力が身に付くでしょう。

  • 理解を深めることで、初見の問題にも柔軟に対応できる力が身に付く

プロフィール

プロフィール



「ベネッセ教育情報」は、子育て・教育・受験情報の最新ニュースをお届けするベネッセの総合情報サイトです。
役立つノウハウから業界の最新動向、読み物コラムまで豊富なコンテンツを配信しております。

  • 大学受験

子育て・教育Q&A